土づくり編(8) 畦の作り方
●よく砕土し、根張りをよくする
●周囲より高くすることで排水が良くなる
●畦の中に肥料を混和し、肥効を高める
●サツマイモやバレイショ等の根菜類が生育しやすい環境を作る
などの目的があります。
植え付ける作物によって、また、同じ作物でも土壌条件によって形状が異なります。例えば、排水の悪い水田での野菜作では畦を高くし、逆に乾燥しやすい礫(れき)土壌などでは、畦を低くします。
地域によって異なる点はありますが、ここでは畑作、露地野菜の一般的な畦形状を説明します。
畦の形状
「丸畦(小畦、高畦)」
小さなものは高さ10cm程度で発芽までの排水対策等を目的とします。
一般的に、畦高さ15~35cm、裾幅30~60cmで、サツマイモやバレイショ、サトイモ、小さな畦はゴボウ、大きな畦は葉タバコに適します。
各部分の名称
左から上から サツマイモ畦と、ゴボウ畦
「平高畦」
●台形畦・1条用
畦の頂部を平らに成形したもので、大きさは畦高さ10~20cm、畦肩幅30cm程度、畦裾幅40cm程度です。キャベツやハクサイ、ブロッコリーで用いられます。
丸畦の頂部を平らに成形し、短根ゴボウを作付ける大きな平高畦もあります。
●台形畦・多条用
畦高さは10~30cm程度です。
畦肩幅は品目や作付け条数によって異なりますが、50~150cm程度です。
ダイコン、ニンジン、タマネギなどで1畦2条植えから6条植え程度まで用いられます。
キャベツの1畦1条平高畦と1畦2条平高畦
「平畦」
平高畦と同様に、ダイコン、ニンジンなどが作付けされます。
畦肩幅は平高畦と同様ですが、畦高さは5cm程度と、ほとんど土を盛りません。マルチ栽培とセットで用いられます。
畦立て法
「丸畦」
トラクタや管理機に装着する畦立機で作ります。
畦立てと同時にマルチを行うことが多いため、マルチャを装備した畦立マルチャが主流です。
側板、天板の調節で畦の大きさの調節が可能です。タバコ用、サツマイモやバレイショ用、ゴボウ用など、畦の大きさに合わせ、いくつか種類があります。
耕うん軸駆動用のチェーンケースが機体中央にある、センタードライブ方式が主流ですが、畦立て前に種芋を配置するサトイモ、バレイショでは、種芋を動かさないように、中央部があいたサイドドライブ(両軸)方式を用いることがあります。
丸畦は畦高さが高く、土を多く盛るため、プラウ爪を用いることがあります。
左から上から センタードライブ畦立マルチャと、サイドドライブ(両軸)畦立マルチャ
左から上から サツマイモ2畦用畦立マルチャと、土盛用のプラウ爪
「平高畦(~高さ15cm)」
1条用の、畦高さ15cm程度までの平高畦は、成形機で作ります。
ロータリの後方に装着するタイプと、畦立ロータ、成形機が一体となった畦立専用機があります。また、レタスでは畦立てと同時にほ場全面をマルチフィルムで覆う、全面マルチ畦立機が使われます。
左から上から ロータリに装着する成形機と、小畦マルチャの台形畦仕様
左から上から キャベツ用の平高畦と、レタスの畦立て同時作業(施肥・マルチ)
(右側写真提供:長野県野菜花き試験場佐久支場 出澤文武主任研究員)
「平高畦、平畦」
平高畦、平畦は成形機で作ります。
トラクタのロータリに装着するものと、畦立専用機があります。畦立専用機はトラクタ用、管理機用があり、マルチャを装備したものもあります。
作付けする品目により畦肩幅が異なるため、畦立機の幅が数種類ありますが、成形機の側板、天板(畦の横、頂部を成形する)の幅、高さの調節が可能で、畦肩幅や畦裾幅、畦高さの調節ができます。平高畦では、多くの土を盛るため、耕うん爪にプラウ爪を用いることがあります。
平高畦畦立てマルチャ
左から上から ダイコン2条平畦と、ダイコン3条平畦
タマネギ4条平畦
「根深ネギ」
根深ネギ(白ネギ)は、植え溝に植え付け、培土で畦を作ります。
管理機が主流ですが、畦高さ(培土高さ)に応じて耕うん爪を変更します。
最終時は、スプーン状の耕うんつめを用いて土寄せ、成形を行います。
管理機でのネギ培土
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