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よくあるご質問(pick up!)


稲作

一般的に、登熟期は間断灌漑を行うことになっていますが、入水と落水のサイクルが2~3日おきになっている資料がほとんどです。昨今の気象条件では、落水期間中の高温が障害の元になってしまうのではないか、と気になってしまいます。 入水に制限がない場合、「朝入水(前日の落水で「足跡水」程度からのかけ流し)、夕方落水(朝の入水を止めて排水)」を行ったとき、高温障害の軽減になるのでしょうか? 通常より湛水期間と落水期間のサイクルが短くなると、稲の生育でどんなことが予想されるのでしょうか?

間断灌漑やかけ流しの意義を整理してみましょう


1 間断灌漑の意義
 基本的には、稲にとって、水はいつまでもあって良い存在です。一方で、登熟期は高温で根の活力が低下しやすい環境ですが、湛水に伴う土壌の還元化は、根の活力低下を進める要因にもなります。また、収穫作業を円滑にするためにも、圃場が湛水と少し乾く状態との間でバランスを取っていることが必要です。さらに、水資源量は有限ですから節約できるのは好都合です。
 登熟期の間断灌漑は、以上のような効果を期待して行うものであり、入水・落水の間隔設定は、各地域での一般的な条件を考慮して定めています。


2 高温対策の意義
 登熟期の高温対策には、大きく分けて、温暖化等の気候変動の影響による玄米外観品質低下の防止を狙うものと、フェーン現象に伴う減収の防止を狙うものとがあるでしょう。
 玄米外観品質の低下対策は、特に光合成がなくて呼吸一方の夜間の地温を下げることが中心の対策です。フェーン現象対策としては、稲体の萎凋を防止するために水田に十分な湛水をしておくことが中心です。
 両者ともに、稲の活力が維持されていることが前提条件なので、生育後期の葉色が一定レベルで維持できているなど、過度の減肥栽培になっていないこと、籾数過剰でないこと等も必要です。


3 高温障害対策としての登熟期水管理
 その上で、ご質問の「かけ流し」あるいは「入水と落水との間隔」について考えると、いずれも「水による圃場からの熱の排除」の問題です。
 水は熱を保持する力が大きいことを考慮すれば、日中に湛水して熱を蓄積することは、高温障害対策としては不都合と考えられます。また、ある程度の面積から熱を排除するには、ある程度の水量が必要です。
 ご提示のように、「入水に制限がない」条件であれば、入・排水の間隔よりも「手順」の方が重要と考えます。すなわち、水尻を止めて夕方から朝まで入水し、その後ゆっくりと落水。これを登熟期間通して一定間隔で続けることです。
 地域的な配水スケジュール等の「入水制限」がある場合は、間隔よりも「十分な水量を確保する」ことが重要です。
 同一の水田でも、水口、水尻等の場所によって地温は異なると思われます。
 地元の普及指導機関等の協力を得て、実際の地温変化などを調査・観察できれば、地域にとっても、好ましい影響があると思われます。