提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ

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麦・大豆

麦編 排水対策

(2021年11月 改訂)

排水の目標

●排水対策は、水田転換畑での麦作には必須の作業です。
●圃場の排水性の評価をもとに、最適な排水対策を選択することが重要です。ポイントは「地下水位を下げること」、「滞水した時に早く水が引くようにすること」の2点です。
●地下水位の目標値は、できるだけ低い方が良いのですが、現実には50cmあれば良いでしょう。圃場に50cm程度の小さな穴を掘り、地下水が確認できる場合は、湿害を受けやすい条件と推察されます。
●地下水位を下げるには、ブロックローテーションにより一定の区域を畑転換することが有効です。
●ブロックローテーションを行う区域は、排水路を境として設定することが重要です。
●道路を境にすると、道路の下を通って麦の圃場に水が侵入してくる場合があるので注意します。
●滞水した時に水が引く時間もできるだけ短い方が良いのですが、30mm以上のまとまった降雨があった際、2~3日後でも作土層に滞水が認められる場合には、積極的な排水対策の導入が必要です。

排水の方法

「地表排水と地下排水」
●排水の方法は、土壌表面を横方向に排出する「地表排水」と、土壌の下方に浸透させる「地下排水」があります。
●地表排水技術には、畦畔に沿って溝を掘る額縁明渠、圃場内に一定間隔で溝を掘る中明渠とそれにつながる小明渠があり、また、畝立て栽培の溝部分も地表排水を促進します。
●額縁明渠を掘っても、排水路への口をつながなかったり、額縁明渠と中明渠をつなげなかったりすれば、圃場から水は出ていかず、明渠に水がたまるだけで、排水の効果は現れません。
●水稲用の排水口は高いところにあるので、そのままでは麦用には使えません。
●水尻側の明渠を深くして、そこから排水できるように、畑作用の排水口を作る必要があります(下写真)

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●地下排水技術は本暗渠や補助暗渠のほか、耕盤や心土を破砕して作土中に滞っている水を下方に排出する技術です。
●本暗渠は通常土木工事を行って施工します。
●ただし、本暗渠の施工密度はあまり高くないため、排水性を高めるためには、本暗渠と交差する方向に補助暗渠を施工したり(下図)、耕盤・心土破砕を行います。

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●補助暗渠の施工には、サブソイラー+弾丸(モールド)による弾丸暗渠(下写真)のほか、モミサブローによる有材補助暗渠、後述するカットドレーンによる無材穿孔暗渠などがあります。
●耕盤・心土破砕は、サブソイラー、プラソイラ、カットブレーカーなどを用いて施工します。用いる機械によって、施工深度・幅、下層土との混和の程度などが異なるため、圃場条件に合わせた選択が必要です。

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左から上から サブソイラ+弾丸 / 作業のようす

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地中の弾丸

「排水対策を行う時期」
●排水不良は麦の出芽~生育初期に最も強く影響します。
●冠水や過湿により発芽や初期生育を直接阻害するだけでなく、播種作業時に砕土性が悪くなることで、出芽率や土壌処理除草剤の効果を低下させます。また、播種作業の遅れの原因にもなります。
●したがって、前作が水稲の場合は、水稲の収穫後なるべく早めに排水対策を行って、土を乾かす期間をできるだけ長く確保します。
●一方、気温が上がってくる春季には、土壌の還元が進むことで湿害が発生することもあります。
●播種前に十分な排水対策ができなかったときは、冬季の麦の立毛中にサブソイラー施工や土入れと同時に溝(小明渠)を掘ることも有効です。

排水技術の紹介

「営農排水改良技術(カットシリーズ)」
●穿孔暗渠機「カットドレーン」は、溝下部の70cm深までに10cm角の崩れにくい大きな通水空洞を構築して、排水性を向上させます。無材暗渠の施工が可能です。
●全層心土破砕機 「カットブレーカー」は、圃場全面の60cm深までに通気性・透水性改善のV字破砕溝を構築して、排水性を向上させます。V字破砕溝の横の山型未破砕部が地耐力と保水性を確保します。
●有材補助暗渠機「カットソイラー」は、機械走行のみで地表にあるワラ等の収穫残渣を疎水材として60cmまでの深さに埋設して有材補助暗渠を形成し、排水性を向上させます。
(参考)営農排水改良ラインナップ技術 新世代機「カットシリーズ」

2021mugi_haisui_01.jpg  2021mugi_haisui_02.jpg
から カットドレーン、カットブレーカー

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カットソイラー
提供(カットシリーズ3点) :農研機構 農村工学研究部門 北川厳


「地下水位制御システム(FOEAS)」
●圃場自体を改造する方法として、地下水位制御システム(FOEAS)があります。
●水位調節器と暗渠、補助暗渠を組み合わせた圃場の給水、排水システムで、水位を地下30cmから圃場面+20cmまで制御することができます。
●補助暗渠が1mごとに設置されているため、排水性はきわめて良好です。
●出穂期以降に雨が少ない地域では、有効な干害対策にもなると考えられており、高品質化と安定生産に対する効果が期待されています。
(参考)地下水位制御システム(FOEAS)による大豆の安定生産マニュアル

「耕うん同時畝立て播種」
●耕うん同時畝立て播種機は、アップカットロータリの爪の方向を変えることで、播種と同時に畝を作る播種機です。
●表層に細かい土、下層に荒い土塊がくるので、排水性の高い畝ができます。

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「小明渠作溝浅耕播種」
●小明渠作溝浅耕播種機は、ロータリのサイドに小明渠を掘るディスクを付け、一工程で平高畝を作りながら浅耕播種ができる機械です。
●浅く耕うんを行いながら高速の播種作業が可能です。
●事前にチゼルで深耕し、縦軸駆動ハローで整地した後に小明渠浅耕播種を行うと、さらに排水性が高まります。

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執筆者 
渡邊好昭
農研機構 中央農業総合研究センター研究管理監 兼 研究支援センター長

吉永悟志、渡邊和洋
農研機構 中日本農業研究センター 転換畑研究領域

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