提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ

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よくあるご質問(pick up!)


稲作

1坪37株の疎植栽培を取り入れてきましたが、疎植にしすぎると乳白粒が発生すると聞き、今年は試験的に42株に株数を増やし、植え付けをした結果、乳白粒が少なくなりました。来年以降どのようにしたら良いか教えてください。

栽植密度と乳白粒の問題については、栽培条件の違いによって結果が異なると考えられますが、最も一般的と思われる考え方を説明します。


○疎植の影響
栽植密度によって1株が使える空間や作土量(作土深も影響)が決まり、それぞれの株から伸びる根が与えられた作土中に行き渡り、そこの窒素を概ね吸い終わる頃に分げつが止まり、最高分げつ期を迎えます。


疎植にすると、1株当たりの地上空間や作土量が増え、光や肥料がより多く利用できるようになるため、分げつ期間が長引くということになります。そして、早く出た分げつは太く育って大きな穂をつけ、遅く出た分げつは細く短い茎で小さい穂をつけるというように、1株の中で茎や穂の生長のバラツキが大きくなります。


早く出た分げつ茎の穂は籾数が多くなりますが、1つの穂の中の籾でも着粒位置によって優先順位があり、穂の先の方>穂首に近い方、穂軸>1次枝梗>2次枝梗>3次枝梗など、1穂の中での優劣の差が大きくなります。


夏場の高温による消耗や出穂後の天候不順などでデンプンの穂への転流が滞ると、劣勢の籾は十分なデンプンが得られず、デンプンの詰まりが緩い白濁部位が生じて乳白など白未熟粒が発生しやすく、また、熟れ遅れて青未熟粒が発生しやすくなります。

また、遅く出た分げつは、早く出たものに比べて分げつ茎自体が弱勢で、乳白米や熟れ遅れて、青未熟粒が発生しやすくなります。劣勢な籾の熟れを待って収穫を遅らせると、先に熟れた米が胴割米になる恐れがあります。


○対策
いかにバラツキの少ない茎、穂を揃えるか、大き過ぎない穂を揃えるかということになります。そのためには、ある程度の栽植密度を確保して、分げつ期間を長引かせずに必要茎数を確保し、かつ、余分な分げつは出さないようにすることです。


出穂の約1カ月前の幼穂分化期に窒素が効いていると1穂籾数が増えてしまい、乳白米発生のリスクが高まるので、その頃の葉色を見て穂肥を加減したり、元肥一発肥料なら銘柄選択や量を加減する必要があります(通常の栽植密度では、この時期に葉色が濃いと、コシヒカリでは倒伏リスクが高まりますが、疎植栽培ではそのリスクは軽減されます)。

また、疎植に限らず、土づくりや水管理、過繁茂の抑制などで登熟期間まで根が元気なイネを育てれば、光合成が増進され、白未熟粒の発生リスクは抑えられます。


疎植のメリットは、苗箱数を減らせること、病害虫や倒伏のリスクが減ることなどがありますが、デメリットとしては、先に説明したように、年次の気象変動によって乳白粒や青未熟粒が増えたり、生育前半の低温などで穂数・籾数が不足して減収するなどのリスクがあります。経営面からは、そうしたことと目標収量、品質、食味などを総合的に考えて判断する必要があります。


<参考:一般的な収量構成要素の例>
目標収量 600kg・・・品質・食味重視なら穂数は少なくてよい
1㎡穂数  400本・・・疎植では確保しにくい? 目安は50株程度
1穂籾数   80粒・・・疎植では穂を少し大きくして面積当たりの籾数を確保
登熟歩合   85%・・・水管理(根の元気)、防除、葉色維持
玄米千粒重  22g・・・同上