今月の農作業(10月)
秋の日はつるべ落とし
「秋の日はつるべ落とし」ということわざがあります。
秋が深まるにつれ、あっという間に日が暮れてしまいます。それとともに気温も下がります。
露地栽培の葉根菜類は、本格的な寒さの到来までに、ある程度の大きさに育てておかなければなりません。
いつまでにタネをまかなければならないという「播種晩限」は地域により異なりますが、ダイコン、春キャベツ等のタネまきは終わりましたか?
コマツナ、ホウレンソウなども今月中には終えたいものです。
秋冬どり根深ネギの土寄せ
葉鞘部の軟白化を図るため、定植後、生育を見ながら、約4~5回に分けて土寄せを行ないます。
一度に多くの土をあげ過ぎると、根を切ってしまい、生育に影響します。
土寄せは、首元(葉身部と葉鞘部の分岐部位)から1cm下までが目安です。
最後の土寄せ(止め土)では、軟白部を仕上げるため、首元の3~5cm上まで土をかけます。
11月以降の収穫を目指す場合は、収穫40日前を目安に、最後の土寄せを行います。
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夏秋どり根深ネギのタネまき
秋冬ネギの収穫期を迎える一方で、来年の夏秋どり用のタネまきが始まります。
タネまきは「ねぎの作り方」に準じて行ないます。
近年、ネギ坊主が発生しにくい晩抽性品種(品種名:春扇、羽緑一本太、龍まさり、秀蔵など)の育成が進み、10月にタネをまき、 3月に植付けて6月下旬から7月に収穫することも可能になりました。
サヤエンドウのタネまき
若いサヤを食用にするサヤエンドウ、青実とサヤの両方を食用にするスナップエンドウがありますが、作り方は同じです。
豆類は連作に弱いと言われますが、エンドウは特に弱いため、同じ場所での連作は禁物です。
連作障害は株の生育が悪く、早く黄化して、株が枯れ上がるような症状で、収量も低下します。
タネまきは10月下旬頃に行いますが、「直まき」と「ポットまき」があります。ポットまきの場合は、直まきと同様に4~5粒ずつポットにまき、11月下旬頃に植え付けます。
早くまき過ぎると年内に伸び過ぎて、冬の寒さで凍害を受けやすくなります。
同じマメ科のソラマメもこの時期が播き時です。
▼「サヤエンドウ」 栽培についての詳細はこちら
ミニ情報
「ネギ坊主を出さない栽培法」
3月に定植した苗が4~5月にかけて、ネギ坊主が発生することは自然な現象でした。
ネギはグリーンバーナリゼーション(緑植物感応)型の植物です。
ある程度大きくなった苗(越冬時の葉鞘基部径が6mm前後、葉数が約5枚)は、低温(5~10℃)の温度帯に一定期間(約1カ月)遭遇すると花芽分化を起こし、ネギ坊主の出蕾(とう立ち)となります。
ネギの場合は、成長点での花芽分化と共に側芽が形成され、成長した側芽(新生株)を収穫することができますので、とう立ちによる減収はありません。
しかし、とう立ちによって収穫できるまでの期間が約1カ月半遅れてしまいます。
近年、晩抽性品種の育成、栽培法の改善により、1本太系根深ネギの「ネギ坊主を出さない栽培法」が普及しています。
●栽培法のポイント
①花芽分化を起こしにくい晩抽性品種の選定
②低温に感応しない苗の大きさで冬(低温期)を乗り切るために、播種時期を9月から10月に変更
③定植後はビニールトンネルで保温して生育を促進。日中の温度を30℃前後で管理して脱春化(ディバーナリゼーション)を誘導
産地では以上のような技術を組み立てて、年内からポリマルチ、ビニールトンネルでの保温を行ない、5月中旬から出荷をしています。