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大分県
塩崎洋一

放牧も良いけれど~今時、信じれんなあ

2024.11.15

 海の見える牧場、県内でも何カ所もありません。私の好きな風景ですが、この牧場、ひとつ大変な点があったのです。


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あいにくの曇り空ですが、周防灘を見渡す牧場です(出荷前の牛たちのパドック)
ちなみに国東半島は、果樹園が多かった地域です。これ以上は言いません・・・


 地図を見ればわかりますが、県南部沿岸は豊後水道のリアス式海岸。北部は周防灘で遠浅も多いのですが、この周防灘は瀬戸内気候に属するところです。つまり、雨が少ない気候区分なのです(最近は違うようですが)。

 管内東部寄りの国東半島の端に牧場があるのですが、数年前に放牧活用の肉用牛経営を新規に始めたとのことで、この日、初めて伺いました。そして驚いたのは、毎日20頭の牛たちに、水を運んでいると言うのです。


 帰り際に、Nさんと話しました。

「行政的に放牧を進むるんはいいけど、なんで水がないん? 荒廃農地を使ってやって、確かに初期投資も少ないけど、毎日水くんで拘束されて、続かんでな(毎日水くみで拘束されたら、続かないだろう?)」

「条件の良いところは、他が使ってます」

「そりゃそうやけど、パドックも一番便利が悪いとこじゃ、人間が毎日行っち作業すんところが便利悪い。牛は歩いて行けるんやけ、人間の便利良いとこにせんかった(人間が毎日行って作業するところが便利が悪い。牛は歩いて行けるんだから。なんで便利のよいところにしなかった?)」

などなど。


 県内には、こうした荒廃農地や山林活用で放牧がうまくいった例も、あるにはあります。
 が、ここは肉用牛専業です。他で収入がないことを考えれば、当該用地の全体像から、作業の全体像も考えて、組み立てねばなりません。
 良い事例を見ることは多々ありますが、どこが問題点か、どこで苦労するのかなど、リスクをよくよく見る必要があります。


 ここに給水設備を作って、水運びの拘束性をなくす提案をしたのは言うまでもありません(普及活動第2幕でやった方法です)。

塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興局を舞台に、普及活動の第二幕が上がった。そして第二幕を終えて、自社で色々やっていたところ、北部振興局の要請によって、普及活動の第三幕を上げることとなった。臼杵市在住。

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