ソバ作付で地産地消を推進しよう(長野県南木曽町、大桑村)
2013年02月21日
長野県南木曽町と大桑村は県最南部にある、岐阜県境の中山間地域である。長く利用されていなかった水田を耕してソバを栽培し、地産地消を行い、荒廃地解消のPRもしたいと両町村の農業委員会が呼びかけ、耕作放棄地解消にクボタeプロジェクトの支援が始まった。実施の主体は両町村農業委員会を中心に、両役場、県木曽農業改良普及センターが連携する。
耕作放棄地解消の対象地は、1)長野県南木曽町吾妻地区蘭(アララギ)集落の62a(20年以上作付がなかった田26aを含む)と、2)同大桑村野尻地区川向集落の18a(15年ほど作付がなかった)で、どちらも平坦地。南木曽町の対象地では、夏場の繁殖和牛放牧が行われていた。
左 :林に囲まれた南木曽町の現地。遠くに繁殖和牛が放牧されている
右 :(南木曽町)牛が放牧してあったため雑草は少ない
実施された作業は以下の通り。
根切り、整地、抜根を事前にすませ、7月25日に耕起と肥料散布、土壌改良材も散布した。強力なプラウ耕で、強力なアシの根も見事に処理された。
左 :(大桑村)作業開始。最初は乗用モアによるアシの刈り取り粉砕。女性農業委員さん大活躍
右 :(大桑村)土壌改良剤の散布
左 :(南木曽町)プラウ耕。石に悩まされる
右 :(大桑村)プラウ耕で、強力なアシの根も見事に反転
8月8日、播種作業。品種は信濃1号(南木曽町)とタチアカネ(大桑村)。鳥獣害を回避するため、電気牧柵を周囲に張り巡らせた。
左 :(南木曽町)そば(蕎麦信濃1号)播種
右 :(大桑村)アップカットロータリーによる、そば(タチアカネ)の播種
いよいよ収穫。南木曽町では牛糞の効果か、10aあたり収量は130kgに達した。一方大桑村では、湿害が影響して10aあたり78kgに留まった。実施日は、大桑村が10月22日、南木曽町では24日。その後、乾燥調製が行われた。
左 :(南木曽町)牛糞が効いたのか、10a当たり収量は130kgに達した
右 :(大桑村)大桑村での収量は、湿害の影響を受け、10a当たり78kg
12月7日の収穫祭には関係者全員が出席。町長も参加して、地域振興の話がはずんだ。
続いて12日には、大桑村で試食会が行われた。村の特産にむけてアンケートも実施された。
左 :(南木曽町)全員での収穫祭
右 :(大桑村)大桑村での試食会
南木曽町、大桑村は、高齢化や担い手不足によって、耕作放棄の解消にたいへん苦慮している。耕作放棄地解消に向けて自分たちで行動して、解消に向けた取り組みを実施していきたいと検討中だ。復旧した農地にソバを作付けし、地産地消と荒廃地解消のPRを行いたいという。「これをきっかけに、借受人のあっせんをして、放棄地拡大に歯止めをかけたい」。
そばの花を利用した景観形成、ソバの地産地消、地元住民とのソバ打ち講習会などを行って、さらには周辺農地や法面の草刈、他地域への波及効果も狙ったPRなども念頭に、活動していく考えだ。(みんなの農業広場事務局)