今月の農作業(5月)
遅霜に注意しましょう
「夏も近づく八十八夜・・・」と唄にもありますが、5月5日頃には「立夏」となり、暦のうえでは夏に入ります。
一方、「八十八夜の別れ霜」ということわざもあります。霜に弱い作物は注意が必要です。
降霜の恐れがある場合、ジャガイモ、スイートコーン、カボチャ等には不織布をかけるなどの対策を講じましょう。
主な果菜類の管理作業 【トマト】
主枝1本仕立てが最も一般的な整枝法ですが、接ぎ木苗は生育が旺盛となるため、第1花房下から伸びる側枝を伸ばした主茎と側枝の2本仕立てもあります。
風で倒れないように支柱を立て、トマトの茎を紐で締め付けないように「8の字」にして支柱に結びます。
葉の付け根から出た「わき芽」は、早めに手で取り除きます。特に花房の下葉から伸びる芽は生長が速いので取り遅れないようにします。
開花した花には着果促進のため、植物ホルモンの「トマトトーン」を噴霧(スプレー散布)します。
※管理作業は薄手のゴム手袋をはめて行うとよいでしょう。もし素手で行ない、トマトの樹液が指に付いた場合は、トマトの果汁で手をこすると汚れが落ちます。
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主な果菜類の管理作業 【ナス】
ナスの果実は風で擦れやすいので風が当たりにくく、陽当たりの良い場所に植え付けます。
植付けた後の生育はゆるやかです。
芽が伸びてきたら、主枝に着生した最初の花(1番果)の下から伸びた側枝2本を伸ばして、3本仕立てにして誘引します。
側枝から下の芽はすべてかき取ります。時として、接ぎ木苗の台木から芽が出て伸びる場合があるので注意しましょう。
ナスの花は、主枝の8~9枚目の葉のうえに最初の花が着生します(接ぎ木苗は7枚前後)。その後、2葉おきに花が着生します。
草勢が弱い株の場合、最初の花を着果させると株への負担が大きいので、摘果します。
低温期には果実の肥大が悪く、「石なす」(※)の発生も多くなります。
「トマトトーン」を花に噴霧すると果実の着果が良くなり、肥大も早まります。
※石なすとは、着果しても硬く小さいままで、肥大しない果実のこと(低温期に発生しやすい)
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主な果菜類の管理作業 【キュウリ】
キュウリの仕立て方には、
①親づる1本仕立て
②親づると子づる2本の3本仕立て
③苗の内に本葉4~5枚を残して摘芯をして、伸びてきた子づるを3本にする仕立て方があります。
仕立て方に応じて植え付ける間隔(株間)を調整します。
親づるから伸びたのは子づる、子づるから伸びたのは孫づると呼んでいます。
主な品種は節成性(※)が強いため、多くの節に雌花が着生します。
親づるの下のほうの節に着果させると果形が悪く、草勢低下の一因になるので、6節以上に着果させます。
子、孫づるからなる側枝は、早めに1~2枚の葉を残して芽摘み(摘芯)を行ないます。遊びづるを2本伸ばすのは草勢を維持するためです。
蔓の誘引は、テープやネットを張る方法があります。
※節成性とは、節ごとに着果し、結実する性質のこと
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主な果菜類の管理作業【カボチャ】
地ばい栽培のため面積が必要になります。
最近は、極早生で着果数の多い、ミニカボチャが人気になっています。
管理面から子づる3本仕立てが良いと思われます。
苗のうちに本葉4枚を残して芽摘み(摘芯)を行ない、子づるが伸びてきたら生育の良い3本を残し誘引します。
子づるから発生した孫づるは早期に切除します。
カボチャは雌雄異花のため、着果には受粉が必要です。花粉を媒介する蜂が少ない場合は人口受粉を行ないます。
株元の下の方の節に着果させると、果形が悪く小玉果になります。10節以下に着生した雌花は落として、その先の雌花に着果させます。
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ミニ情報
【トマトトーンの特性と使用法】
トマトトーンは農薬で、植物成長調整剤に分類されています。
成分は、パラクロロフェノキシ酢酸で合成オーキシンの仲間です。
農薬登録により、使用できる作物や使用法が定められています。
トマト、ミニトマト、ナスでは着果促進、果実の肥大促進、熟期の促進を目的に、また、メロン、しろうり、ズッキーニでは着果促進を目的に使用します。
散布は、芽や幼葉にかからないよう注意しておこないます。
1花房または1花につき1回の散布です。重複散布にならないように注意しましょう。
希釈倍数は作物ごと、使用時の気温等により決められています。
使用に際しては、説明書を確認して下さい。
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