普及指導員が現場で活躍する日々をレポート
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◆2013年7月

富山県
柳瀬美智代

コシヒカリ、夏ばて!

2013.07.29

 富山県では、主力品種コシヒカリが出穂直前です。今年は、高温の影響で稲の生育が早まり、7月末に出穂期を迎えそうです。(平年は8月5日)この暑さで、人間もつらいけど、稲も夏ばてしています。葉色が低下し、栄養不足ぎみ。
 対策として、肥料をやりましょう、水を入れましょうと、指導しています。品質低下しないように、暑い夏に負けない稲づくり。
 今、やるべきことをしっかりと伝えていきたいです。


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左 :出穂直前のコシヒカリ。畦畔では、走り穂が・・・
右 :適期作業指示看板。現場に合わせての適期作業です。通常は1種類だけのところ、生育が早回ったため、2種類の内容を提示しました


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左 :追加肥料。葉色が低下したコシヒカリに栄養補給
右 :葉色板をあてて、葉色の診断。どうですか。葉色、さめてますよ! あやしい格好は私です


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出穂後は、2~3cm程度のたん水管理。暑いから、水を入れていきましょう!

柳瀬美智代

富山県高岡農林振興センターで、地域担当しています。地域担当の役割は主穀作(水稲、大麦、大豆)の技術改善や集落営農等の組織化など、地域全体のコーディネートです。

大分県
塩崎洋一

牛の戸籍づくり

2013.07.24

 私たちは「子牛検査」と言ってます。
 人間は指紋が一人一人違いますが、牛さんは、鼻の模様が1頭ごとに全部異なります。人の指紋同様に、大まかな形には分類されますが、とにかく全部違うのです。


 これを「鼻紋」といいますが、鼻つらに墨を塗り、和紙で写し取ります。
 もちろん母親牛も子供の時にそうしてきてますから、この子牛はこの母親牛の子供であるとの証明に、母親牛の鼻紋もとり、登記簿を作るのです。
 農家さんは子牛が生まれるたびに、この子牛はこの母親牛の子だと、きちんと把握しておかねばなりません。


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牛の登記簿にはこんな感じで貼り付けます。
この横には、両親、祖父母、曾祖父の名前や、登記番号が載ります


 厳しい規則もあり、これに違反すると、その子牛は黒毛和牛としての証明書がもらえなくなります。つまり、戸籍のない牛になってしまうのです。


 この登録業務を専門に行う、和牛登録協会という公益法人組織があり、黒毛和牛の育種的な証明がされるようになっています。乳牛を毛染めで黒くしても、鼻紋は誤魔化せないのです。
 ですから、こうした現地での作業も、登録協会の定める資格が必要な仕事になります。


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ローラーで墨をつけて和紙で写し取ります。
農家さんが子牛を繋いでおいてくれると、作業は早く進みます。


 ところで、これまた、いまどきの普及活動なのか・・・・、といわれそうです。
が、この時こそ、牛舎に入り、臭いをかいで、目で見て、時にはJAさんが作業している時に、気がついたところを農家さんと語らうのです。そして、その農場の問題解決の糸口を見つける・・・・。もちろん関係機関との連携も強化できて、一石二鳥です。

塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興局を舞台に、普及活動の第二幕が上がった。臼杵市在住。

長野県
平谷敏彦

キクの若手生産者による現地検討会が開かれる

2013.07.19

 諏訪地域は戦前から栽培が始まった歴史のあるキク産地で、夏冷涼な気象条件を生かした花色の鮮明なキクは今でも市場から高い評価を受けています。しかし、最近ではご多分に漏れず高齢化に伴う生産者の減少に歯止めがかからず、出荷量の減少が続いています。

 こうした中ここ数年、県の里親研修や町のパッケージ制度、JAの支援といった関係機関が連携した取り組みの成果で、数名ずつですが新規に栽培を始める方が出てきています。
 そこでJAでは50歳以下の生産者17名に呼びかけ、キク青年部(仮称)として今年から学習活動を始めました。


 14日に開かれた今年2回目の現地研修会は、若手ながらすでにベテランの域に達しているNさんのほ場をお借りし、栽培管理の方法、品種選定などの研修を行いました。

 現在は8月の旧盆に向け、摘蕾(蕾を一つに整理する:写真参照)作業が始まり、大変忙しい中ですが、当日は14名が集まり、熱心にメモを取るなど有意義な研修会となりました。


