普及指導員が現場で活躍する日々をレポート
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大分県
塩崎洋一

塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興局を舞台に、普及活動の第二幕が上がった。そして第二幕を終えて、自社で色々やっていたところ、北部振興局の要請によって、普及活動の第三幕を上げることとなった。臼杵市在住。

白鳥(はくう)の恩を黒鳥(こくう)に返す

2020.05.19

 もう6、7年前になりますが、広域普及指導員で肥育の担当をしていた時、新しい濃厚飼料を作りました。これは「技術と普及」2013年10月号にも紹介された、肥育の技術確立を目指して取り組んだ普及活動ですが、その後、本当に色々なことが現場では起こってきました。

 何が起こったかはともかく、当時作ったものに限りなく近い内容の餌が出てきたというので、管内の肉用牛担当者、AくんとNさんを連れて、畜産研究部でひと仕事。
 研究部の後輩に、「作業場を借りるぞ」と電話を一本入れて向かいました。


 濃厚飼料のサンプルを現場で少々頂いていてきた二人に、「濃厚飼料の特性が限りなく近いというのならば、例えば、タンパク材料に対して穀物の圧ぺんの比率を見ればいい。それなら、ふるいにかければすぐ解る」と、作業してもらった次第。


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濃厚飼料をふるいにかけて、圧ぺんの量を調べる二人。Nさんは10年ぶりの普及現場で、がんばっています


 実はAくん、今年2年目のホープですが、わけありです。親父さんは私の大学の先輩で、しかも、同じ下宿の釜の飯を食った関係なのです。親父さんに世話になった恩返しをやらねばなりません・・・・。お昼をごちそうしたのはもちろんです(一度のお昼くらいでは済まないのは、当然です。ガッツリ鍛えねばなりません・・・・)。


※タイトルの「白鳥(はくう)の恩を黒鳥(こくう)に返す」、というのは仏教説話です。ある王様が、白いカラスに助けられたので、恩を返そうとして探すのですが、白いカラスは居ない。そこで、黒いカラスに恩を返す、という話です。詳しくは何かの機会に

難局を乗り越えて

2020.03.27

 管内には二つの農業青年組織があります。そのうち、今年度、プロジェクト活動に取り組んだZ会ですが、なんと、先日の県の発表大会で総合優勝を果たしたのです。これは、ポイント制ですが、プロジェクト発表の部で2位、意見発表の部で1位を受賞してのこと。


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総合優勝の証、ライオン賞。Z会では初の受賞


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左端がプロジェクト2位のA君。右から2番目が意見発表で優勝したO君。O君は、先般紹介した、林業の彼です


 一昨年の秋、所内事情で私が担当になった際には、県の組織からは脱退、会の存続も危ういところでした。もちろん理由があってのことですが、後継者組織育成を進める普及員の立場としては、黙って見過ごすわけにはいかない状況でした。
 このZ会のメンバーの半数は、十数年前に私が県の組織を担当していた頃の顔ぶれでした。つまり、塩崎ワールドを知っているメンバーです。年が明けて昨年の春先、総会前の決算処理と総会資料作成をやっていたところ、その時は来ました。総会を行って新年度に臨むにあたり、組織内の様々な問題が浮き彫りになってきたので、私がダイレクトに指導、指示、アドバイスを行い、その問題を自分たちで解決、並行して今年度のプロジェクト活動に向けて団結を図ったのでした。


プロジェクト活動、始動
仲間作り成功!!!


 また、プロジェクト活動だけでなく、通常の定例会や県の組織活動に絡んだ打ち合わせの中で、意見発表の部にも挑戦することとなりました。これには私はあまりタッチせず、練習の時に何度か意見を言った程度でしたが、なんと県で1位をとったのです。


 一時は解散、とまで落ち込んでいた状況を、彼ら自身が問題意識を持って乗り越え、その上、今年度は対前年比150%の会員数へと、自分たちで組織作りにも動いたのでした。
 また、令和2年度、3年度までプロジェクト課題を設定するところまで目標設定できたことは、所内の連携も合わせての結果でもあります。主役の彼らが羽ばたけるように、頑張ろうと思ったところです。

「『絆』物語」その後

2020.03.16

 以前私が投稿した「『絆』物語」のK農園さん。その後色々ありました。


「普及活動『絆』物語」賞を頂きました
絆物語 Part2
「チームK」始動


 私が前任地を離れて2年後の、一昨年秋のことです。担当のH普及員に奥さんから「どこかで資金借りられないかな?」とのメールがありました。
 そのメールを彼女が受信した時、これまた偶然というか、県の若手普及員研修のワーキンググループで、私がアドバイザーとして、隣に座っていたのです。たしか、「なんで、もっと早く知らせて来ないのか」と言ったような記憶が・・・・


