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◆2024年1月11日

blog_hukyu_kasahara2_f.jpg 青森県
笠原 均

そう簡単な話ってないよね

2024.01.11

※前回の投稿はこちら


「どうして三好地区に県職員が来るんだ?」
「モデル集落なんて、勝手に決めないでくれ。」
「あんたらは金をもらって仕事で来ているのかも知れないけど、うちらには一銭もでないんだよ? なのに、なんで俺たちは座談会に集められているんだ?」


 令和4年度に入って前任者から引き継いで出席した五所川原市三好地区の住民座談会は、震える程の緊張感からスタートしました。
 もちろん前任者にも言い分があって、「コロナ禍であって、人を集めることができずコミュニケーションも全く取れなかったんだ。」とのこと。

 それはもっともな意見で、おそらく自分が担当していたとしても、令和3年度に「みんなで集まってコミュニケーションを図りましょう!」と言ったら袋叩きにあっていたかも知れません。


 少なくともすぐに気付いたのは・・・
・我々は招かざる客である。
・この事業をこの地区でやることになった理由が全く理解されていない。

 そもそも、三好地区の人達は我々を必要としていない・・・それが良く伝わってきました。
 まるで、よく切れないチェーンソーで金属板を切り裂くような声で、さらに直立して怒りをぶちまける住民・・・。


kasahara_20_1.jpg


 この時、私が頭の中で考えていたのは、「あー、このシーン。写真に撮っておきたいな~」ということでした。
 実は、私はシナリオどおりの静かな意見交換会や座談会が大嫌いで、こういう本気炸裂の意見交換会がやりたかったのです。
 そして、この場で、我々普及指導員にとっての盾、住民の的になったのは、中間支援組織「NPOジャズネットワーク」です。歓迎されると思いきや、打たれまくりです。・・・まさに「忌憚のないご意見」のパンチ炸裂です。


kasahara_20_2.jpg


「今まで色んな人が来て、地域おこしや地域再生の話があったんだ。でも全部ダメだった。全部ダメ! もう今さらダメなんだよ。」 


 だが、ここで中間支援組織の代表の川端氏が勢いよく立ち上がりました。
「村木さん(仮名)! もう出来ないっていうのはやめましょう! これまではできなかった。でも、今度こそやるんです!」


 あまりの迫力に、会場は静けさを取り戻しました。
 私は心の中でつぶやきました。
「あー、やっぱりこのNPOに頼んで良かった。」
 住民に怒鳴られて怯むようなNPOなら、最初から一緒に仕事したくなかったのです。


 そして、沈黙を守っていた普及指導員である私も流石に発言!

「なぜ三好が選ばれたのか、今さら理由を話しても仕方がないでしょう。今、ここに集まった我々は偶然集まったのではないと思っています。私達は偶然ではなく、必然として今日ここに集まったんです。20年後の地域の子供達が、きっと今日からの我々の活動を評価してくれるはずです。一緒にやってみませんか。もう一度(倒置法引用)。」


・・・きまった。d(゚∀゚*)


 座談会は多少の火種は残しながらも、心を許しあった者同士が見せる穏やかな表情で終えることができました。たぶん。


 座談会終了後、中間支援組織代表の川端氏が言いました。
「笠原さん(私)、ごめん・・・。怒るつもりはなかったんだけど、できない理由ばかり挙げるから頭に来ちゃって・・・」

 私は、こんな中間支援組織と一緒に仕事がやれて、本当に幸せだなと思いました。


to be continued.


<追記>
 この文章は、文字数の制限で3回の座談会での出来事を短縮して記載しています。よってフィクションぽさが出ていますが、これが「現実」です。なお、個人名も今後の運営に差し支えないよう配慮していますが、実在しています。これが現実です。

笠原 均

青森県の農業改良普及指導員(普及員)です。普及員歴はすでに20数年となるのですが、お話し好きが高じて、農業の担い手育成を担当していることが多いです。 プライベートでは、「気分はプロフェッショナルカメラマン」、「YouTube再生回数が伸びないけど作曲家とウインドシンセサイザー奏者」です。 加えていうと、15年前から音楽の秘められた力をフル活用して地域おこしをやっています。そんな活動のお陰で町内会役員から目をつけられ(勧誘され)、町内会の理事なんかやっています。もちろん、町内の草刈りやしめ縄づくりも、町内会最年少として参加しています。

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