農商工観光連携による農地再生で地域を活性化しよう(新潟県妙高市)
2010年06月16日
越後富士と呼ばれる妙高山のふもと、新潟県妙高市大洞原。冬場は3mほどの積雪がある地域で、戦後の入植により、牧草やトマトの栽培が行なわれてきたところだ。
農家の高齢化などにより耕作放棄地が増加しているが、今回、10年ほど放置された圃場約3.5haで、クボタeプロジェクトの支援による耕作放棄地再生作業が行われている。
作業の主体となるのは「妙高大洞原農地再生推進協議会」。
母体である(有)妙高ファームは、「妙高山麓直売センターとまと」の運営など、農商工連携による地域全体の活性化を図っている。
再生された圃場には、花のほか、山菜やソバなどを植える予定で、これによって人を呼び込み、直売施設やクラインガルテン(滞在型市民農園)を含めた地域全体に、人の流れをつくるのが目的だ。
クボタeプロジェクトによる作業は以下の通り。
2009年11月17日、27日 事前草刈り作業
※積雪により作業中断
2010年5月20日、21日 草刈り、耕うん(プラウ)
6月1日、2日 耕うん(プラウ)、肥料散布(ブロードキャスタ)、ソバの播種
左 :草刈り作業 / 右 :協議会メンバーとクボタ関係者との事前打合せ
左 :プラウによる耕うん作業 / 右 :ブロードキャスタによる肥料散布
ロータリー耕。奥に見えるのはクラインガルテン(滞在型市民農園)
草刈りや耕うん作業には機械が威力を発揮したが、土中には噴火による石が多く、ひとつひとつ手で拾うしかない。そんな苦労を経て再生された圃場に対し、地域の人からは驚きの声が上がった。
妙高大洞原農地再生推進協議会の山田事務局長は、
「機械を使うと、荒れた土地が2、3日ですっかりきれいになるのには驚いた」
「農業と観光との連携で妙高を再生したいという夢がある。再生地は、菜の花から始まり、雪が降るまで花が絶えないようにする予定だ。3年後には立派な花畑にしたい」
6月11日には、地域の人たちによる、花の種まきが行われた。
来年はさらに2haほど開墾する予定だという。
また、6月2日には、関西経済連合会「食と農専門委員会」約20人が当地を視察に訪れた。
入村明妙高市長による「妙高市における農業の観光振興の拠点づくり」と題した講演と、新潟クボタの吉田社長による「eプロジェクトによる耕作放棄地再生支援」の説明があり、その後、現地の作業やクラインガルテン、直売所などの視察をおこなった。
農商工・観光連携の動きには、今後も注目していきたい。(みんなの農業広場事務局)