麦編【2】 麦の播種と基肥
麦の高品質・安定生産を図るためには、第一に良好な出芽苗立ちと健全な初期生育の確保が重要です。
適正な播種、適正な施肥は以下のように行います。
1.播種・・・適期播種、適正播種量によって良好な出芽苗立ちを確保する
(1)適期播種は良好な出芽苗立ちを約束します。播種適期は関東で11月上中旬、九州では11月中旬~12月上旬です。播種の遅れは分げつ数を減らすため、減収します。
(2)ドリル播は条間25~30cmとし、適正播種量は小麦で7~8kg/10a、分げつが旺盛な二条大麦は10~15%減らします。適期より遅れた場合は10~20%増量します。
(3)播種の深さは2~3cmとします。深すぎたり浅すぎたりは、出芽苗立ちを悪くし、分げつ数を減らすため、穂数が不足して減収します。
2.基肥・・・適正な基肥量により健全な初期生育、分げつを図る
(1)基肥量は、小麦では追肥との合計施肥量の半分を原則とします。ビール麦では全量基肥か、追肥を1回として粒の高蛋白質化による品質低下を防ぎます。
(2)基肥量はチッソ成分で6~8kg/10a程度で、地力、麦種、品種によって加減します。播種が遅れた場合は10~20%増量し、大豆作後麦では30%程度減量します。
(3)火山灰土壌では、窒素に対してリン酸施肥量を5~10割多くしてリン酸欠乏を抑えます。
小型でも牽引力の強い「パワクロ」(株式会社クボタ)による施肥播種同時作業
■「施肥播種機」
天候不順により播種が遅れがちになりますが、砕土・整地と施肥・播種を同時に行う「施肥播種機」の利用で解決しましょう。
執筆者
田谷 省三
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 フェロー
◆麦編
●【1】 麦作のための土作りと播種前の準備作業
●【3】 麦の踏圧(麦踏み)と追肥・土入れ
●【4】 麦の追肥(穂肥)と土入れ
●【5】 麦の赤かび病の防除と実肥
●【6】 麦の収穫・乾燥・調製
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