提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ

農業のポータルサイト みんなの農業広場

MENU

農作業便利帖


野菜・果樹

在来品種の紹介【カブ編】

在来品種が見直されています

 国産農産物の見直しは年々高まっています。そうした中で、各地に受け継がれている伝統野菜が、いま、人気です。
 ここでは、在来品種として日本各地で栽培される「カブ」を取り上げ、それぞれ特徴ある由来や栽培方法、食べ方、産地の動向などを紹介します。

大野紅かぶ


2022_dento_oono_1.jpg
大野紅かぶ(北海道北斗市、函館市ほか)

●特徴と由来
 全国的に伝統野菜が注目されている中、北海道道南にも江戸時代に北前船でもたらされたカブがある。主に函館市近郊の北斗市(旧大野町)で栽培されていたため「大野紅(あか)かぶ」として広く知られている。道南では単に「赤かぶ」と呼ばれ、自家採種した在来種の系統や種苗会社が販売する系統が赤かぶとして道南一帯で栽培されている。  代々自家採種してきた赤かぶだが、在来系統の赤かぶは明治時代に青森県から入植した時に持ち込まれた系統であることが確認されている。現在、大野紅かぶと確認できる系統は、種苗会社が戦後に道南で入手した種子を、今日まで採種、販売している系統のみとなっている。

▼「大野紅かぶ」をさらに詳しく知りたい方はこちら

温海かぶ


2022_dento_atsumi_1.jpg
温海かぶ(山形県鶴岡市)

●特徴と由来
 温海(あつみ)かぶは、山形県鶴岡市温海地域(旧温海町)で栽培されてきた伝統的な野菜である。シベリアまたは中国東北部から伝来したとされる西洋カブの一種で、寛文12年(1672年)成立の書物『松竹往来』に「温海蕪」の記述があり、最低でも400年以上に及ぶ栽培の歴史があると考えられる。現代でも伝統の焼畑で栽培が行われている。
 根部は扁平で、表面が鮮やかな濃い紫赤色で内部は白色、直径5~10cm程度。肉質は締まっており、漬物(甘酢漬け)にすると歯触りが良く絶品である。

▼「温海かぶ」をさらに詳しく知りたい方はこちら

木曽の赤カブ


2022_dento_kisoakakabu_1.jpg
木曽の赤カブ(長野県木曽郡木曽町、上松町、南木曽町、木祖村、王滝村、大桑村、塩尻市)
左から 吉野、芦島、三岳黒瀬、王滝、開田、細島


●特徴と由来
 木曽地域には「開田(かいだ)蕪」「王滝蕪」「三岳黒瀬蕪」「細島蕪」「吉野蕪」「芦島(あしじま)蕪」という6種類もの赤カブがあり、古くから栽培されている。カブの表面は赤紫色、中身は白色で、形状や大きさ、肉質などはそれぞれが異なる特徴を持っている。
 三岳黒瀬蕪はいったん途絶えたものの農村女性グループの熱意で復活し、栽培者を増やしてきた。この6種類の赤カブはいずれも県の「信州の野菜」に選定されており、大切に作り継がれてきている。

▼「木曽の赤カブ」をさらに詳しく知りたい方はこちら

原産:日野菜


2022_dento_hinona_1.jpg
「原産:日野菜」と新規格「ミニ日野菜」(滋賀県日野町)

●特徴と由来
 日野菜の特徴は、細長い形と色(地上部が赤、地下部は白)。特に、日野町の「原産:日野菜」(以下、日野菜)は独特の辛みが強い。露地栽培が中心で、播種から45~60日で収穫でき、春播きと秋播きの作型がある。
 日野町鎌掛(かいがけ)集落の山中で約550年前に発見され、「さくら漬(日野菜の甘酢漬け)」として近江商人が全国に広めたとされる。その命名は、時の後柏原天皇が、献上御礼の和歌にこの漬物を「さくら漬」と記したことに由来する。

▼「原産:日野菜」をさらに詳しく知りたい方はこちら

聖護院かぶ


2022_dento_syogoinkabu_1.jpg
聖護院かぶ(京都府亀岡市)(提供:(公社)京のふるさと産品協会)

●特徴と由来
 冬の京漬物の代表格といえば、カブを昆布と漬けた千枚漬。その原料として使われているのが聖護院(しょうごいん)かぶだ。
 日本最大級(根径15~20cm、重量1・2~2・0kg)のカブで、現在の京都市左京区聖護院地区で栽培されていたことがその名前の由来となっている。
 江戸時代の享保年間(1716~1736)に、近江国の堅田(かたた)地方(現・大津市堅田)にあった近江かぶの種子を伊勢屋利八という篤農家が持ち帰り、栽培したのが始まりと伝えられている。その後、京都の風土に合わせて改良を重ね、今のような偏円形のカブができ上がったとされる。
 天保年間(1830~1843)にはこのカブを使った千枚漬が売り出され、それが人気を呼んで栽培が盛んになった。江戸時代から脈々と伝えられてきた歴史から、「京の伝統野菜」に位置づけられている。
 秋から流通が始まるが、底冷えする冬に甘味や香りが増し、最も味わい深くなる。

▼「聖護院かぶ」をさらに詳しく知りたい方はこちら

津田かぶ


2022_dento_tsudakabu_1.jpg
勾玉状の津田かぶ(島根県松江市)

●特徴と由来
 津田かぶの特徴は、神の国=島根を連想させる勾まが玉たま状の形と食味の素晴らしさにある。来歴については明らかではないものの、松江藩祖松平直政公時代から栽培されていたと伝えられる。別名「大目かぶ」「近江かぶ」と呼ばれていたことから、滋賀県の「近江赤斑かぶ」の系統が導入され、長年の栽培で今日の形に変化したと考えられている。
 利用はほぼ漬物に限られるため、松江市内の漬物業者との契約栽培が定着している。当地方において津田かぶ漬けは冬の食卓になくてはならない一品であり、安定した消費がある一方、その食味の良さから島根県を代表する年末年始の贈答品として全国に配送されている。

▼「津田かぶ」をさらに詳しく知りたい方はこちら

○伝統野菜のその他情報はこちら

◀在来品種の紹介【ウリ編
◀在来品種の紹介【香酸カンキツ編
◀在来品種の紹介【キュウリ編
◀在来品種の紹介【トウガラシ編
◀伝統野菜の品種紹介 【ナス編
◀伝統野菜の品種紹介 【ネギ編
◀伝統野菜の品種紹介 【ダイコン編
◀在来品種の紹介【バレイショ編