地域が動かないのはなぜ
2024.05.17
おっと、ここで私の投稿に対してメッセージが届きました。その質問にDJ風にお答えしましょう。
質問者は、E県水稲担当の「どうすりゃいいのよ」さん。メッセージありがとうございます。
早速、読んでみましょう。
「地域や農業集団に働きかけても、いつまでも自立しません。また事業での関わりを止めると、突然活動が止まってしまいます。どうしたら良いのでしょう。」
ムムッ! なかなか自立しない地域・・・、育成している側の普及指導員としては悩みの種ですね。
正直申し上げますと、私の担当している五所川原市三好地区の地域運営組織についても、まだ道半ばです。でもせっかくですので、「こうやったら、地域が動いた」というのを書きたいと思います。
<土壌の調査と種まき>
植物の話ではありません。
集落や営農集団に動いてもらおうと思ったら、土壌を調べます。
ここで言う土壌とは、そこを構成する人々が「地域を動かすのに足るポテンシャル(潜在能力)を持っているかどうか」です。
ですから、どの集団に入る前にも多くの農家や住民に声をかけて、動き出すのに力となる人物が何人位いるのか、その人達が協力関係を結べるのかどうか、地道に調べます。私が農協の納涼祭とかにマメにでているのは、それが目的です。酔っ払うと皆さん色んなことを話してくれるので、人間関係や、それぞれの人物の能力、また本当の意味の地域のリーダーを見つけるのにとても役立つのです。
まとめてみると、私の経験上、地域が動かない大きな原因は、次の3つパターンです。
➀ 本当のリーダーと交渉していない
私達普及指導員や役場の職員が「地域のリーダー」と認識していた人物が、実は地元ではそれほど地域で影響力をもっていないことがよくありました。
実は、その背後に「本当の意味でのリーダー(イメージ的には、ボス)」がいるパターンが多々ありました。ボスが言うと、陰でブスブス言いながらも協力してくれることが多いのです。直接、ボスと交渉しましょう。
② 動き出すだけのポテンシャルを住民が持っていない
厄介なのは、「心の」高齢化が進んで既に意欲を失っている地域。
座談会に集まった人達がかつての名士ばかり。皆さん、意識が高く非常に話しも上手い。ただ、座談会の終わりに「では、誰がやるの?」となると、「年だから」「忙しいから」と皆さん一斉に下を向いてしまう・・・・。
こういう地域はいくら努力しても動かないので、あまり踏み込まないようにしています。
ただ誤解して欲しくないのは、ポテンシャルが高いかどうかは、年齢でもかつての役職でもありません。80歳の「心は少年」もいますし、20代、30代でも「心の老人」がいます。心が若い集団は、やはり動くのです。
私が、どの座談会でも、また地元の町内会でも言っているのは、「今の日本では、75歳以下は若者です。75歳を超えたら年を理由にしても良いです。」ってセリフです。ブラタモリは終了したもののタモリさんは78歳、吉永小百合さんは79歳、黒柳徹子さんに至っては90歳ですよ。
年寄りぶるのは、まだまだ早いのです。
③ 問題を整理する人がいない
座談会で「皆さんが思う地域の問題はなんですか?」と聞くと、高齢化、少子化、若者がいない、交通の便が悪い、買物に困る、祭りができない、除雪に困る・・・等々、いくらでも問題が掲げられる地域があります。皆さん、ちゃんと問題だと思っているのです。
でも、こういう地域は意外と簡単に動きます。
単に問題を整理し、優先順位をつけ、どこから手を付けるかを示せるリーダーやコーディネーターがいないだけだからです。
この役割は、普及指導員がやってもいいし、市町村職員がやっても良いと思っています。青森県では、地域おこしを得意とするNPOに委託契約し、NPOにその役割を果たしてもらっています。
この問題の整理と具体化が、地域を動かすための種まきだと思っています。
以上のように、地域の土壌(人々の資質)調査の上、「ここは動く!」と踏んだ地域に積極的に介入し、問題を整理し、やるべきことを具体化(種まき)してあげれば、意外と地域は動くのです。
余談ですが、前任者から地域共生社会モデルの「適地」と聞かされていたのに、実はろくに土壌調査をしていない地に私は飛び込みました。
そんな訳で、私がブログの第2話で書いたような集中砲火を受けるのです。
まさに「適地」が、「敵地」に思えたよ(泣)。