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今月の農作業

今月の農作業(8月)

夏を代表する果菜類から葉菜類、根菜類への切り替え時期

 この時期は、夏を代表する果菜類から葉菜類、根菜類への切り替えの時期です。
 そのため、前作の夏野菜の片づけ、秋野菜の播種(タネまき)、育苗(苗づくり)がおもな作業になります。
 一般に葉菜類、根菜類の生育適温は15~20℃と冷涼な気候を好みますが、これからは気温の降期に向かうため、適期に播種することが重要です。

201308kongetsu_image6.jpg 早く播種すると残暑下での生育となり、病害虫の被害や生理障害が発生しやすくなります。逆に遅れて播種すると生育途中で寒さがきて、十分育たない状態で生育が止まってしまいます。

 ホウレンソウ、コマツナ、ダイコン、ニンジンのように畑に直接タネをまくものと、葉菜類のレタス、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリーは苗を育ててから畑に植付け(定植)ます。

 育苗は以下の方法があります。
①一旦、播種床にすじまきし、本葉が1枚になったら、ポリエチレン製の連結ポット(36又は25穴)に植え替え(移植)して、定植まで育苗する方法
②連結ポット又はセルトレイの各穴に2~3粒のタネをまき、間引きをして1本にする方法)。

 直接ポットやセルトレイに播種する場合は、植え替えの際に根を切ることがないので、苗の生育もスムーズにいきますが、子葉下の胚軸が伸びて徒長しやすいのが欠点です。

育苗の留意点

育苗の留意点は以下の通りです。

●土壌消毒、肥料入りの「たねまき用培土」を使用します。
●播種する前に十分に灌水します。培土がピートモス主体の場合は水をはじき、浸み込みこみにくい場合があります。
●播種後、覆土をして表面が乾かないように紙などで覆いますが、徒長しないように発芽直前に取り除きます。
●週間天気予報等を参考に、晴天日に発芽揃いになるように播種日を決めます。

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▼苗づくりの詳細はこちら

レタスの育苗

201408_IMGP0556.jpg 発芽適温は15~20℃のため、外気温が高い時期は発芽不良になります。
 一般の種子(裸種子)を使用する場合は、一晩水に浸けて吸水させた後に水を切り、10~15℃前後の冷蔵庫に丸1日置いた後に播種します。
 コート種子の場合は、そのまま播種しますが、涼しいところに置き、コート種子が割れたら陽の当たるところに並べます。

右 :一晩吸水させた後に乾かないように濡れた紙に包んで、冷蔵庫の野菜室に丸1日おいた後に播種した場合とそのまま播いた場合の発芽状況。赤で囲んだ右半分が「吸水・冷蔵処理」、左半分が「無処理」。レタスの発芽が温度に敏感であることが分かります。

●注意点
 レタスの種子は、光があたることで発芽が促進される「好光性種子」のため、播種後の覆土は種子が隠れる程度にします。
 コート種子の場合は、一部がわずかに見える程度に覆土します。

▼レタスの作り方はこちら

ブロッコリーの育苗

 高温期の育苗は徒長しやすくなります。
201308kongetsu_image3.jpg 育苗には、約35日程度を要するので、育苗箱に播種した後、本葉が1~2枚になったら25穴の連結ポット又は6cm径のポリポットに移植します。
 コート種子の場合は、1粒ずつポットに播種し、徒長に注意します。
 播種期は7月中旬~8月中旬と幅があります。播種期に合わせた品種の使い分けが必要で、極早生種、早生、中生、晩生の順に播種していきます。
 晩生種ほど花蕾がドーム型になり、耐寒性も強くなります。

▼ブロッコリーの作り方はこちら

ニンジンの播種

 土を深く耕し、砕土、整地を行なった後に播き溝を浅く作り、すじまきをしますが、タネが細かく播きにくいため、コート種子が便利です。

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普通のタネ(左)とコート種子(右)

 播種期は7月中旬~8月上旬です。早まきすると根の肥大が進み、割れ(裂根)ニンジンができやすくなります。逆に、遅れると肥大不足で小さなニンジンになります。
 ニンジンは発芽まで約10日かかり、地温が30℃を超えると発芽も極端に悪くなります。下記の点に留意しましょう。

●土壌が湿っている状態で深く耕し、砕土を丁寧に行い、土が乾かないうちに播種します。
●「好光性種子」のため、タネまき後の覆土は軽く行います。その後、鎮圧して、土の乾燥防止に遮光ネット(遮光率60~80%)を播種面に直がけし、上から灌水すると地温の上昇も抑えられ発芽が良くなります(播遮光ネットは播種後1週間で発芽し始めたら取り除きます)。
●タネまき時に土壌が乾燥している場合や晴天が続く場合は、発芽まで灌水します。

▼ニンジンの作り方はこちら

秋作ジャガイモ

 休眠性の浅い「デジマ」等の品種が多数出回り、秋に新ジャガイモを作ることも容易になりました。
 近年、関東地方でも初霜が11月下旬以降と晩くなり、タネいもを8月末~9月上旬植付け、11月下旬以降に収穫できるようになりました。生育初期は高温であるが、いもの形成・肥大期には冷涼・短日となり、いもの発育に適した環境になります。
 植付け時の地温が高い状態では、タネいもを切断すると腐りやすくなるので、なるべく小さめのタネいもを購入し、切断しないでそのまま植え付けます。

▼ジャガイモの作り方はこちら

ミニ情報

【葉菜類・根菜類の花芽の形成を起こす環境要因】
201308kongetsu_image7.jpg 花芽は温度や日長に感応して花芽が誘起されます。
 十分な葉数が確保できないうちに生長点に花芽が形成されると葉数不足になり、不結球や不時抽だいの原因になります。

 アブラナ科野菜は低温が引き金になり、花芽が形成されますが、
 ①種子感応(種子が吸水して胚が動き出した状態で低温に感応)
 ②緑植物感応(一定の大きさに育った状態で低温に感応) に分類されます。
右 :アブラナ科のブロッコリーの花

 花芽の形成を誘起する温度の段階は、種類や品種による差もありますが、一般に低温感応性の多くは5~13℃の温度に敏感に反応します(ブロッコリーは品種による差が大きく5~25℃と幅がある)。逆にレタスは20~30℃の高温に感応します。
 ホウレンソウは長日条件下で花芽を形成します。そのため、街灯の近くでは、低温期でも花芽が形成され、抽だいします。抽だいは節間が伸長して花茎が伸びる現象で、温度が高い程促進されます。

花芽形成要因と主な葉菜類・根菜類の野菜

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