普及指導員が現場で活躍する日々をレポート
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◆2023年12月

富山県
井上徹彦

チューリップ切花の新規就農者

2023.12.27

 富山県の花でもあるチューリップの球根生産は大正時代に砺波市で始まっており、現在も砺波市が県内最大のチューリップ球根産地となっています。

 チューリップの切花についても、2022年度には富山県内6市町で約400万本生産されており、うち6割が砺波市産となっていました。しかし、メンバーの高齢化や人手不足のため、今年度夏で花きの生産(チューリップ切り花15万本、小ギク切花3万本)から撤退する営農組織がありました。


 一方、今年度から実家の農地での花き生産を希望していた新規就農者I氏は、就農相談の段階から当センターが伴走支援を行っており、研修先を前述営農組織で切花部門に設定し、1年間の研修を受けていただいていました。予定通りに今年春から就農し、チューリップの切花生産についてもパイプハウスを設置し秋からの利用を計画していましたが、物価高の影響でハウスの設置が保留となりました。


 そのような中、研修の縁もあり、チューリップの切花生産について前述営農組織より農作業場やパイプハウス(暖房設備、かん水施設等含む)5棟を安価で借り受けられる運びとなりました。また、経営開始後はギフト切花の顧客や現場のパートさんの引き継ぎに加え(写真1)、営農組織で切花担当をしていた方からの技術指導(写真2)もあるなど、手厚い協力体制でチューリップ切花生産を開始することができました。


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写真1 市場出荷用花束の作成作業中


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写真2 チューリップ切花の現地指導者


 I氏が加入している砺波切花研究会では今シーズンの初出荷に合わせ12月18日に市長訪問も行っており、I氏も同席しました(写真3、4)。なお、I氏は今月中旬から来年3月中旬までに約50品種10万本の出荷を見込んでいます。


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写真3 砺波市長との懇談


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写真4 左からI氏・切花研究会長・砺波市長

井上徹彦

富山県砺波農林振興センターで、花きと薬用作物の担当をしています。 担当地区は南砺市で、チューリップ球根と小ギク等切花生産者を中心に技術指導をしています。

島根県
長妻武宏

令和5年度島根県肉牛肥育協議会枝肉研究会

2023.12.22

「島根県肉牛肥育協議会」の枝肉研究会に出席してきました。
出品頭数が15頭ということで、県内で開催される枝肉共進会としての規模は小さいですが、この研究会に向け、各農家が厳選した黒毛和牛が出品されました。
結果は、A5:12頭、A4:3頭で、BMS10以上では7頭でした。
全体として、優秀な成績だったと思います。


最優秀賞は、出雲市の(有)藤増の出品牛が選出されました。


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最優秀賞:(有)藤増の出品牛


浜田管内の弥栄肥育センターからは2頭出品し、優秀賞2席となりました。
もう1頭もBMS10でしたが、入賞は逃しました。


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優秀賞2席:弥栄肥育センターの出品牛


新型コロナ感染症による入場制限もなくなり、今年度から通常の開催になったことで、枝肉観覧者も増えて良かったです。
12月26日からは、地元JA直営店で弥栄肥育センターの肉が販売される予定です。

長妻武宏

島根県の長妻です。畜産が専門の普及員ですが、過去には、イノシシの研究などもしていました。島根農業の応援団員になりたいと思っています。

blog_hukyu_kasahara2_f.jpg 青森県
笠原 均

夜の出会いは地域を変えるか!?

2023.12.19

 この度、このコーナーを書かせて頂くことになりました青森県の普及指導員(普及員)です。


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 私の主たる業務は、通称「地域経営」と呼ばれる、一言で言えば「農業サイドからアプローチする地域おこし」という感じでしょうか。農村なので農家が多いですが、農家だけで構成される地区というものは現実にはありません。そんな訳で、農家だけでなく地域の自営業者やサラリーマンなんかも巻き込んで、


 「俺たちの苦労は、20年後の子供達がきっと評価してくれる。過疎化にも少子高齢化にもめげず、みんなで素敵な未来を築こう!」


と、煽っています。

 しかし普及員一人が集落座談会に入ってそんな事を言っても、「あいつ何しにきたんだ?」「お役所がなにか夢みたいなこと言ってるぜ」と冷ややかな目で見られるだけです。

 そこで青森県では、県(普及員)と住民の間に入って双方を調整する「中間支援組織」という団体を挟んでいます。だいたいは、地域おこしを得意とするNPOとかが担っています。


 さて、令和4年の4月に私が「地域経営」なる業務を担当し、まず取りかかったのは、中間支援を引き受けてくれるNPOを探すことです。それまでも様々なところから、そのような団体を紹介されたのですが、どうも私のイメージに合いません。どの団体も、真面目でおとなしいのです。地域おこしに必要なのは、夏の夜空を焦がす立佞武多のような熱い男です(女性も大歓迎)。


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 ここは大事なところなので、そう簡単に妥協せず、事業の趣旨を方々で説明して歩き、多くの人々に「こんな人を探しているんだよー」と「人捜し、団体探し」をお願いして歩きました。
・・・すると、いるじゃないですか!やっぱり!


