耕作放棄地活用のモデルとして、ねぎ畑への再生(千葉県我孫子市)
2009年12月04日
千葉県我孫子市北新田地区は、千葉県北部の利根川沿いに位置し、利根川の調節池としての役割をもっている。利根川が増水した場合は農作物に被害が出てしまうこと、さらに高齢化・担い手不足等により、特に畑は耕作放棄地が増加する傾向にある。
今回、我孫子市水田農業推進協議会が、同地区内の30年以上耕作放棄された畑地の復元に取組んだ。意欲あるねぎ生産農家に利用してもらい、ここをモデルに、他の不耕作地解消計画に本格的に取り組んでいくきっかけにすることを目指している。
左 :再生前は、ススキが繁茂し道路からは何も見えない
右 :30年以上耕作放棄されススキ、セイタカアワダチソウ、潅木などに覆われていた
10月15日、地元関係機関・農家とクボタが雑木の抜根・処理、投棄物の除去、翌日の本作業に向けた予備草刈り・耕起を行った。
翌16日は、草刈り、耕起(プラウ耕)、砕土・整地(バーチカルハロー耕)を行った。なお、16日午後は千葉県耕作放棄地対策協議会主催の「耕作放棄地活用現地研修会」が開かれ、県及び周辺市町村の関係者、農業委員、地元農家など約100名が参加して、再生作業実演の見学が行われた。
左 :第1日目の準備作業は、まず雑木の抜根から
右 :関係者総出で雑木の処理と投棄物収集
左 :翌日の本作業・研修会に向けて、予備的な草刈り作業
右 :予備的な耕起作業(プラウ耕)
左 :2日目午後から千葉県耕作放棄地対策協議会主催の研修会。地元実施主体の挨拶
右 :研修会の様子
当日、eプロジェクト支援活動を見た地域の関係者から、次のような感想の声やコメントがあった。
「再生作業を見せてもらい、良い勉強になった。草刈り機が予想以上に細かく草を裁断し、後作業が楽になる。また、プラウ耕の速さに感動した。セミクローラトラクターの作業安定性、小回りのきく旋回性能など作業者が安心して作業することができる」(千葉県東葛地域農林振興センター幹部)
「eプロジェクトでは、放棄地の現状調査から、農家の利用意向のニーズ把握、大型機械の手配、再生作業の実施まで適切な段取りがなされていることに感心した。今後、耕作放棄地の再生・利用に取組む上で大いに参考にしたい」(我孫子市農政課担当職員)
「クボタeプロジェクトの活動はたいへん有りがたい。地域の農業者が高齢化してどうにもならないのが現状で、再生の取組みを市町村、農協に求めていきたい。機械の威力はすごい。特にセミクローラトラクターは馬力以上の効果を発揮しそうだ。この土地改良区内でも毎年草刈りに多額の経費がかかっており、このような素晴らしい草刈り機があればと思った。これからの農業は機械力が頼りなので、クボタから安価な機械の供給を希望したい」(我孫子市土地改良区幹部)
「草刈り機のパワーに驚いた。作業が全般に速い上、各作業内容が細やかで、きれいに仕上がっている。牧草などを播いて土を養生した上で、ねぎやほうれん草などを作っていきたい」(再生後農地を利用する農家)
eプロジェクト活動に対する高い評価と大型機械による効率的な放棄地再生作業に、驚きの声が多く聞かれた。
再生後の農地では、利用農家の手で牧草の栽培、鋤込みなどで土づくりをした上で、ねぎなどの野菜栽培が行われる予定。(みんなの農業広場事務局)