提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ

農業のポータルサイト みんなの農業広場

MENU

農作業便利帖


土づくり

土づくり編(4) 耕うん、砕土、整地 

 ●種まき、植付前に土を細かくしたい
 ●プラウの後の土塊を砕きたい
 ●畑の凸凹を直したい
 

上記のような場合は、ハロによる作業がおすすめです。

圃場の仕上げはハロ

●プラウ耕をおこなったあとの圃場は土塊が大きく、表面に凹凸があります。この圃場の仕上げを行う作業機械がハロです。
●砕土はやや粗いですが、高速で作業ができます。

ハロとは

●ハロとは「砕土機」のことで、PTO動力(※)で駆動するロータリハロ、ディスクハロ、バーチカル(縦軸)ハロ、水田で使用する代かきハロ、PTO動力を利用しないディスクハロ、ツースハロ等があります。

2010kikai5_image9.jpg
代かきハロ

(参考)
農作業便利帖 稲編 「本田の準備」 >代かきを参照のこと

PTO動力
Power take offの略で、「動力取りだし装置」と訳す。
通常トラクタの後方中心にあり、トラクタ後部に装着した作業機に動力を供給する。ロータリ、マニュアスプレッダ、ブロードキャスタ等の作業機はPTO動力で駆動される。

ロータリハロの特徴

●ロータリハロは、専用の耕うん爪形状や配列を用いており、高速作業が可能になります。

2010kikai5_image0.jpg
ロータリハロ

【ロータリとは】
●ロータリとは、ロータリ耕うん部の略称です。
●耕うん爪を多数配列した軸(爪軸)をトラクタのPTO動力で駆動し、耕うん爪で土壌を砕きながら攪拌(かくはん)します。
●プラウと比べると耕深は浅く、草やわらの埋没効果は少ないですが、砕土が細かく、土壌の均平効果が高いので、トラクタ耕作業の中では最もスタンダードな作業機です。
●後部に鎮圧用のローラを装備したものもあり、これは土壌の乾燥や風食を防ぎます。

2010kikai5_image7.jpg
ロータリ動力入力軸(PTO)

「深耕ロータリ」
●標準的なロータリの耕深は15cm程度ですが、深耕ロータリは40~60cmの耕うんが可能です。
●ダイコンなどの栽培で、より深く耕す必要があるときに、回転半径の大きい耕うん爪を用います。また、爪軸を地表面より下にして作業することで深く耕せるようにしています。
●必要な動力は、標準的なロータリより2~3割程度大きくなります。

「超砕土ロータリ」
●稲株や土を細かく砕くため、標準的なロータリより耕うん爪の数や爪軸の回転数を増やしたロータリです。

2010kikai5_image10.jpg
超砕土ロータリ

【ロータリの分類】
ロータリは、爪軸の回転方向や駆動方式、用途により、さまざまな種類があります。

「ロータリ爪軸の回転方向による分類」
<正転ロータリ(ダウンカットロータリ)>

●標準的なロータリで、爪軸の回転方向は正転(トラクタ車輪回転方向と同じ)で、耕うん爪は地面から下に叩き込む方向に回転します。
●爪軸への耕うん爪取り付けはフランジ方式とホルダ方式があります。

2010kikai5_image2.jpg  2010kikai5_image3.jpg
左から上から フランジ方式 / ホルダ方式

●一般的に、フランジ方式は重業に適しますが爪軸に土が付着しやすく、ホルダ方式は土が付着しにくい特徴があります。
●土質や耕深によって差異はありますが、ロータリの耕幅と適応するトラクタは以下のとおりです。



<逆転ロータリ(アップカットロータリ)> 
●爪軸の回転方向が逆転(トラクタ車輪回転方向と逆)します。耕うん爪は地表面に向かい、すくい上げる方向に回転します。
●大きな土塊が下に、砕土された細かい土が上になるようになっており、砕土が優れ、草やわらの埋没効果が高い特徴がありますが、正転ロータリより大きな動力を必要とします。たとえば160cm幅の正転ロータリに適するトラクタが25馬力に対して、160cmの逆転ロータリに適するトラクタ30馬力以上になります(土質により差異があります)。
●草やわらを下層に埋め込み、表層は細かくなることで、播種後の発芽率の向上が期待できます。
●耕うん同時工程播種などに適しています。

2010kikai5_image6.jpg  2010kikai5_image11.jpg
逆転ロータリ(アップカットロータリ)

「爪軸の駆動方式による分類」
<サイドドライブ> 
● ロータリの片端に動力伝達用のチェーンケースがあり、爪軸の駆動を端から行う方式です。爪軸両端を保持するため強度を確保することができます。

2010kikai5_image12.jpg
サイドドライブ

<センタードライブ> 
●ロータリの中央にチェーンケースがあり、爪軸の駆動を機体の中央から行う方式です。
●爪軸の両端がフリーになっているため、爪軸の延長による耕幅の調節、爪軸の左右入れ替えが可能です。
●この特徴をいかして、溝上げや培土作業に用いられることが多いです。
●爪軸の保持が片端であることから、強度がやや弱く、チェーンケースの下に残耕ができます。
●耕幅120cm以下の軽度な作業を行うロータリに多い方式です。

2010kikai5_image5.jpg
センタードライブ

その他のハロの種類と特徴

「ディスクハロ」 
●直径40~60cmの皿状の円盤(ディスク)を5~10枚取り付けた軸(ギャング)を、2本あるいは4本装備しています。プラウ耕後の大きな土塊を砕土、均平に適しています。
●プラウ耕の耕起方向に対して、直角または45度に作業を行うと効果的です。

「ツースハロ」 
●下向きに装着された多数のツース(歯、スパイク爪)で土塊を砕きます。スパイクハロともいわれます。ツースは固定式や角度調整式、板バネ式があります。
●砕土効果が高く、ディスクハロ後の仕上げ作業、雑草や土中根の除去に効果があります。

「バーチカルハロ」
●縦軸(バーチカル)方向に回転するスパイク爪(逆U字形)で、圃場表面の土塊を砕土します。
●縦軸方向の回転で土壌の上下方向の移動がないので、プラウで鋤込んだ草、わらを掘り起こすことがありません。
●後部に鎮圧用のローラを装備しており、土壌の乾燥や風食を防ぐようになっています。

2010kikai5_image8.jpg
バーチカルハロ

土づくり編(3) 耕起
 土づくり編(5) 肥料散布・土壌改良資材散布

◆機械編もくじはこちら

※農業機械の情報は、(株)クボタ農業ソリューション製品サイトへ