提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ

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農作業便利帖


麦・大豆

麦編 麦類の収穫

(2022年3月 改訂)

はじめに

●麦類は、主に稲・麦兼用の自脱型コンバインで収穫されることが多いです。
●大豆などの転作作物が導入された地域では、普通型コンバイン(汎用コンバインなど)で収穫されることがあります。
●自脱型コンバイン、普通型コンバインとも、メーカや機種により異なりますが、収穫モードの設定を麦用にする必要や、普通型コンバインではコンケーブ、網などの部品(キット)を購入する必要がある場合があります。
●麦類の収穫作業はコンバインを使い、その後の処理も水稲とほとんど同じ作業工程であるため、麦類特有の問題を忘れがちです。
●麦類は水稲と異なり、刈り遅れによる胴割れなどの問題は生じにくいですが、収穫時期は梅雨時期と重なることが多く、雨害などによる品質低下を防ぐために、収穫適期以降に素早く収穫しなければなりません

小麦の収穫

「収穫適期」 
●外観的には茎葉が完全に黄色くなり、穂軸から緑色が抜け、粒の緑色も抜けて爪跡がほとんど付かないようになった頃が、収穫適期です。
●近年作付けの増えているパン用小麦は、従来の小麦(日本めん用小麦)と収穫のタイミングや収穫方法が同じになります。

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収穫適期の小麦

「自脱型コンバインの機械収穫」 
●作業能率や品質からみて成熟期の2~3日後(穀粒水分28~30%以下)に収穫します。
●高水分(穀粒水分30%以上)の場合、損傷粒の発生による灰分の上昇が危惧され、こぎ胴の回転数を10%程度落とす必要があるため、作業能率が低下します。また、コンバインでの選別精度が低下し、夾雑物の混入も多くなるなどの問題が生じるため、高水分での収穫を行うには注意が必要です。
●穀粒水分17~18%までに水分を低下させると、乾燥時間や燃料代は低減されるものの、脱粒などの収穫ロスが多くなること、雨害にあわなくても日本のような高温多湿の条件では品質が悪くなる恐れがあることから、適期に収穫することが大切です。

「普通型コンバインの機械収穫」 
●普通型コンバインは自脱型コンバインとは異なり、穂先だけを脱穀するのではなく、収穫した穂から茎までを同時に脱穀します。
●構造上の特徴から、自脱型コンバインよりも高い穀粒水分での収穫が可能とされ、水稲に比べて麦への収穫作業適応性は高くなっています。また、自脱型コンバインでは刈取幅が最大1.8m(水稲だと6条分)ですが、普通型コンバインでは2.1~3.2m(クボタ社製 WRH1200の場合)と広く、作業能率が高いです。
●大豆などで使われている小型の普通型コンバインでも麦類を収穫できる場合があります。しかし、大豆に比較して小麦や大麦は収穫のために必要な動力が大きいため、大豆の収穫作業よりも作業速度が遅くなります。また、作業幅は自脱型コンバインと同じでも、能率が劣る場合があります。

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 :汎用コンバイン /  :自脱型コンバイン

「食味・収量センサ付きコンバイン」
 クボタ社製食味・収量センサ付きコンバインは、小麦・大麦では収穫時に収穫した穀物の重量と水分、タンパク質含有率が分かります。また、KSAS(クボタスマートアグリシステム)を利用することで、圃場ごと収量やタンパク質含有率をマップベースで表示でき、収量・品質について見える化できます。特に、パン用小麦において、いままで難しかった圃場ごとのタンパク質含有率を把握でき、データを蓄積することで追肥設計に活用できます。

▼食味・収量センサ付きコンバインはこちらから
▼KSASはこちらから

ビール用二条大麦の収穫

●ビール用二条大麦の収穫は、外観的には大部分(8割程度)の穂首が90度以上に曲がった頃が収穫適期です。
●ビール用二条大麦では、ビールの原料となる麦芽を作るため「発芽勢」が重視されます。そのため、適期収穫の幅が3日程度と短いので注意が必要です。
●「発芽勢」を低下させないため、穀粒水分が25%以下になった時が収穫の目安になっています。
●剥皮などの損傷が生じないように、試しの収穫を行い、穀粒の状況をみて、こき胴回転数を調整し、確認することが望ましいです。なお、こぎ胴の回転数は、通常の10%程度減がひとつの目安とされています。

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収穫適期のビール用二条大麦 (提供 :福岡県農業総合試験場)

六条大麦の収穫

●六条大麦の収穫は全体的に黄化し、穂が曲がり始めた頃が収穫適期です。外観的にはビール用二条大麦に比較して早いイメージで収穫をします。
●六条大麦でも、小麦と同様な理由から穀粒水分17~18%まで下げずに収穫することはおすすします。
●六条大麦を自脱型コンバインで収穫する場合、収量が多い場合には注意が必要です。二条大麦でもそうですが、大麦は水稲や小麦よりも自脱型コンバインの刈取部で穂が穂首から落ちてしまうことがあり、その程度によってはロスが多くなります。収穫作業中に刈取部で穂が多く落ちる(穂首から穂がとれて飛んでいる)場合には、作業速度を遅くする、作物条と収穫位置を合わせることでロスを減らすことができます。
●近年栽培面積が増えているもち性大麦(もち麦)は、従来の大麦と同様な収穫方法でできます。

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収穫適期の六条大麦

種子用麦の収穫

●発芽が重視されるので、ビール用二条大麦と同様に、こぎ胴の回転数を10%程度落とす必要があります。
●掃除がしやすい構造の種子用コンバインを利用すると、異品種等の混入が防ぎやすくなります。

麦類収穫時の注意点

●コンバインは複数穀物の収穫に利用するため、異種穀粒が混入して検査等級が下がらないように、作業前にコンバインの取扱説明書などを参考によく清掃してください。
●圃場に雑草が多い場合には、詰まりなどが発生し収穫作業の邪魔になるので、雑草対策は重要です。特に、種子の大きさが麦と似ているカラスノエンドウなどは雑草種子の混入につながり、粒選でもより分けが難しくなるので注意が必要です。
●麦の収穫時期の6月ぐらいは、気温も高く、晴れている場合にはグレインタンク内の温度40℃近くになります。グレインタンク内に収穫した麦を長時間入れたままにしておくと、呼吸熱とあいまって穀温の上昇やムレにより品質が低下する場合があるので、注意が必要です。

執筆者 
関 正裕
農研機構 中日本農業総合研究センター上越研究拠点 水田利用研究領域

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