提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


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麦・大豆

大豆編 耕うん・播種技術

(2024年4月 改訂)

はじめに

●大豆の耕うん播種方法には、「大豆300A」で開発された技術、関連する技術が多数あります。
●それぞれの播種方法の特徴を理解して、必要な技術を選択することが重要です。

●播種の成功には、播種床に適切な水分があって種が適度な深さへ埋め込まれていることが必要です。
●播種機によって、適切な作業速度と必要な播種床の柔らかさが異なります。
●耕うんすることで必要な播種床の柔らかさを確保します。作業機によって適切な作業速度が異なります。
●耕うんと播種を同時に行うと、最適作業速度を遅い方に合わせるので能率が下がりますが、乾いていない土に種を蒔くことで出芽が安定します。
●耕うんと播種を分けて行うと、それぞれの最適速度で作業できますが、耕うんと播種の間隔が空くと土が乾いて出芽不良になったり降雨によって播種ができなくなるリスクがあるので、耕うん後は速やかに播種します。

平畝栽培

●畝を立てない栽培方法なので、水田転換畑では何らかの排水対策が必要です。

「平畝播種」
●平らに耕うんして播種する、昔の慣行播種方法です。
●耕うんと播種を分ける方法と、同時に行う方法があります。
●平畝播種ができる作業機 :各種ロータリ、ハローなど+各播種機

「不耕起播種」
●北海道や海外では一般的な播種方法です。
●耕うんしないので作業速度が非常に速いです。
●土壌の硬い圃場や排水性の悪い圃場には適さないので、事前耕うんと排水対策が必要です。
●不耕起播種ができる作業機 :汎用高速播種機、グレンドリルなど

畝立栽培

●播種床を盛り上げたり排水溝を切ることで、種子を過剰水から遠ざける栽培方法です。
●簡易な排水対策として、特に暗渠を施工できない排水不良圃場では有用です。

「大豆用高速畝立て播種」
●高速播種機とディスク式畝立て機の組み合わせによって、6km/hの高速で畝立て播種ができます。
●作業機に砕土機能はないので、事前に十分な砕土整地が必要です。
●2条仕様の畝立て部は中耕除草機としても利用できます。
●2条・4条仕様の2種類が販売されています。

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大豆用高速畝立て播種 (提供:農研機構農業機械研究部門 重松健太氏)

「一工程浅耕播種」(ディスク式高速一工程播種)
●逆転ロータリの前方にアタッチメントを介してサイドディスクを取り付け、浅耕しながら播種します。
●播種と同時にサイドディスクで畝の両側に排水溝を作ることで、大雨時の地表面排水を促します。
●逆転ロータリであっても、浅耕播種により時速3km以上での高速作業が可能で、また麦後圃場で省力的な一工程播種ができます。
●アタッチメントは、農機メーカーから2024年秋の販売予定です。

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一工程浅耕播種(ディスク式高速一工程播種)(提供:農研機構九州沖縄農業研究センター 松尾直樹氏)

「耕うん同時畝立て播種」
●ホルダー型アップカットロータリの爪配列により、耕うんと畝立て播種を同時に行います。
●重粘な土壌でも砕土性が向上しますが、作業速度は遅いです。
●耕うん幅の異なるロータリが複数市販化され、全国20県以上で使用されています。

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耕うん同時畝立て播種 (提供:農研機構中日本農業研究センター 関 正裕氏)

「小畦立て播種」
●耕うんした圃場で、ドライブハローの爪配列を変更し、畝立て播種を行います。
●畝が低いので、排水性を向上させるにはチゼル爪を付けて畝間を作溝します。
●岩手県、福島県等、東北地域で普及しています。

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小畦立て播種 (提供 :岩手県農業研究センター 及川一也氏)

「成型機を使った畝立て播種」
●耕うんした圃場で成型器を使って畝を立てながら播種をします。
●事前に十分に砕土しておく必要があります。
●成型機は、各農機メーカーや地元鉄工所などから販売されています。

「小明渠作溝同時浅耕播種」
●ロータリの両側に装着したディスクにより、小さい明渠を作り排水性を確保し、浅耕しながら播種を行います。
●東海地域、島根等で使用されています。
●浅耕播種機とアタッチメントが販売されています。

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小明渠作溝同時浅耕播種 (提供:中日本農業研究センター 渡邊和洋氏)

「部分浅耕一工程播種」
●一部のロータリ爪をカルチ爪に交換し、浅耕部分を播種床として播種床に押し付けるように播種します。
●降雨の際は通常耕の部分が排水路として機能し、干ばつ時には耕していない播種床の下から水分が上昇することで、降雨・干ばつ両方に対応できます。
●福岡で普及しています。

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部分浅耕一工程播種 ((株)クボタ 羽鹿牧太氏)

「山型鎮圧輪」
●土壌の種類によっては、降雨によって地表が硬化して出芽できなくなることがあります。
●山型に鎮圧することで、降雨による地表の硬化を抑えることができます。

播種機

●播種方法に合った播種機を選びましょう。

「目皿式播種機」
●広く普及している播種機の一つです。穴の開いた目皿で種子を繰り出すので点播性に優れます。
●目皿の回転が速いと種が落ちないので、作業速度を上げるには穴数が多い目皿を使います。

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目皿式播種機

「ロール式播種機」
●広く普及している播種機の一つです。粒大に合わせて開度を調整します。
●作業速度が速すぎると種が多く落ちることがあるので注意しましょう。

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ロール式播種機

「ダブルプレート式播種機」
●「種子分離」と「放出」の2枚のプレートを用いることで繰り出し精度の高い播種が可能です。
●比較的高速で播種できます。

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ダブルプレート式播種機 ((株)クボタ 羽鹿牧太氏)

「吸引式播種機」
●吸引によって種を吸いつけて繰り出すので精度が高く、播種ミスによる欠株が少なくなります。
●比較的高速で播種できます。
●真空ポンプの駆動にトラクタ馬力が必要です。

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吸引式播種機 ((株)クボタ 羽鹿牧太氏)

「加圧噴射式播種機」
●空気圧を利用して繰り出すので播種精度が高く、播種ミスによる欠株が少なくなります。
●比較的高速で播種できます。
●ブロアの駆動にトラクタ馬力が必要です。

「汎用高速播種機」
●溝切コルターで播種溝を作る直装式の不耕起播種機です。
●比較的高速で播種できます。
●播種前に圃場を均平にする必要があります。

「グレンドリル」
●海外や北海道で一般的な不耕起播種機です。
●操出機構が単純で、高速播種できます。
●重いのでトラクタ馬力が必要です。

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グレンドリル ((株)クボタ 羽鹿牧太氏)

執筆者
山本 亮
農研機構 中日本農業研究センター 主任研究員

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