 その団体の名は、NPOジャズネットワーク(音楽を活用した地域おこし団体)。初めて会ったリーダー河端氏の風貌は、一発で「タダモノデハナイ」と私に直感させました。無精ひげを生やし、鋭い目と貫禄バッチリなお腹をした男性です。
 その夜は、彼や彼を慕うメンバーと時間を忘れて「地域とは・・・」「町とは・・・」「生まれ来る子供達のために、俺たちは今何をするべきなのか・・・」なんて話していると、なんとメチャクチャに目標が一致しているじゃないですか!


 夜なので当然のごとく委託契約どころか、直属の上司の了解さえとっていないのですが、私は彼にいいました。

 「河端さん、俺は絶対にあんたと組みたい。」
そして、河端さんも
 「俺も、変わった県職員のあんたとなら一緒にやる!」
と、まるで青春ドラマのような熱いシーンを経て、青森県のおっさん二人は「地域おこし」のために、何も知らず一緒に五所川原市のある集落座談会に飛び込むことになるのです。
※もちろん、委託契約等、真面目な手続きを踏んだ後ですよ。


 しかし、座談会で待っていたのは、大人の社会でいう「現実」だったのです。


to be continued.


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笠原 均

青森県の農業改良普及指導員(普及員)です。普及員歴はすでに20数年となるのですが、お話し好きが高じて、農業の担い手育成を担当していることが多いです。 プライベートでは、「気分はプロフェッショナルカメラマン」、「YouTube再生回数が伸びないけど作曲家とウインドシンセサイザー奏者」です。 加えていうと、15年前から音楽の秘められた力をフル活用して地域おこしをやっています。そんな活動のお陰で町内会役員から目をつけられ(勧誘され)、町内会の理事なんかやっています。もちろん、町内の草刈りやしめ縄づくりも、町内会最年少として参加しています。

島根県
長妻武宏

農業機械の実演会

2023.12.18

 江津市桜江町で、農業機械の実演会が開催されました。
 県の西部からは、貸し切りバスを使って参加された地域もあるようで、観光バスも駐車されていました。


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 野菜の作業機械については、それぞれの品目に特化してる部分が多いですが、稲作関連の機械やドローンなどは、今後、更新や導入を考えている集落営農も多く、関心をもって参加した農業者も多いようでした。


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 管内では、現場で大型機械を見ることが少ないので、今年度普及員(技師)になった新人を連れて参加。自動運転のトラクターなどに興味を持って説明を聞いていました。
 自分自身も、「ドローンってこんなに大きかったかな?」などと思いつつ、さまざまな機械を見ることができてよかったです。


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 農業者が補助事業を申請する際、規模決定根拠資料の作成を手伝うことも多く、カタログやネット上の画像や映像を参考にしていますが、実際に動いている機械を見ると、その大きさや動きなどが分かって、利用するほ場や周辺道路、畔などと重ね合わせてイメージがしやすく、とても参考になりました。

長妻武宏

島根県の長妻です。畜産が専門の普及員ですが、過去には、イノシシの研究などもしていました。島根農業の応援団員になりたいと思っています。

blog_hukyu_katano_f.jpg 秋田県
片野英樹

新そば発表会が開催されました。

2023.12.11

 秋田県由利地域振興局農業振興普及課の片野です。
 一時降雪があったものの暖冬傾向で今は積雪がなく、1時間半の通勤も心的疲労が溜まらず快適に運転できています。


 当管内は県内でも屈指のそば産地であり、県内の20%ほどを占めています。令和5年12月8日に由利地域そば生産者協議会主催の「第9回新そば発表会」が開催されました。
 毎年、2~3のそば生産組合が自前のそば粉を使って、打ち立ての蕎麦を振る舞ってくれます(写真1)。そば粉100%の蕎麦、二八蕎麦など地域によってさまざまですが、手打ちは歯ごたえがあって大変おいしゅうございました。


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写真1:今回提供のあった打ち立てのそば


 一方、各生産組織から令和5年産そばの状況を伺うと、6月の降雨、7月の集中豪雨、その後の高温・干ばつ、9月以降の降雨により作業等の遅れで生育が芳しくなかったようです。それでも、今回の新そば発表会の場で来年度も意欲的にそば栽培に取り組むことを誓ってくれました。ホント生産者の皆様は強い!


 試食後は、勉強会です。生産組織の代表から品種比較試験を行った結果や今年の作柄解析の報告がありました。
 筆者も実証ほの結果や秋そば減収要因の解析、次年度対策について説明しました。そばにおいて猛暑を乗り越える対策はリスクを伴いますが、勇気を振り絞って言い訳がましく提案しましたが無反応でした(やはり)(写真2)


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写真2:必死に説明する筆者


 来年度も単収向上と低コスト化に向けた実証ほを設置し、少しでも生産者の皆様のお役に立ちたいと、おいしい蕎麦をすすりながら意を決しました。

片野英樹

秋田県で平成4年度採用から普及指導員ほぼ一筋で30年経ちました。主に水稲・大豆担当でしたが、一時期集落営農や法人育成にも携わりました。現在は裏方として、水稲新品種「サキホコレ」の普及に取り組んでいます。

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