提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


農業のポータルサイト みんなの農業広場

MENU

取り組みレポート



子や孫・曾孫に残そう「熊本の名水」 民間企業の環境保全活動を支援(熊本県阿蘇市)

2010年11月12日

 阿蘇外輪山のふもとにあたる阿蘇市山田地区水掛にある中山間地で、棚田再生の活動が始まっている。数年、長いところでは15年以上耕作されていなかった棚田を再生し、活用、水源の涵(かん)養にも活かしたいという試みだ。

 南に傾斜するこの棚田は、豊かな土壌と乙川湧水群の恵みを受けて、良味米の産地であったが、高齢化と後継者がいない中、徐々に耕作放棄地となってきた。熊本市に本店がある肥後銀行が、クボタeプロジェクトの協力を得て、この棚田3.5haの再生と、休耕田での稲作に取り組むことになった。(※1)


 クボタeプロジェクトの対象地は、すす竹やクズが繁茂して2mから5、6mもの藪になり、樹木も生え、後方の森と一体化するほど荒廃がすすんでいた。


  
 

 9月下旬に、まず作業用の道路の整備を開始した。10日ほどかけて木が切られ、平行して、茂った草や竹を建設機械を使って伐採、抜根した。


  


 10月20日は、朝からプラウ耕を始める予定だったが、竹と葛の根が予想以上に深く生えていたため、そのまま機械を入れるのがむつかしいところは、作業前に野焼きをおこなった。
 翌21日にかけて、比較的根が浅かった場所から、プラウ耕とロータリ耕によって圃場の整地が進められた。


    


  


    

 財団法人肥後の水とみどりの愛護基金事務局長の灰瀬裕一さんは、「来春にむけて、放棄地の再生をおこなっていく。クボタeプロジェクトには、一番大変な機械作業をおこなっていただき、感謝している。今年中に粗起こし、水張りをして、来年は本格的に稲作りに取り組みたい」

 3町5反(クボタが再生する面積も含む)のうち、2町でうるち米、2反でもち米、1町でWCS、その他は蕎麦を作付けようと考えているそうで、行員800名が手植え、手刈りで参加する予定だ。収穫する米は、福祉施設への提供や、社員食堂での使用を考えているとのこと。


 山田地区の太田黒地区長は、「棚田の上にある乙川湧水群は、くまもと名水百選に選ばれていて、水量豊富でおいしい水。この地区の棚田を潤してくれてきた。水源の周囲を整備して、棚田も水も大切にしていきたい。」(みんなの農業広場事務局)


  


(※1)
肥後銀行が設立した財団法人肥後の水とみどりの愛護基金が、実施団体。平成4年に設立された。肥後銀行は、隣町の阿蘇北外輪山にある小倉(こくら)集落に52haの山林を保有(平成18年購入)し、涵養に努め、日本有数と言われる豊かな水源を守る運動をおこなっている。山田地区では水田の涵養に取り組むこととし、クボタeプロジェクトに応募した。