普及指導員が現場で活躍する日々をレポート
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大分県
塩崎洋一

塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興で普及活動の第二幕、北部振興局で普及活動第三幕を終えた矢先、北部からさらなる要請があって第4幕が上がった。なかなか自分のやりたいことに集中できない、でも断れないジレンマを抱えながら、それでも全力で普及員をやる気持ちです。

第二幕を引き継いで

2024.12.25

 この日は、県内の各普及現場での事例発表会でした。
 ひさしぶりに参加したのですが、感想はともかく、何人かの後輩から声をかけてもらって、発表を聞くよりも、来て良かった、うれしかったというのが本音です。

 さて、一昨年に勤務した中部振興局での普及活動 第二幕で、Kさんと一緒にてこ入れしていた農場への対応、その後Aくんがやってくれていましたが、その経過を通じての発表でした。


 「そうだ、この点だぜ」と思ったのが、農場で何をしたかと言うよりも、普及として、活動対象をどのように捉えて、産地としての将来像を描く中で、そこに向かってメリハリのある活動を展開する、本当に支援が必要な経営体に集中していく、といったことをハッキリと言ってくれたことでした。


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壇上で堂々と発表するAくん、こうした普及手法を貫いて欲しいと願うばかりです


 さまざまな環境要因が変化する中で、こうした戦略的な考え方は大切です。これを間違うと、何かの沼にはまってしまい、普及活動の成果といいますか、目的に対する効果が見えにくくなるのです。
 話を聞いていて、私自身、自分のやってきたことは、やっぱり間違ってはいなかった、と思いました。

拘束される作業から解放

2024.12.17

 酪農家さんは、365日、毎日欠かさず乳搾りをしなければなりません。肉用牛農家さんにそれはないですし、放牧であればやり方によっては毎日飼料給与しなくても何とかなります。もちろん、飼槽に入れての餌やり、という意味です。


 水だけは必ず毎日給水してあげる方が良いのですが、そこに作業量は異なりますが、酪農家さんの乳搾り同様の拘束性があります。
 しかも、ウオーターカップや大きな水槽があって、水がいつもあるのならともかく、ここは景色は最高ですが、水がありません。毎日、何度も水桶に入れてやる作業があります。

 そこで、1日に何度も給水作業をしなくて良いように、普及活動第2幕でやったような細工をすることにしました。
 作業時間は2時間ちょっと。これで拘束時間が激減するなら安いものです。


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メインのタンクをセットするOさん。遠くは周防灘、景色は最高です


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黙々と作業する、Nさん


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完成。前回、中部振興局管内では、大きな樽を使って、パドックの内と外でしたが、今回は2パドックの飼槽横に、枝分けしてそれぞれ設置です

期待の新星

2024.12. 2

 この日は、管内の中山間地で、経営展開の相談でした。
 実は、私が新入りの頃(昭和63年)、お父さんはJAの畜産担当で、鍛えてもらった方です。JA退職後に、自家の肉用牛経営を規模拡大してきましたが、息子さん2人が帰ってきて一緒にやっているところで、今後のさらなる経営展開を計画中です。


 事務所の畜産班のH総括が担当していたので、先日、一緒に伺いました。
 その際に、「いろいろな経営状況がある中、今の牛舎で親牛が一杯なら、種のついたヤツ(妊娠牛)を、牛舎の下にある田に放せばいいのでは。それなら、施設に多額の投資をせずに行ける。屋根とスタンチョンと餌箱だけでもいい。この田の広さなら、20か30は出せる。そして、育成や分娩に今の牛舎を使って増やせばどうか」と提案。


 さらに数日後、市役所の担当も交えて伺うと「耕作条件の良い田ではなく、放牧には牛舎の上に荒廃地がある」とのことで、みんなで行ってみた次第です。


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左から次男さん、お父さん、H総括、市役所担当、長男さん。後ろの石垣の向こうに荒廃農地が広がっていました。放牧には十分使えます。ついでに獣害対策にもなります


