「牛の爪切り」なんて言うと、一般の方は「いったいどうやるの?」と思うでしょう。
牛さんに力強くふんばって、しっかりと餌を食べてもらうためには、重要な手入れになります。そう言うと、自分の爪を見て「晩御飯とは関係ない~」と思った方がいるでしょう。
たしか犬か猫での実験ですが、左右の足の高さをちぐはぐにして生活をさせたら、おかしくなった、というものがありました。人間も、高さの違う靴を履いていると、身体の調子がおかしくなると思いますが、どうでしょう。
簡単に手順を言いますと、伸びた先を斧やはさみで切ります。そして、専用の鎌で蹄の底を削ります。
今日の牛は、子牛市場に出荷する前の若い牛なので、単に餌をしっかり食わせるだけの意味ではなく、少しでも高値で売れるように、との意味も含まれます。
最初に伸びた蹄の先を取ります。この後、足を抱えて、鎌で削ります
JAの担当者と息を合わせて作業。 ではなくて、二人とも息が上がってるんです
ところで、いまどきの普及活動でそこまでやるの? と言われそうですが・・・・。
もちろん、JAも昔は出荷する子牛をやっていたが、今は人手不足でできない、とのこと。ではなぜ・・・・。
実はこの牛は、種雄牛の現場後代検定※で肥育される雌牛だから、という理由からです。
繁殖農家さんが、検定の種付けに協力してくれたのですが、残念ながら雌だったので、管内の肥育農家さんに買ってもらうことになったのです。ならば、よい肥育成績が出せるように、ネイルケアもしてあげようという次第です。
※現場後代検定
現場後代検定は、1頭の種雄候補牛につき、その産子15頭以上(去勢牛でも雌牛でもよい) を肥育し、その枝肉成績(枝肉重量、ロース芯面積、脂肪交雑など)をもとに、父親である種雄候補牛の遺伝的な能力判定する検定法。
結果が良ければ、その雄牛は正式に種雄牛としての道を歩むことになります。
昭和63年に大分県で普及員として奉職。
令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興局を舞台に、普及活動の第二幕が上がった。臼杵市在住。