普及指導員が現場で活躍する日々をレポート
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◆2025年6月

blog_hukyu_katano_f.jpg 秋田県
片野英樹

作物担当の研修に参加して

2025.06.26

 秋田県水田総合利用課の片野です。4年ぶりに作物担当の研修会に参加してきました。20人ほどの参加があり、この半分以上が若手普及職員でした。


 秋田県では、センシング技術を用いた簡便な測定方法による水稲の生育状況の把握と、新たな生育指標の作成に向けて動き始めました。これに活用する機器の使用方法について研修会があり、若手に紛れて聞いてきました。


 今は、決まった期日に草丈・茎数・葉数・葉色等を測定し、指導に活用していますが、調査のおかげで私を含め腰痛を患っている職員がけっこういます。この機器を使うことで腰痛から解放される可能性が出てきました。そんなことより、調査時間が大幅に短縮されるとともに、講習会の会場でもサッと測定し、活用できる可能性の方が重要ですね。
 機器については、いろいろあって公表できませんが、写真と文面から「あぁ、あれね!」と推測できると思います。


blog_katano16-1.jpg


 実際、この機器がどれくらいの効果を発揮するかは未知数です。私が、ようやく歩ける程度のおじいさんになる頃には、若い普及指導員がこれを持って、「数値が○○だから、減数分裂期に窒素成分で1kg/10a追肥しましょう!」という時代になっているかもしれません(そもそも技術の進歩で追肥という概念すらないかもしれませんが...)。
 時代と世間に取り残されないよう、アップデートしつづけます。

片野英樹

秋⽥県で平成4年度採⽤から普及指導員ほぼ⼀筋で32年経ちました。主に⽔稲‧⼤⾖担当でしたが、⼀時期集落営農や法⼈育成にも携わりました。現在は県庁内で水田農業の全般的な推進と普及職員の育成支援に取り組んでいます。

大分県
塩崎洋一

役目の違い

2025.06. 4

 今日は肥育農家Sさん(タフガイ)から「除角するから手伝ってくれ」と言われ、牛さんを捕まえたり、保定するのを手伝いに行きました。
 もちろんルーキーのOくんも一緒です。また、この日は行政の畜産担当のSさんも、手伝ってくれました。たまに現場に行かないと、感覚が鈍るようです。


 役目の違いですが、Sさんは行政担当なので、普段は違う事務所になります。農業振興・畜産振興というカテゴリーでは同じ仲間でも「普及」と「行政」という異なる業務になります。
 ですが、普及目線や現場感覚を持って行政をやるのは、とても大切なことだと私は思います。場面によっては逆も然り。普及現場で農家さんに補助事業活用を勧めるなどが、このことにあたりますね。


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左からSさん、Oくん、Nさん。この日は8頭予定でしたが、先日市場から買ってきたのが1頭、具合が悪くて治療中とのこと。その1頭は、場所があるなら、別飼いにした方が良いと勧めて、早速、別牛舎に移しました。 治療もしやすくなるし、症状改善にともなって餌食いが良くなる様子もわかりやすいからです


 ところで、畜産普及現場では獣医さん方との役目、役割の違いがあります。
 普及第一幕の時に、こんなことがありました。
 三幕の昨年、県でトップをとった肥育農家Gさんとこでのこと。


●Gさん :塩崎さん、牛が足を引きずっているけん、家保(家畜保健衛生所)に電話したら、ビタミン(A製剤のこと)飲ませろと言われたんじゃが。


●塩崎 :餌は何kg食いよるかな、食い詰まりは?


●Gさん :11kgは間違いねえ食いよる、食い詰まりもねえ。


●塩崎 :ならそりゃ、違う、こん餌をそんだけ食いよりゃ、ビタ欠(ビタミン欠乏)じゃあねえ。足かかえて爪ん裏を見てな。アナマタ(蹄の裏側を痛める外傷のようなもの)やっちょるで。


 事務所で電話で対応した後、しばらくして牛舎へ出向きました。
 牛さんの足を見て、間違いはなさそうでしたが、やっぱりその後の連絡で、共済獣医に治療してもらったとの事です。
 牛さんがこのような飼養管理であれば、どういう生理状態になるか。この状況は外科的か内科的か、あるいは給与している飼料バランスの問題か、といった判断からの対応です。


 和牛肥育では、肉質等級を上げるため、飼料のビタミンAを制御して霜降りを作るのですが、度が過ぎればビタミンA欠乏という病気になります。適切にやれば、ビタミンA不足の状態です。前者は治療、後者は栄養改善すれば良いのですが、霜降りを進めるためには、後者の状態を維持させるのが、高品質牛肉を生産する『技術』と言えます。水を制限して果樹や野菜を甘くするような栽培技術と似ています(畜産専門外の方に解りやすい書きぶりを御了承ください)。


 つまり、肥育農家Gさんの出来事は、その牛さんがどのような餌をどれだけ食べているかを知らずに、足が腫れて引きずっているということだけでの判断から、そうなったと言えます。
 普及員は、直接治療などしませんが、畜産経営の上で家畜に生じる色々な状況を見て、経営主の農家さんにアドバイスする、これは経営のリスク回避の上から、大切なことです。

塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興で普及活動の第二幕、北部振興局で普及活動第三幕を終えた矢先、北部からさらなる要請があって第4幕が上がった。なかなか自分のやりたいことに集中できない、でも断れないジレンマを抱えながら、それでも全力で普及員をやる気持ちです。

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