 資材高騰、飼料高騰、何もかもがコスト高のこの頃、いかにコストを下げるか。ざっくり言えば「アイデア勝負」です。
 『牛を飼うには、こうしなければならない』という先入観が、コストアップを招いている感は拭えません。『牛を飼うには、これだけあれば良い』と考えれば、あとは「ここだけ気をつければ良い」で進んでいけます。先入観や固定観念は、やはり、いろいろな場面でリスクと言えそうです。

83歳のタフガイ

2024.11.25

 当ブログに投稿を始めた(2013年)南部振興局勤務の前は肥育の広域普及指導員として、県内全域を走り回っていたところですが、その頃に巡回していたのが、和牛肥育農家のSさんです。
 この日は担当のNさんと、牛房別に濃厚飼料給与量を掲示してあるシールの張り替えに来ました。


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牛舎前でSさんと話すNさん、牛舎の裏には県内随一の水田地帯が広がっています


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シールを書き換えているNさん、柱に貼り替えます


 現在40頭ほどいますが「それなりの経営規模なのに、そんなこと、普及がやってるの?」と思われるかもしれません。
 実はSさん、牛飼い経験60年を超える、御年83歳です。大型機械を操っての牛舎の管理作業もさることながら、水田も20haほどやっているのです。もちろん、休日には息子さんが手伝いをしていますが、それでも驚くほかはありません。少々耳が遠い、年相応に膝が痛いほかは、年齢を感じさせないタフな親父さんです。


 そんなこんなの、これまでの付き合いの流れでやっているわけですが、このSさんも、先日ブログで紹介したエサを使っているのです。そのエサに変えた際に、給与量を間違わないように、特に、肥育前半の給与量を増加させる期間に、貼り出しをしているという次第です。

 それでも、枝肉の出荷成績を見せてもらった7月の着任当初、「もしや?」と思い、稲わらの給与量を伺ったところ、やはり少ない。Nさんと一緒に本人の前で計量して、増量を指示しました。給与量の変更を指示したので、そこから毎月体重も量ることにしたのは、言うまでもありません。

放牧も良いけれど~今時、信じれんなあ

2024.11.15

 海の見える牧場、県内でも何カ所もありません。私の好きな風景ですが、この牧場、ひとつ大変な点があったのです。


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あいにくの曇り空ですが、周防灘を見渡す牧場です(出荷前の牛たちのパドック)
ちなみに国東半島は、果樹園が多かった地域です。これ以上は言いません・・・


 地図を見ればわかりますが、県南部沿岸は豊後水道のリアス式海岸。北部は周防灘で遠浅も多いのですが、この周防灘は瀬戸内気候に属するところです。つまり、雨が少ない気候区分なのです(最近は違うようですが)。

 管内東部寄りの国東半島の端に牧場があるのですが、数年前に放牧活用の肉用牛経営を新規に始めたとのことで、この日、初めて伺いました。そして驚いたのは、毎日20頭の牛たちに、水を運んでいると言うのです。


 帰り際に、Nさんと話しました。

「行政的に放牧を進むるんはいいけど、なんで水がないん? 荒廃農地を使ってやって、確かに初期投資も少ないけど、毎日水くんで拘束されて、続かんでな(毎日水くみで拘束されたら、続かないだろう?)」

「条件の良いところは、他が使ってます」

「そりゃそうやけど、パドックも一番便利が悪いとこじゃ、人間が毎日行っち作業すんところが便利悪い。牛は歩いて行けるんやけ、人間の便利良いとこにせんかった(人間が毎日行って作業するところが便利が悪い。牛は歩いて行けるんだから。なんで便利のよいところにしなかった?)」

などなど。


 県内には、こうした荒廃農地や山林活用で放牧がうまくいった例も、あるにはあります。
 が、ここは肉用牛専業です。他で収入がないことを考えれば、当該用地の全体像から、作業の全体像も考えて、組み立てねばなりません。
 良い事例を見ることは多々ありますが、どこが問題点か、どこで苦労するのかなど、リスクをよくよく見る必要があります。


 ここに給水設備を作って、水運びの拘束性をなくす提案をしたのは言うまでもありません(普及活動第2幕でやった方法です)。

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