聞くところによると、かつてB-1グランプリを考案し、全国にご当地グルメブームを巻き起こした八戸せんべい汁研究所(通称、「汁゛研」じるけん)の初代所長は、せんべい汁を通じて地域を売り込みに行ったそうである。
そう!鍋料理を販売するだけなら、祭りの屋台と変わらない。
五所川原市三好地区にある地域運営組織「三好をあじあう会」は、鍋を通じて地域活動を売り込みに来たのである。
事の始まりは、一年前・・・。
「三好地区を売り込むために、三好ならではのモノを作ろう!」と、三好をあじあう会は、料理研究家、栗原心平氏の協力を得て、三好ならではの「三好なべ」を完成したのである。
これが三好なべ(注:豚肉は三好産ではない)
イメージとしては、にんにくの香りが食欲をそそる「味噌ラーメン風の豚汁」という感じである(なんとなく伝わりました?)。
さて、鍋自慢当日は絶好の「ちょっと寒い青空」となり、まさに鍋日和であった。
開会セレモニーが終わった時点で、いきなりの長蛇の列である。地域活動を売り込みに行ったはずだが、お客さんとのやりとりが忙しくて、それどころではない。
左 :オープニングセレモニーの様子 / 右 :すでに長蛇の列
それでも、最初の行列が過ぎると、ちょっと一服。チラシを持って、会の活動の売り込みである。
チラシで、会の活動をPR
青森県は、南北に連なる奥羽山脈により東西で真っ二つに別れ、全く異なる文化が発達している。そのお陰で、東側にある南部町と、西側にある津軽平野の五所川原市とは、文化人類学的に「言葉による意思の疎通さえ難しい」と言われる位の違いがある・・・(嘘です。さすがに言葉は通じる)。
ただ、完全なアウェイである南部町では、「五所川原から来ましたー」というと、軽い驚きをもって「なぬぅ?」と人々は振り返り、鍋の入ったお椀だけでなく、チラシももらってくれます。
そしてチラシに目を通すと「うちの方にも、こういう活動があればいいんだけどねー」と、笑顔で率直な感想を返してくれます。
・・・良かった。どうやら、津軽から南部藩の「鍋の牙城」を崩しに来たとは思っていないらしい。
左 :隠し味の「三五八(さごはち)」。隠すどころか売っている。400円。
右 :鍋だけでなく、三好産のネギや味噌も売る
鍋の評判は上々で、「この会場で一番おいしかったよ」と、さりげなく私達に耳打ちしてくれるお客さんの顔を見ると、どうやら社交辞令ではなさそうである。しかも結構な数の人が同じようなことを言ってくれる。
最終的に、わずか4時間半で356食が売れました。売上は16万円!
三好をあじあう会の活動を紹介するチラシも数え切れないほど配ったので、少しだけ三好をPRできたと思います。
にんにく味噌風味の鍋を見る度、五所川原市三好地区にある「三好をあじあう会」の活動を思い出してくれるといいなぁと思います。
青森県の農業改良普及指導員(普及員)です。普及員歴はすでに20数年となるのですが、お話し好きが高じて、農業の担い手育成を担当していることが多いです。
プライベートでは、「気分はプロフェッショナルカメラマン」、「YouTube再生回数が伸びないけど作曲家とウインドシンセサイザー奏者」です。
加えていうと、15年前から音楽の秘められた力をフル活用して地域おこしをやっています。そんな活動のお陰で町内会役員から目をつけられ(勧誘され)、町内会の理事なんかやっています。もちろん、町内の草刈りやしめ縄づくりも、町内会最年少として参加しています。