提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ

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麦・大豆

大豆編 虫害防除

(2015年6月 一部改訂)
(2024年6月 改訂)

子実害虫とその対策

「マメシンクイガ」
●日本中に広く分布する寒地系害虫で、冷涼な地域や低温年に多く、関東以西では山間地でよく発生します。
●ほとんどの地域で、年1回発生します。
●成虫は、場所により8月中旬から9月上旬の特定の時期によく発生します。
●莢伸長期の莢(長さ2~4cm以上)上に好んで産卵します。
●孵化幼虫は、莢内に食入して子実を食害し、老熟幼虫となると莢に楕円形の穴を開けて脱出します。
●被害粒は虫食い豆となります。

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マメシンクイガ から 成虫 / 幼虫と被害
(提供 :農研機構近畿中国四国農業研究センター 菊地 淳志)


<対策>
●ピレスロイド系やジアミド系殺虫剤は残効性が高いので、莢伸長期から肥大初期の1回で高い防除効果が得られます。
●多発地では、7~10日後に追加して殺虫剤を散布します。
●成虫の羽化前が高温だと、発生が長引くので注意します。
●移動性が低いため、連作すると発生量が増加します。3回以上連作すると、被害が急増します。
●被害を回避するには、輪作や小粒種の栽培、または成虫羽化と産卵適期が重ならない栽培をするとよいです。
●水田転換畑の場合、水稲との輪作で発生数を減少させます。

「ダイズカメムシ類」
●ホソヘリカメムシ、イチモンジカメムシ、ミナミアオカメムシ、アオクサカメムシのほか、年次・地域によってはチャバネアオカメムシ、クサギカメムシなどが加害することもあります。
●ホソヘリカメムシとイチモンジカメムシは主にマメ科植物を、ミナミアオカメムシとアオクサカメムシは、各種の植物を寄主としています。
●いずれも成虫越冬し、年間2~4世代発生します。
●ミナミアオカメムシは、近年の温暖化の影響で分布域が全国的に拡大し、関東以南で被害が大きくなっています。

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ホソヘリカメムシ から 成虫 / 幼虫
(提供 :農研機構近畿中国四国農業研究センター 菊地 淳志)


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イチモンジカメムシ から 成虫 / 幼虫
(提供 :農研機構近畿中国四国農業研究センター 菊地 淳志)


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ミナミアオカメムシ から 成虫 / 幼虫

benri_daizu07_image8.jpg2024benri_daizu07_image9.jpg
アオクサカメムシ から 成虫 / 幼虫
(提供 :農研機構近畿中国四国農業研究センター 菊地 淳志)


●成虫、幼虫ともに、口針を莢に差込み子実を吸汁することで被害をもたらします。マルカメムシだけは主に茎から吸汁します。
●カメムシ類は行動力が大きく、飛んで逃げたり葉裏に隠れたりするので、視認数が少なくても実際には多く発生していることがあります。防除所の予察情報等も参考にして防除します。
●被害としては、落莢や偏平莢(板莢)となって収量の減少に、子実が変形・変色して品質の低下に、また、ひどく加害されると収穫時に茎葉が青いまま残り、いわゆる青立ちとなります。
●莢肥大期以降は、外見からは被害に気がつかないことが多いため、いくつか莢を開き子実の状態を見て、被害を確認する必要があります。
●吸汁による被害は、莢伸長期~収穫期の全期間にわたり、特に莢伸長中期~子実肥大中期に多発します。

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から カメムシ類による被害莢/ カメムシ類による被害粒
(提供 :(株)クボタ 羽鹿 牧太)


<対策>
●莢伸長中期~子実肥大中期(開花20~50日後)が防除適期で、発生が多い場合は2週間~20日間隔で2~3回防除します。
●ダイズカメムシ類には、ネオニコチノイド系や有機リン系の殺虫剤の効果が高いです。
●ピレスロイド系殺虫剤の一部はダイズカメムシ類に対し効果が低い事例が報告されています。
●播種時期を遅らせることで、カメムシ類による被害が軽減されます。
●カメムシ類の飛来源が周辺部に多い場合に小規模で栽培すると被害が多くなる傾向があるので、栽培圃場は可能な限りまとめて一斉防除します。

「シロイチモジマダラメイガ」
●暖地系の害虫で、主に北陸・関東以西に分布して、年3~4回発生します。
●関東では、5月下旬~11月まで年3回発生します。
●莢伸長終期~子実肥大初期に、最も盛んに莢の根元付近に産卵します。
●孵化した幼虫は、24時間以内に莢内に食入して子実を食害し、蛹化前に莢に円形の穴を開けて脱出します。
●被害粒は虫食い豆となります。