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左 :忙しい時期ですが大勢集まりました
右 :若手の中でもベテラン? の話を熱心に聞く


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摘蕾前(左)と摘蕾後(右)

平谷敏彦

25年4月から諏訪農業改良普及センター勤務、20年ぶりに戻ってきた職場です。慣れない次長職で事務に追われる毎日ですが、花の現場に出ると元気をもらえます。

大分県
塩崎洋一

牛の爪切り

2013.07.17

「牛の爪切り」なんて言うと、一般の方は「いったいどうやるの?」と思うでしょう。
 牛さんに力強くふんばって、しっかりと餌を食べてもらうためには、重要な手入れになります。そう言うと、自分の爪を見て「晩御飯とは関係ない~」と思った方がいるでしょう。


 たしか犬か猫での実験ですが、左右の足の高さをちぐはぐにして生活をさせたら、おかしくなった、というものがありました。人間も、高さの違う靴を履いていると、身体の調子がおかしくなると思いますが、どうでしょう。


 簡単に手順を言いますと、伸びた先を斧やはさみで切ります。そして、専用の鎌で蹄の底を削ります。
 今日の牛は、子牛市場に出荷する前の若い牛なので、単に餌をしっかり食わせるだけの意味ではなく、少しでも高値で売れるように、との意味も含まれます。


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最初に伸びた蹄の先を取ります。この後、足を抱えて、鎌で削ります


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JAの担当者と息を合わせて作業。 ではなくて、二人とも息が上がってるんです


 ところで、いまどきの普及活動でそこまでやるの? と言われそうですが・・・・。
 もちろん、JAも昔は出荷する子牛をやっていたが、今は人手不足でできない、とのこと。ではなぜ・・・・。


 実はこの牛は、種雄牛の現場後代検定で肥育される雌牛だから、という理由からです。
 繁殖農家さんが、検定の種付けに協力してくれたのですが、残念ながら雌だったので、管内の肥育農家さんに買ってもらうことになったのです。ならば、よい肥育成績が出せるように、ネイルケアもしてあげようという次第です。


現場後代検定
現場後代検定は、1頭の種雄候補牛につき、その産子15頭以上(去勢牛でも雌牛でもよい) を肥育し、その枝肉成績(枝肉重量、ロース芯面積、脂肪交雑など)をもとに、父親である種雄候補牛の遺伝的な能力判定する検定法。
結果が良ければ、その雄牛は正式に種雄牛としての道を歩むことになります。

塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興局を舞台に、普及活動の第二幕が上がった。臼杵市在住。

大分県
塩崎洋一

遊休地に放牧、下草刈り作戦

2013.07. 9

 遊休農地や荒廃地に牛を放し、農地を復活させたり、景観保全を図る取り組みは、全国でされていることと思います。
 わが県でも「大分型放牧」と称して、色々な形で進めています。
 今日は、その実証展示について、現地検討会と電柵設置をおこないました。
 

 実のところ、こうした放牧に取り組みたいけど、このくらいの雑草地では、どのくらい牛が飼えるのか? という問い合わせに対して、親切な回答のできる目安が、なかなかありません。
 そこで、今回の取り組み事例は、その目安となる具体的な指標のようなものを作ろう、ということでやっています。
 面積がこれくらいで牛が2頭、このような草がこの程度あるならば、何日程度で牛が食べてしまい、雑草地がきれいな状態になるのか、ある程度数字で示すこととしました。


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周囲を草刈りして、電柵張りです。
麦わら帽子を被っているのは・・・・
  ・・・・農家のお姉さんではありません


 本来の業務として普及指導計画書に掲げているほどではありません。ですから、県の普及職員協議会の事業を活用して自由研究のテーマとして掲げ、県下の畜産普及員が集まり、土地と牛を出してくれた農家さんと一緒になって進めていきます。


 子牛市場相場は堅調に推移していますが、購入飼料単価も高値で推移しています。いつ何時、何が起こるかもしれません。基本技術を忠実に励行すれば、どこまでコスト削減ができるのか。例えば、「牛小屋なしでどこまで飼えるか」とかを、今のうちに極めておいた方が良いかもしれない、と思う今日この頃です。


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まだまだこれから雑草だらけになります

塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興局を舞台に、普及活動の第二幕が上がった。臼杵市在住。

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