耕作放棄地を市民農園に変え、都市住民と交流を!(茨城県つくば市)
2009年12月24日
茨城県つくば市平沢地区は、茨城県南部の筑波山麓の山裾に広がる田園地帯である。平沢官衙(かんが)遺跡や筑波山などの観光・歴史資源がある農村集落だが、圃場整備が十分でなく、高齢化が進んでいるため、耕作放棄地が年々増えている。
そこで平沢地区では、「平沢地区農業振興推進協議会」を立ち上げて、10年以上耕作放棄された畑地約0.6haを活用し、市民農園をつくることになった。この市民農園に都市住民の参加を呼びかけ、栽培の指導や各種イベントを行って、地域の人たちと交流することで地域を活性化しようと考えている。
左 :20年程度耕作放棄された圃場1では、手前の道路にもシノ竹が密生
右 :圃場2には、ススキ、セイタカアワダチソウ、潅木などが繁茂
11月12日、地元関係機関・協議会メンバーとクボタが、雑木の抜根・処理、投棄物の除去、翌日の本作業に向けた予備草刈り・耕起作業を行った。
続いて翌13日は、草刈り、耕起(プラウ耕)、砕土・整地(バーチカルハロー耕)を行った。
左 :圃場1では、繁茂したシノ竹が細断されていく
右 :シノ竹刈取り後のプラウ耕。強く密生した地下茎に悪戦苦闘
左 :プラウで反転しない部分は、建機で作業
右 :シノ竹が密生した箇所は、整地作業を来春に持ち越す
左 :圃場2では、まず雑木を抜根 右 :抜根した雑木を収集し、処分
左 :サイドカッターによる草刈り 右 :プラウ耕が順調に進む
なお、13日午後には、茨城県主催の「耕作放棄地活用現地研修会」が開かれ、県及び周辺市町村の関係者、農業委員、地元農家などが約60名参加し、再生作業実演を見学した。
左 :研修会では、作業前に作業機を紹介。背後に平沢官衙(かんが)遺跡がみえる
右 :バーチカルハローによる砕土・整地作業
地域の関係者からは、次のような感想の声やコメントがあった。
「放棄地を解消し、地域を活性化したいと皆で話し合ってきたが、農地の再生が一番困難な問題だ。eプロジェクトには本当に感謝したい」「事前に私達が行ったアクセス道路の草刈だけでも、10人でまる1日かかった。それに対して、シノ竹や雑草の繁茂する耕作放棄地を一気に再生する大型機械のスピード、パワー、能力、技術には本当に感激した。景観も土地も良いので、再生した農地を市民農園や各種イベントなどに大いに活用して、皆に喜んでもらいたい」(協議会構成員)
「この取組みをきっかけに、地域の耕作放棄地解消の運動が広がっていくとよい。大型機械による草刈りは、草を持ち出し処分する必要が無いこと、リバーシブル・プラウの効率的な往復作業、鋤き込んだ草を掻き出さないバーチカルハロー耕など素晴らしく、良い勉強になった」(茨城県県南農林事務所職員)
「地元では、ユンボなど建設機械による放棄地再生の方法しか考えつかなかったが、ここでは、将来の利用方法などにも配慮した再生方法を企画していただき、ありがたかった」「大型農機による放棄地の再生を見るのは初めてで、効率的な作業に驚いた。今後、再生・利用を進める上でも、ぜひ力を貸してもらえれば、ありがたい」(つくば市農業課担当職員)
一部のシノ竹が密生した農地では、年内にプラウ耕まで行い、冬場の乾燥でシノ竹等雑草が枯死するのを待って、来年の春に砕土・整地を行う。その後、引き渡されることになっている。
再生後の農地では、協議会がそばなどを栽培して雑草対策を行ってから、市民農園に整備して、貸し出される予定だ。(みんなの農業広場事務局)