今月の農作業(3月)
タネまきシーズンの到来
暦のうえでは、3月5日頃に啓蟄を迎えます。少しずつ暖かくなり始め、冬ごもりしていた虫たちも活動を始めます。
農作業においてもタネまきが始まりますが、気温の変動が大きく、氷が張ったり、霜が降りる日もあるので、凍霜害に弱い野菜は、タネまきや植付け時期には注意が必要です。
タネまき(播種)期を迎えている主な野菜
発芽の適温は種類により異なります。
じかまきするダイコンやニンジン、コカブ、コマツナ、ホウレンソウは温度が低い状況で発芽するので、播種が可能です。ダイコンのように低温に感応して花芽分化を起こしやすい場合は、抽苔(とう立ち)の遅い品種を選びます。
ネギ類、レタス、キャベツなどは、最低夜温が10℃以上を保てる場所で苗づくり(育苗)を行ない、ある程度の大きさに育ったら植え付けます。
トマト、ナス、ピーマンは育苗期間が2カ月以上と長く、今からタネをまく必要があります。しかし、発芽に必要な温度は他の野菜よりも高く、電熱加温の育苗器が必要です。そのため、ホームセンター等での苗の購入をおすすめします。
参考 発芽培地温と発芽までの日数(目安)
培地温が低いと発芽までの日数が長くなります。逆に35℃以上の高温になると、発芽障害を起こす野菜が多くなります。
▼「種(タネ)について」 の詳細はこちら
育苗用土の準備
播種床や移植床、鉢育苗に使用される用土は、園芸用培土として市販されています。
ピートモスを主体に粒状、又は粉状でバーミキュライトやパーライトを混合したものがあります。熱処理による殺虫殺菌、土壌酸度の調整、肥料成分が添加されており、安心して使用できます。
一般に播種用は細かく、移植用は粗目の培土を用います。
ピートモス主体の用土は、水を弾く性質がありますので、灌水後に水が中まで浸透しているかを確認して下さい。
上2点が播種用、下1点が移植用培土
ポリマルチで地温の上昇を図る
春先は気温に比べて地温の上昇が緩慢です。降雪があるとさらに遅れます。そのため、ポリマルチの効果が大きいといえます。
ポリマルチは厚さ0.02~0.03mmのポリエチレン製フィルムです。
色は透明、黒、グリーン、白黒ダブルなど、幅も95~210cmと各種あり、目的や栽培する野菜に応じて使い分けます。
地温の上昇効果は透明マルチが最も優れていますが雑草も生えるため、地温上昇効果はやや落ちるものの雑草を抑えられる黒マルチが多く使われています。
タネまきや植付けの1週間前にはポリマルチを張り、地表10cm深さの地温が10℃以上を目安にします。
また、不織布をかけると保温効果もあり、発芽の安定や定植苗の活着促進になります。
強風によりポリマルチがはがされることがあります。マルチの両端にあたるところに溝を切り、土寄せをしてしっかり押さえます。さらにポリ袋に土を入れ、マルチ上に置いて重しにします。
マルチのみの状態(左上)と、上に不織布をかけた状態(右下)
ミニ情報
家庭菜園で最も使いやすいと思われる95cm幅で有孔のポリマルチを紹介します。
フリーホール黒マルチ (提供:岩谷マテリアル株式会社 イワタニ菜園シリーズ)
※図のような間隔でミシン目の切込みが入っているので、栽培する野菜に合わせて孔の間隔を決めることができます。