「野菜ソムリエ」の元気を作るおいしい食卓【86】
2021年03月16日
柿沼養魚場でレンコン掘り
友人がSNSで胴付きゴム長を身につけてレンコン掘りに臨んでいる姿を目にして、「一度間近でその様子を見てみたい」と思っていたところ、2月にレンコン掘りの体験会があるとの情報を得て、参加してきました。
■養魚場でレンコン栽培?!
今回訪ねたのは、埼玉県熊谷市にある柿沼養魚場。以前はナマズやウナギの養殖を行っていましたが、9年ほど前から「ホンモロコ」の養殖を行っている養魚場です。ホンモロコとは本来、琵琶湖固有種の淡水魚ですが、近年各地で養殖が行われています。体長10cmほどの小さな魚で、ほかの淡水魚に比べて群を抜いて味がよいため、料亭などで需要があるという高級食材です。
そのような養殖場で、なぜレンコン栽培なのか? 魚が泳ぎ回る中でレンコンを掘るのか? など疑問を抱きつつ、現地に向かいました。
出迎えてくれたのは、頭の赤いタオルがトレードマークの柿沼賢(さとる)さん。レンコンの掘り方などの注意を聞きつつ、準備してもらったゴム長、手袋をつけ、いざ、畑へ!
膝丈ほどの深さに水の張られた畑に一歩踏み入れると、足が抜けず動けない。事前に「足をまっすぐ引き上げようとしても抜けません。つま先をつけたまま踵を上げて」と聞いていたものの、その踵が上がらない。テレビのバラエティ番組でタレントがレンコン畑で大騒ぎをしている様子を見たことがありましたが、まさしくその状態。結局、二足歩行は諦め、四つんばいになると、思いのほかスムーズに移動ができました。
通常は土の上に出てくるレンコンの新芽を探して掘り進めるそうですが、今年は新芽があまり伸びていないので、手の感覚だけを頼りに土の中を手探りで探していきます。
レンコンを掘りながら、柿沼さんに「疑問」に答えていただきました。
Q:なぜ養魚場でレンコン栽培なのですか?
A: 熊谷は夏にとても気温が高くなる場所で、水温も上昇します。何か日陰になるものをと水草のホテイアオイを植えましたが、繁殖しすぎて水中が酸欠になってしまいました。そこでレンコンを植えたところ、夏場には大きな葉が繁って陰ができ、水温を下げることができました。魚の糞がレンコンの栄養分となり、もちろん化学肥料などは使用できないので無農薬栽培のレンコンも収穫できます。
Q:魚はどこに?
A:ホンモロコは春になると水槽で産卵をします。ある程度の大きさに育ったら、養殖の池に移して育てます。10月頃になり出荷できる大きさに育つと水槽に移し、きれいな水の中で餌を与えず、泥臭さ除いてから出荷します。池の魚を水槽に移し、水をすべて抜いたあとにレンコンの収穫が始まるので、レンコンを掘る時には魚はいません。
なんとも理にかなった循環型農業です。
2月とは思えないほど、ぽかぽか陽気の中での収穫体験。家族が食べるには十分な量のレンコンを収穫でき、柿沼さんが調理したホンモロコの燻製や甘露煮もお土産に購入できて、楽しい体験ができました。
■レンコンのお勧め料理
今回は大小さまざま、太いものや、店頭では見かけないほど細いものまで収穫できたので、形や大きさを生かしたレンコン料理をいくつか作ってみました。
【材料】
レンコン 150g
豚ひき肉 250g
*塩 小さじ2分の1杯
*生姜の絞り汁 大さじ1杯
*しょうゆ 大さじ2分の1杯
*オイスターソース 大さじ2分の1杯
*ごま油 大さじ2分の1杯
片栗粉 大さじ2杯
焼売の皮 30枚
【作り方】
① レンコンを30枚薄切りにする(トッピング用)。残りを粗みじん切りにする。
② 豚ひき肉に*を入れてよく混ぜる。
③ ②に粗みじん切りのレンコン、片栗粉を加えて混ぜ、焼売の皮で包み、薄切りのレンコンを上に貼り付ける。
④ ③を蒸し器に並べ、10分ほど蒸す。
【材料】
レンコン 200g
○ニンニク(すりおろし)1片
○ショウガ(絞り汁) 1片分
○しょうゆ 小さじ2杯
○酒 小さじ1杯
片栗粉 大さじ4杯
油 適量
*コチュジャン 大さじ2杯
*ケチャップ 大さじ2杯
*しょうゆ 大さじ1杯
*砂糖 小さじ1杯
*煎りごま 大さじ1杯
【作り方】
① レンコンを5cmの長さに切り、縦に細切りにする。
② ボウルに○を入れて、①を10分ほど漬け込む。
③ ②に片栗粉をまぶし、油を入れたフライパンに並べ、表面がカリッとするまで両面を揚げ焼きにして、取り出す。
④ 油を拭き取ったフライパンに*を入れて火にかけ、ふつふつとしてきたら、③を戻し入れてからめる。
レンコン焼売には極細のレンコンを使い形を生かして、ヤンニョムレンコンはレンコンを縦切りにして、シャキシャキの食感を楽しみました。

たしろ ゆきこ
野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。