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シロイチモジマダラメイガ から 成虫 / 幼虫と被害
(提供  :(株)クボタ 羽鹿 牧太 / :農研機構近畿中国四国農業研究センター 菊地 淳志)


<対策>
●幼虫が莢内に侵入すると薬剤防除の効果が低くなるので、防除は産卵食入の多い莢伸長期に行い、発生状況を見ながら追加防除を行います。
●関東地方等では、発生の多い第1、3世代の発蛾盛期と産卵食入時期が重ならないように栽培すると、被害が軽減されます。

「ダイズサヤタマバエ」
●暖地系の害虫で、本州以南に分布し、北海道には分布しません。
●成虫の見かけは蚊のようで、花が終わった直後の時期に、最も盛んに莢内に産卵します。
●加害された莢は、一部が小さく膨れて虫えい(虫こぶ)となります。この部分は生長しないため、きわめて小さな莢、あるいは一部が細まった奇形の莢となります。
●被害莢を開くと内部に白いカビ(共生菌)が生じ、黄色い幼虫または茶色い蛹が確認できます。
●被害を受けた莢には、蛹の脱皮殻が付着していることが多く、被害がわかります。

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ダイズサヤタマバエ 成虫
(提供 :農研機構近畿中国四国農業研究センター 菊地 淳志)


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ダイズサヤタマバエ から 加害により変形した莢 / 幼虫 / 蛹
(提供 :(株)クボタ 羽鹿 牧太)


<対策>
●防除適期は、産卵最盛期の開花終期~莢伸長初期です。

「ダイズサヤムシガ」
●暖地系の害虫で、年2~3回発生します。
●大豆の生育初期に、新芽や若葉をつづり合わせて食害します。
●莢形成後には、莢同士あるいは茎葉も混ぜてつづり合わせ、内部の子実と同時に莢も食害します。
●被害粒は虫食い豆となります。
●よく似たマメヒメサヤムシガも、大豆を加害します。

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ダイズサヤムシガ から 成虫 / 被害
(提供 :農研機構近畿中国四国農業研究センター 菊地 淳志)


<対策>
●防除適期は、莢伸長終期~子実肥大中期です。

食葉性害虫とその対策

「ハスモンヨトウ」
●南方系の害虫で、冬季休眠性を持たないため、ハウス内で越冬して発生、あるいは長距離飛来します。
●発生量は、年次によって大きく変動しますが、春から降雨が少なく猛暑年の秋に多発する傾向があります。
●成虫は、大豆の葉裏に数百粒の卵塊を産みます。
●孵化幼虫が集団で葉肉のみを食害するため、被害葉は全体が透けて白く見えます(白化葉、白変葉)。

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ハスモンヨトウ から 成虫 / 卵塊
(提供 :(株)クボタ 羽鹿 牧太)


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ハスモンヨトウ から 白変葉 / 終齢幼虫
(提供 :(株)クボタ 羽鹿 牧太)


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ハスモンヨトウの加害による被害 (提供 :農研機構近畿中国四国農業研究センター 菊地 淳志)

<対策>
●早期発見と早期防除が重要です。普及センター等の情報、フェロモントラップへの捕獲数、白変葉の発生等を参考に早めに防除します。
●幼虫は生育が進むにつれて分散し、生育が進むと薬剤が効きにくくなるので、発生初期の薬剤散布が効果的です。
●発生量が少ない場合は、幼虫の分散前に白変葉を除去することで被害を抑えることもできます。

「ウコンノメイガ」
●北陸や東北日本海側で多く、年2回発生します。
●孵化幼虫は、はじめ葉縁の一部を折り曲げますが、成長するに応じて大きく葉を巻いて食害します。
●7月中下旬の降水が多いと発生が多くなる傾向があります。
●大豆の生育が旺盛な圃場で多発する傾向があります。
●秋季に大豆からアカソ、カラムシなどに移動後幼虫で越冬します。

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ウコンノメイガ から 成虫 / 被害葉
(提供 :(株)クボタ 羽鹿 牧太)


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ウコンノメイガ から 蛹 / 幼虫
(提供 :(株)クボタ 羽鹿 牧太)


<対策>
●防除適期は葉を巻き始める発生初期です。

「マメハンミョウ」
●東北地方以南に分布し、年1回7~9月に成虫が発生します。
●成虫が集団で加害するため、発生量が多いと葉が食べ尽くされ、茎だけになることがあります。
●成虫はカンタリジンという毒をもっており、皮膚に付くとやけどのような炎症を起こすので、見かけた場合はむやみに触らないように注意してください。
●幼虫はイナゴやバッタの卵を食べて成長するため、水稲にとっては益虫になります。

