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◆2023年3月15日

大分県
塩崎洋一

久々の環境改善③

2023.03.15

 牛舎での滞在時間が長くなると色々気づくわけですが、これまた気がついたのが、牛さんが水を飲む風景です。
 これまで色々と工夫したそうですが、どうにも牛さんが壊してしまう給水設備とのこと。
 今は、ホースで水槽に水をためながら、牛さんが水を飲むのを気にしつつ水を止める、という拘束された作業になっているようです。


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親父さんの時代からの水飲み場も、機能不全を起こして人力給水では、この頭数規模、作業性が悪いことこの上ないのは明白です


 長年農業をしている方はそうでもないのですが、他に就職してからUターンした後継者や非農家出身者の場合、牛さんの気持ちで設備を作れず壊されてしまう、というところが少なくありません。


 「牛さんの気持ちで」というのは主に、
①とにかく頑丈に
②釘や木材の尖ったものを出さない
③棒状の出っ張りなどに鼻ぐりや耳標などが引っかからないようにする
④牛さんの口や目の高さや首の幅を考慮する
などに注意して設備を作る、ということです。


 これは、人間の側は作業性向上、牛さんの側からはストレス軽減などによる生産性の向上に繋がるのです。
 つまり、いつでも好き放題に水が飲めるか否かは、牛さんにすれば超重大なことなのです。
 この農場の水は市水を使うため、水道代を考慮して、改善してみました。


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牛舎に転がっていた桶を加工しています。K普及員はまさに「昭和の普及員」かもしれません。こうした作業での手際の良さは、脱帽です


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牛房の柵の外側にホールタップをつけて、メイン水槽を設置


 桶の底をホースで繋げば、サイフォン式で一方の桶にも水が溜まります。水面の高さは同じなので、牛さんが飲めば、両方の水面が下がって、水が出てくる仕組みです。この方式の利点は、柵の内側の桶だけを掃除しやすいこと。
 2つの桶が離れて高さが違っても水面は同じ高さなので、メインの水槽を工夫すれば、おおよそどんな場所でも作れます。水道がない場所でも、大きなポリタンクをメイン水槽の横に少し高めに設置すればOK。

塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興局を舞台に、普及活動の第二幕が上がった。臼杵市在住。

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