提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ

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野菜・果樹

エダマメの栽培体系

(2021年12月 改訂)

圃場準備

●圃場の排水性が生育・収量に大きく影響を及ぼすので、排水良好な圃場を選定します。
●やむを得ず排水が悪い圃場で栽培を行う場合は、圃場周辺に明きょを設置し、耕盤があればサブソイラ-等で心土破砕を実施するなど、排水対策を徹底します。

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サブソイラでの心土破砕作業 

●堆肥・石灰資材は定植10日前までに施用し、土壌のpHを6.0~6.5程度に調整します。
●未熟堆肥の施用はタネバエ等の発生を招くので、絶対に行わないようにします。
●石灰資材の施用は、苦土石灰等を100㎏/10a程度を標準とし、土壌のpHにより加減します。
●10a当たりの基肥の基準成分は、N:0~10kg、P:10~15kg、K:10~15kg程度です。
●N成分は、品種の早晩性により加減します。10a当たり、極早生、早生品種では6~10kg、中生品種では4~6kg、晩生品種では0~3kgを基準とします。
●発芽の良否が生育に大きく影響するので、発芽揃えるため、土壌はなるべく細かく耕起・砕土します。また、根系を発達させるよう、十分深耕を行います。

品種 

●エダマメは、収量性や早晩性、食味、莢の外観などを考慮し、様々な品種が育成されており、特に最近は、食味や風味などの品質が重視されています。一方、各地で古くから栽培されている在来品種も存在します。

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エダマメの栽培風景

●品種により、播種から収穫までの日数や、温度、日長反応が異なるため、地域の作業体系や販売計画等を十分考慮して、品種を選択します。
●極早生、早生品種については、感温性が高く、地域ごとに播種から収穫までの日数が比較的予想しやすいですが、新しい品種を導入する場合、播種期ごとの生育量や開花期、収穫期を把握するため、2年程度試作するとよいでしょう。
●晩生品種は、日長に強く反応するため、収穫時期は地域でほぼ一定しています。早播きしても、ほとんど前進しません。 

播種準備

●直播きと移植の2通りの栽培方法があります。
●いずれの方法をとるかは、機械化体系や発芽率、鳥害やネキリムシ等の被害の状況をふまえて、選択します。
●各地域ごとに、品種に適した播種時期を設定することが重要です。
●一般的に、早生品種を遅播きすると主茎長が短くなり、収量が著しく低下します。
●晩生品種を早播きすると主茎長が長くなりすぎ、場合によっては蔓化し、倒伏することがあります。
●早生品種や中生品種は、段播きすると収穫時期を調整することができますが、中晩生や晩生品種では、効果は限定的です。

播種(直播き体系) 

●一般的には、播種機を活用して省力的に作業します。
●品種ごとの早晩性や生育量を考慮して、畦幅、株間、一穴あたりの播種粒数を決定します。
●播種深は、土壌が乾燥している場合は、やや深めが適します。

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播種作業

●極早生、早生品種では、畦幅70~90cm、株間20cm程度の一条播きとし、必要に応じてマルチ栽培を行います。
●中生品種では、畦幅は70~90cm、株間20~30cmの一条播きとします。
●晩生品種では、畦幅80~90cm、株間40~45cmの一条播きとします。
●生育は、直播きの方が旺盛で、移植よりも遅く播種できます。

 

育苗(移植体系)

●ネキリムシ類の被害や鳥害の発生しやすい地域では、移植体系が適します。
●地域在来系統などで発芽率が低い品種も、移植体系がよいでしょう。
●機械定植に対応するため、近年はセル育苗が一般的です。
●定植適期は子葉展開~初生葉展開までとし、育苗方法や生育環境にもよりますが、育苗期間は10~15日程度が目安となります。
●移植機を利用する場合は、活着を良くするため、本畑は特に細かく砕土します。

 

定植後の管理

●直根が土中深く伸張することから、乾燥には比較的強いですが、開花期に土壌が乾燥すると結実障害を起こしやすいので、注意します。
●過湿には弱く、圃場内に水が停滞すると、葉が黄化して生育不良となります。
●雑草の発生を抑えると同時に、不定根を発生させて根量を増やし、生育を促すため、中生~晩生品種では、2~3回の中耕培土を行います。特に、晩生品種では土寄せの効果が高いです。
●1回目の中耕培土は本葉展開時に行いますが、除草を兼ねて子葉の付け根までとします。
●2回目は本葉3枚頃に、初生葉節位まで行います。
●最終土寄せは5葉期として、第1本葉の付け根まで行います。
●開花直前の培土作業は、断根などで生育を阻害するので、開花の10~15日前までに終了しておきます。

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中耕・培土作業

主な病害虫

●病害虫の防除には、小まめな見回りによる早期発見が重要です。早期発見、早期防除で発生の拡大を防止します。
●病害は、べと病、茎疫病等に注意します。
●べと病は、密植した場合や降雨の続く年に多いので、密植を避けて発生初期の防除を徹底します。
●虫害では、アブラムシ類、チョウ目害虫(ツメクサガ、ハスモンヨトウ、ネキリムシ類、ウコンノメイガ等)、タネバエ、フタスジヒメハムシ、カメムシ類に注意します。

収穫・調製

●収穫は、莢の中の子実が8割ほど(時期や品種によっては6割ほど)に充実した頃に行います。あまり肥大しすぎると莢の色が黄化したり、食味が悪くなるので遅れないように収穫します。
●品質低下を避けるため、品温の低い早朝に収穫します。 
●トラクターアタッチメント式収穫機、自走式ハーベスタによる莢収穫や、バインダー等による刈り取り収穫をし、別途、脱莢選別機にかけて脱莢します。

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左から上から トラクターアタッチメント式収穫機 / 自走式収穫機 /えだまめコンバイン

●収穫、脱莢後は直ちに洗浄・脱水し、選別後はすぐに予冷庫に入れて、品温を下げます。
●その後、予冷庫から出して鮮度保持パックに入れ、箱詰めし、集出荷場の予冷庫に搬入します。
●出荷調整一貫施設等では、洗浄・脱水・選別後、直ちに鮮度保持パックに入れ、箱に詰めて予冷庫に搬入します。 

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洗浄ライン(左、中)と選別作業(右)

執筆者
石山 新治
農林水産部農業技術環境課 野菜技術専門員

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