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マメハンミョウ成虫

<対策>
●発生は局所的であることがほとんどのため、スポット的な薬剤散布で防除します。

初期害虫とその対策

「アブラムシ類」
●北海道と北東北では、ダイズわい化病を伝搬するジャガイモヒゲナガアブラムシに最も気をつけます。
●クローバー類から大豆へ、わい化病を伝搬します。 
●ダイズモザイク病は種子伝染するほかツルマメ、インゲン等各種マメ類から、各種のアブラムシにより媒介されます。
●ジャガイモヒゲナガアブラムシとダイズアブラムシが多発した場合、吸汁害で落葉が早まり、減収することがあります。
●降雨が少なく乾燥した条件下でアブラムシ類の発生量が多くなると言われています。

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ジャガイモヒゲナガアブラムシ から 成虫と幼虫 / 被害葉

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から ジャガイモヒゲナガアブラムシによる吸汁害 / ダイズアブラムシ成虫と幼虫 (提供 :農研機構近畿中国四国農業研究センター 菊地 淳志)

<対策>
●成育初期の防除が重要であることから、播種前に土壌処理剤、種子処理剤を使用するのが効果的です。
●飛来の多い場合は、大豆出芽期から殺虫剤を茎葉散布します。
●大豆播種を遅くすると、飛来最盛期から外れるので、発病は軽減されます。
●べた掛け被覆資材を利用すると、被害防止に効果があります。
●ウイルス病による褐斑粒発生を防ぐために、ウイルス病抵抗性品種を利用します。
●圃場周辺の寄主となるマメ科雑草等を除去します。

「フタスジヒメハムシ」
●東北以南で問題となり、年2~3回発生します。
●成虫は葉や茎、花を食害するだけでなく、莢の表面を食害するので、黒斑粒になります。
●成虫はSBMV(インゲンマメ南部モザイクウイルス)を媒介し、褐斑粒発生の一因ともなります。
●幼虫は老熟するまでに数粒の根粒を食害するので、多発すると大豆の生育が悪くなります。

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フタスジヒメハムシ  加害を受けた莢内の黒斑粒
(提供 :農研機構近畿中国四国農業研究センター 菊地 淳志)


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から 成虫 / 根粒を加害する幼虫
(提供 :(株)クボタ 羽鹿 牧太)


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から 花を食害 / 莢表面を加害
(提供 :(株)クボタ 羽鹿 牧太)


<対策>
●連作を避けます。 播種前に土壌処理剤、種子処理剤を使用するのが効果的です。
●密度が高い場合は、子実肥大期に成虫を対象に殺虫剤で防除を行います。

「ハダニ類」
●大豆を加害するカンザワハダニ、ナミハダニなど数種のハダニが知られています。
●葉裏から加害し、初期には白い斑点(葉表からは黄色に見える)を生じ、やがて中央部が壊死して茶色の斑点となります。さらに被害が進むと葉全体が黄化します。
●多発生すると稔実莢数が減少するとともに、小粒化によって収量が減少します。
●高温・乾燥の年には多発する傾向があります。

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ハダニ類による被害
から 葉裏から加害するカンザワハダニ / 加害された葉 / 加害を受けた大豆圃場
注)色合い、形状からカンザワハダニと判断したが、きちんと同定したものではない。 (提供 :(株)クボタ 羽鹿 牧太)


<対策>
●ハダニ類は増殖力が高いため、早期の発見・対処が重要です。
●薬剤防除を複数回行う場合は、薬剤抵抗性の発達を防ぐため同一薬剤の連続散布を避け、有効成分が異なる薬剤を散布します。

線虫とその対策

「ダイズシストセンチュウ」
●日本全土に分布しますが、特に北海道や東北で被害が多く、問題となります。
●根に寄生し、茎葉が黄化して生育不良となり、収量が減少します。
●根粒バクテリアの着生も阻まれ、根には径0.5mm前後の白色または褐色のシスト(※)が着生します。
●被害株の多くは、一圃場内でも部分的にかたまって分布します。

※シスト:包嚢、嚢子と呼ばれる

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から ダイズシストセンチュウの寄生で黄化した大豆 / 根に黄色~黄白色のシストを形成する
(提供 : :農研機構近畿中国四国農業研究センター 菊地 淳志 /  :(株)クボタ 羽鹿 牧太)


<対策>
●麦類、いも類等を組み入れた4年以上の長期輪作を行うことで、土壌中の線虫密度を低下させることができます。
●一度本種が発生した圃場は、伝染源になります。洗浄するなどして、農機具や作業靴などから他の圃場に線虫が広まらないよう、注意します。
●シストセンチュウ抵抗性品種の利用も有効です。

執筆者
遠藤 信幸
農研機構 植物防疫研究部門


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