 年が明けて平成31年1月、早速Hさんに資金繰り作成の間接アドバイスと、あとは、休日に少々お手伝い(それが良いかどうかは別の議論)。
 そして、これまでもいくつか紹介したとおり、銀行に相談することにしました。


 私の管内では地銀のM支店、K農園さんの町はS支店です。まずはH普及員がS支店へ打診に行きました。もちろん私は、M支店の支店長経由で、S支店に口利きをお願いしました。

 過去実績3年の赤字で、相変わらずの債務超過(固定負債は延滞なく返済して来ています)状態では厳しいと思いつつでしたが、案の定、S支店からは融資不可の返答。もう打つ手がないと思いながらも、どうにかしようと考えていた翌日、M支店の支店長から「うちで話を受けます」との電話。天地がひっくり返るミラクルでした。


 そして、運転資金を何とか確保し、前年まで繰り返してきた買掛け未払いの精算、当年度発生の経費の精算に加えて、次年度への仕込み経費などを精算し、この1年で負のスパイラルは、一気に逆転したのです。


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後ろ姿が調査研究チーム、K広域普及員、現地の経営担当Y普及員、右が花担当のH普及員。この日はチームのラストミッション、現地検討でした


 もう5年ほど前になりますが、あの「物語」の時と何が違うのか。
 普及の側としては「うまくいった」ですが、経営の側からすれば、運が良かったとしか言いようがありません。
 つまり、K農園を取り巻く誰かのうち(とくに人的な関係において)、一人が欠けていても、違っていても、このミッションは成功しなかった、と言えるからです。

 昨年3月末に運転資金融資を確保し、今年度は経営広域普及指導員と一緒に、現地の調査研究をグループで取り組む体制にし、管轄外の私も顔を出せるようにして、フォローアップをしてきました。


H普及員は、令和元年度「第7回農業普及活動高度化全国研究大会」において、農林水産省生産局長賞を受賞しました。詳細はこちらをご覧ください

成長した!!!

2020.02.21

 先日、農業青年担当者の研修会が開催され、各窓口担当者に加え、それぞれの所属でプロジェクト活動などに関わっている部門担当者が集まりました。


 最初に、全国農業青年クラブ連絡協議会のプロジェクト発表大会で全国優勝を果たした、現ドリームファーマーズJAPAN副社長の安部元昭氏が、自分自身の取り組みと、実際に発表したプロジェクトの内容を紹介しました。

 彼は、私が県の農業青年組織を担当していた頃、県組織の50周年記念式典実行委員長を引き受けてくれていました。それから10数年、今では社長業で全国区に出て行くようになっています。


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会社運営の実際の事例からの人材育成、また、自分自身がプロジェクト活動をおこなっていた頃の普及指導員の対応について話してくれました。中には「そこまでやるか!」みたいな場面もありました


 この後、私が後継者対応の普及活動事例の発表をおこないましたが、冒頭、彼の成長に感動して、言葉が詰まりました。
 「普及活動の後継者対応について、普及手法的な話は、安部君が話してくれたとおりです。私は何も言うことはない。いま、こういう話を彼が話せていることが、うれしい・・・・。そこで、急きょ、今現在の後継者対応実事例を紹介します」という具合に話を進めました。

独立に向けて

2020.02.14

 昨今は「新規就農者を一人でも多く」と、各都道府県でひたむきな努力が続けられていると思います。色々な地域の状況があり、「これが正解」というやり方や普及手法があるわけでもなさそうです。
 そんな中でも共通するのは、「農業で生活できるのか」というところです。


 この日は、移住して、1年後には本格的に営農開始したいというご夫婦が相談に来ました。
 ライフプランや自分で考えられる限りのさまざまな条件・できごとをまとめて、時系列で将来設計をしてくるよう、事前にお願いしておきました。

 10年後までのプランを考えて来てくれましたが、肝心要の初期投資のめどがどうなるか、いまからそれを詰めていかねばなりません。
 普及としては、何とか実現させてあげたいと思い協力していきますが、現実はなかなか厳しいようです。


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希望する営農プランは、肉用牛の繁殖経営。昨今の情勢では、思い通りの経営規模の確立には、先立つものの確保が悩ましいところです

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