水稲種子の入手法
道府県奨励品種の入手
●各道府県の奨励品種は、それぞれの地域に適性をもつものが選定されています。
●栽培暦が整備され、普及指導機関の指導を受けられるなどの点で、有利です。
●種子は、通常地元JA等で販売されているため、入手が容易です。
●ただし、新形質米や飼料用(稲発酵粗飼料用・飼料米用)品種で、道府県の奨励品種になっているものはほとんどないのが難点です。
奨励品種ではない場合の入手
「適品種の選定」
●奨励品種でない品種を作りたい場合は、それぞれの地域にあった品種を選びます。
●用途や販路も考えて選びます。
●(独)農研機構のホームページや配付パンフレットを参考にすると、よいでしょう。
●疑問があれば、試験研究機関に問い合わせることができます。
「種子の入手法」
●作付けしたい品種を決めたら、いよいよ種子の入手ですが、大きく分けて以下の2つの方法があります。
「市販種子の購入」
<新形質米や主食用品種の場合>
●「のうけん」「特定非営利活動法人新形質米普及会」「彩の国籾種生産組合」等の団体が、手広く種子を扱っています。
●通信販売等で、購入することができます。
<飼料用(稲発酵粗飼料・飼料米)品種の場合>
●「日本草地畜産種子協会」から、種子が市販されています。
●「日本草地畜産種子協会」からの入手は、都道府県を通じた種子供給になるので、普及指導機関や地元JAに相談します。
※農研機構育成品種の種子入手先のリストは農研機構のウェブサイトで見ることができます。
<米粉用米>
●新規需要米用途の中で、米粉用米は、現状では、主食用品種が用いられる事例が多いようです。最近では「ゆめふわり」「こなだもん」「ミズホチカラ」等米粉適性の高い専用品種も普及しつつあります。
●飼料用に育成された多収品種にも、米粉用米への適性が高い品種があり、米粉用に利用できますが、飼料米用に生産されたお米や種子を転用することには制限がありますので、多収米品種の米粉利用は取り組む前に地元の普及機関に問い合わせたほうが良いでしょう。
「育成者から原種を入手して自家採種する」
●希望の種子を上記団体や種苗会社が扱っていない、または品切れの場合は、育成者から原種を入手して、自家採種する方法があります。
●この場合、まずは育成元の研究所に問い合わせ、「この品種の種子を入手したい」ことを伝えます。
●その後、研究所の事務担当窓口から必要な書類を入手して、契約手続きを行います。
●契約締結後、原種が送付されてきます(有償)。
●あくまで増殖用の原種供給のための制度なので、次年度用の種子の採種を忘れず行います。
「奨励品種でない品種栽培上の注意点」
●奨励品種になっていない品種を栽培する場合は、販売先や価格についても事前によく検討し、販路を確保する必要があります。
●各県で産地品種銘柄に指定されていない品種を栽培した場合は、品種銘柄として農産物検査が受けられません。
●同様に、JAS法上、品種名を明記しての販売はできません。
●ある程度の流通量が見込める等、一定要件を満たす場合は、新規銘柄設定を申請することができ、認められれば、産地品種銘柄として取り扱いができるようになります。
●有色米(赤米、黒米)や飼料用品種を作付けする場合は、漏生※や花粉の飛散による混種に注意します。特に、近隣に採種圃がある場合は、要注意です。
※漏生 :前年の種のこぼれたものが、次年度に生えてきて混じること
種子取り扱い団体連絡先
<新形質米や主食用品種>
●(株)のうけん
TEL 075-594-0888
●特定非営利活動法人新形質米普及会
TEL 048-562-0257 FAX 048-562-2976
●彩の国籾種生産組合
TEL 0494-21-4315
<飼料用品種>
●(一社)日本草地畜産種子協会
TEL 03-3251-6501
坂井 真
農研機構 九州沖縄農業研究センター 広報普及室長
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