ムタ地が美田によみがえる(鹿児島県川辺町)
2011年11月07日
鹿児島薩摩半島の南部、南九州市川辺町神殿。神殿と書いて「こうどの」と読む。いかにも神の住まいを思わせる、静かな山村の風情を残す集落だ。
いま、どこの農村でも問題となっている耕作放棄地の再生・活用課題は、ここ神殿でも同じ。「ムタ地」と言われる超湿田と、大正時代以降全く整備されず、農道・用排水路もない小区画の水田は、担い手の減少により、耕作放棄されてきた。
若者は会社勤めが増え、高齢者が農業を担っている現在、長い間放置されてきた農地は、カヤやセイタカアワダチソウなどの雑草が生える、マムシの巣になっていた。
左 :狭小圃場で、しかも湿田での稲刈り作業。ほとんどの圃場がバインダーによる収穫である
右 :マムシのほかに、こんな蛇も
農業の担い手としての若者がいなくなった現在、「老人がやるしかない」と、平成22年に立ち上げたのが「神殿農地活用組合」である。しかし、高齢者が多いことに加え、1枚平均5aという狭小の超湿田で、農道もない圃場。自分達の手持ちの小さな機械では、整備することもできない。
やる気はある。しかし地域の現状を見ると、耕作放棄地の中に田畑があるような場所も多く、思案に暮れていた。
そんな時に、鹿児島県南薩地域振興局農林水産部 農政普及課(農業改良普及センター)から、クボタeプロジェクト(耕作放棄地再生プロジェクト)の話を聞き、祈るような気持ちで申し込みをしたという。
9月26~28日にかけて、南九州クボタによる草刈り、耕うん、整地作業が行われ、水田と畑をあわせ、約230aのムタ地が美田に生まれ変わった。
「こんなにきれいにしていただいたからには、来年はしっかり米作りして、みなさんに恩返しをしたい」と組合員の方々は言う。(みんなの農業広場事務局)
左 :大型機械で処理出来ない部分は刈り払い機の出番。猛暑の中、大変な作業
右 :草刈り後の整地作業でホイールトラクタ埋まってしまったため、パワクロトラクタで埋まったトラクタを引き上げた。超湿田におけるパワクロトラクタの威力をまざまざと見せつけられた