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農業に気象情報を活用しよう(1)

2013年01月15日

気象情報にはどのようなものがあるか I

                             (株)ウェザーニューズ 梅田 治


 気象情報と一口にいってもその種類は幅広く、中には毎時間・毎分ごとに更新されているものもあり、用途もさまざまである。その中から、農作業者にとって利用頻度が高いと思われるものを挙げてみる。


気象情報の種類
 大きく「予報系データ」と「実況系データ」とに分けられる。代表的なものは以下の通りである。

●予報系データ
近未来の天気情報をさす。

【短期・週間予報】
 今日、明日の天気/風/最高・最低気温などのデータが時系列にわかり、比較的予測精度も高いので、目先の農作業の実施判断をする上では、信頼度の高い予報となる。気象庁からは1日3回発表されているが、民間気象会社の場合は、各社が所有する観測データなども参考にしながら、1日数回、独自の天気予報を発表している。

 なお昨今は、自宅の田畑に、より近い地点の天気予報を示す「ピンポイント天気予報」も発表されており、農作業の判断に大いに役立てられている。(図1-1)


 一方、週間天気予報など長い予報期間の情報も、昔に比べ、少しずつ予測精度が向上している。とはいえ週間予報の修正・変更により、あらかじめ計画された農作業の変更を余儀なくされることもあり、常に最新情報を見て、予定を適宜修正していくことが望ましい。(図1-2)
 また、これらの情報は、テレビの他、インターネット・携帯電話でも見ることができ、特に携帯電話は、外で農作業を行う際にも最新の情報を得ることができるため、農家にとって、非常に有効な情報入手手段となっている。



図1-1 ウェザーニューズのインターネット天気サイト



図1-2 ピンポイント天気予報および週間天気(鹿児島市の例) より


【季節予報】
 予報期間別に1カ月予報、3カ月予報、暖・寒候期予報などを気象庁が発表している。各期間の平均的な気温や降水量を3つの階級(「低い(少ない)」、「平年並み」、「高い(多い)」)に分け、それぞれの階級が出現する可能性を、確率で表現している。種類別の発表日時および内容を表1に示す。


表1 季節予報の発表日時と内容(気象庁)

(クリックすると拡大します)


 民間気象会社では、流通市場や農業市場に対して、長期間の予報を提供しており、年間の作物栽培計画に活かされている。3カ月予報と暖・寒候期予報は、数値予報の限界を超えているが、太平洋熱帯域の海面水温と日本の天候との関係などの統計手法を組み合わせることで、農業経営上の心構えとして利用できる段階になっている。最新の予報を知り、計画を修正しながら、利用していくようにしたい。

 また、注意喚起情報や各種の警報や注意報は、大雨や暴風、大雪、霜などによって発生する災害・被害の軽減を目指し発表されている。これらの利用も、農作物栽培上有効である。(つづく

うめだ おさむ

(株)ウェザーニューズ 栽培気象グループ 気象予報士 1989年入社。予報センターなどを経て、2010年より栽培気象グループ。生産者向けコンテンツを携帯電話などで提供中。


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