今月の農作業(7月)
梅雨の動きに注目
曇雨天日が続く梅雨は、農作物の生育に大きく影響します。
果菜類では着果不良や病害の発生等が問題になります。
日照不足になると軟弱な生育となり、病気の発生を助長します。また、果菜類は着果が悪くなります。
長雨が続くと農作業ができずに管理にも手が入りづらくなりますが、梅雨の晴れ間には菜園に出るように心がけましょう。
果菜類の管理 【トマト】
冷涼・多照な気候を好み、雨や日照不良が続くと疫病、すじ腐れ果の発生が多くなります。そのため市場出荷用のトマトはハウス栽培や雨よけ栽培(右写真)になっています。
(1)整枝・摘葉
目標とする花房(おおよそ6段花房)が開花したら花房の上2枚の葉を残して摘芯します。
わき芽かきは続けて、収穫が済んだ花房の葉かきを行ない、不要な葉は除去します。
(2)収穫
果実全体が色づいたら収穫します。熟するほどに旨味成分のグルタミン酸が増えてきます。ただ、露地栽培では裂果も多くなりますので採り遅れには注意しましょう。
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果菜類の管理 【ナス】
最も高温・多湿を好む作物ですが、35℃以上を超える日が続くと着果が悪くなります。
(1)整枝・摘葉
葉が込み合い、光がとおりにくくなると果実の着色が悪くなります。内側の枝や葉を定期的に整理して果実に光が当たるようにします。
更新剪定(下図)を行なう場合は7月下旬が適期です。
※ 更新剪定の詳細はこちら
(2)収穫
果実の色つやの良い早朝に行ないます。
また、収穫した果実はしなびやすいので注意しましょう。
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果菜類の管理 【キュウリ】
高温・多湿を好む作物ですが、平均気温が25℃を超えると生育に影響します。
(1)整枝・摘葉
蔓ののびが速いので、子づる、孫づるの芽は1~2節を残して早めに摘み取ります。また、光沢を失った古い葉を取り除き、新しい葉に光が当たるようにします。
(2)収穫
一般的果実は、長さ20~23cm、重さ110g前後で収穫されています。肥大が速いので、収穫できる果実の有無を毎日確認する必要があります。草勢が衰えると曲がり、尻太、先細果の発生が多くなります。
果実のトゲは葉が退化したものと言われています。傷みやすいため、鮮度の目安となります。
▼「キュウリ」 栽培についての詳細はこちら
果菜類の管理 【カボチャ】
西洋種のカボチャは冷涼な気候を好みます。
梅雨時に圃場の排水が悪いと疫病が多くなります。
栽培の終わりに近づくと葉の老化、うどんこ病やウイルス病が目立ってきます。
8月に入ると一気に草勢が弱まります。
(1)成り蔓の摘芯と摘果
最後に収穫する果実の先の本葉10枚を残して蔓を摘芯します。
開花から収穫までの期間は35日~50日と品種による差がありますが、栽培終了を8月上旬とすると収穫できる果実は6月下旬頃までに着果したものになります。
それ以降に着果した果実は未熟果となりますので摘果します。摘果した未熟果を漬物にすると、パリパリとした食感が楽しめます。
(2)収穫
開花からの日数で収穫期の予測ができます。
果実に爪痕が立たなくなる。果梗(ヘタ)にヒビが入り、コルク化する。果皮の色合い等が収穫の目安になります。
収穫後、日が経つと糖化が進むため、やや粘質になり甘味も増します。
殺虫剤は害虫の発生初期に散布することが基本です。葉裏によくかかるように散布してください。
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梅雨明け後の強い日照と高温に注意
「梅雨明け10日」と言われるように、一気に強日照となり気温が急上昇します。
カボチャ、スイカなどの果実の日焼け、トマトの尻腐れ果などが発生しやすくなるので注意します。
ミニ情報
【キュウリ果実のブルームについて】
西暦1983年はトマト、キュウリの大きな転換期でした。
トマトでは完熟出荷に適した品種"桃太郎"の栽培が始まりました。それ以降、味を重視した完熟系品種が主流になりました。
一方、キュウリでは接ぎ木の台木用カボチャ"輝虎(キトラ)"に接いだキュウリが市場に出荷されました。輝虎に接ぎ木をしたキュウリは、ブルーム(果実の表面に付着しているロウ状の白い果粉でケイ酸分が多い)が見られず、色つやも鮮やかでした。しかし、果皮が硬く、漬物には不向きという意見もありました。
ただ、みばえ、日持ちが良いということで評判となり、1箱(5kg)で200~300円高く取引され、またたく間にブルームレスキュウリが市場を席巻しました。
自根栽培のキュウリではブルームが発生します。
ブルームは高温多湿の熱帯夜が続くと発生が多くなります(人間の汗のようなものかもしれません)。
病気などから身を守る働きもあるのではないかとも言われています。
ブルームレス台木に代わってから、うどんこ病や褐斑病の発生が増えたような気がします。
自根栽培のキュウリ(左上)とブルームレス台木カボチャに接ぎ木したキュウリ(右下)