提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ

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農作業便利帖


野菜づくりの基本

土づくり

(2021年7月 一部追記)
(2018年8月 一部追記)
(2023年4月 改訂)
(2024年1月 一部修正)

良い土とは

 良い土とは水はけ、水もちが良く、堆肥のような有機物を多く含んでいる土です。

 粘土を多く含んだ重い土から砂のようにさらさらした感じの軽い土まで、いろいろな土がある中で、重くもなく軽くもない中間の土「壌土」が、野菜作りに比較的適した土です。

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●良い土の条件は、以下の7点です。
1.根が十分に張れる
2.通気性と排水性が良い
3.保水性・保肥性にすぐれている
4.適正な酸度である
5.清潔である
6.異物が混ざっていない
7.微生物が多く含まれる

 

野菜づくりに必要な土の養分とpH

(1)養分
 野菜類の生育には炭素、酸素、水素、窒素・カリウム・カルシウム・マグネシウム、リン、イオウの9つの多量必須要素と・ホウ素・鉄・モリブデン・マンガン・亜鉛・銅・塩素の7つの微量必須要素などが不可欠です。

(2)野菜の生育とpH
 野菜の種類ごとに、生育に好ましいpH(※1)が異なるので、適正なpHの土づくりを行います。

※1 pH(ペーハー)
酸・アルカリの強さは、pH(ペーハー)という記号で表します。
pH7を中心に、値が小さいほど酸性の性質が強く、値が大きいほどアルカリ性の性質が強くなります。

酸・アルカリとpHの値

(3)酸度を調整する
●酸性土壌を中和する場合
 1平方メートルの面積を10cmの深さまで耕す場合、消石灰を80~100g、または苦土石灰・有機石灰(かき殻)を100~150gを施すと、酸度が「1」上がります。
 土の深さを20cmにすると、2倍の量が必要です。
 石灰質肥料は、施したら、なるべく早く土と混ぜましょう。雨が降ると、石灰が固まってしまうので、注意します。

●アルカリ性の土壌を中和する場合
 鶏ふんを長年繰り返し使っていると、次第にアルカリ性に傾きます。
 アルカリ性になった場合には、鹿沼土の細粒かピートモスを混ぜます。

 作物別pHの好適生育範囲
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有機物の重要性

●安定して品質の良い野菜を継続して収穫するには、十分な有機物を土に混ぜ込み、「良い土」の状態にする必要があります。

●有機物が微生物の働きでネバネバを出すことで、細かい土粒同士が結びつきます(=団粒化)。団粒化すると、土の粒々のすき間が多くなって、通気性、排水性がよくなり、根にとっての環境がよくなります。



●施用量は、栽培期間が長く収穫量の多いナスなどは㎡あたり5kg(約10L)、一般の野菜は2~3kg(4~6L)が目安です。
●化成肥料や配合肥料を施せば、短期間なら野菜を収穫できますが、有機物の施用がないと、土はだんだん痩せて生育が悪くなり、収穫量と品質が低下していきます。

堆肥の種類と施し方

(1)堆肥の種類
●堆肥には、色々な種類があります。
●市販されている堆肥には、肥料要素の含有成分量や原料などが記載されていますが、他に注目すべき項目は、炭素率(炭素/窒素)です。
●炭素率が高いバーク堆肥、腐葉土堆肥、牛糞堆肥は窒素分が少なく、遅効性があります。多くの量を施すことができ、有機物や腐植の補給となり、土づくりには効果的です。
●一方、炭素率が低い豚糞堆肥、鶏糞堆肥、ぼかし肥は、上記の堆肥よりも含有成分量が多くなっています。分解しやすく、肥効が速く出るので、化学肥料的な特性があります。
●家畜糞(牛糞・豚糞)を原料とする堆肥は、畜舎の敷料(剪定枝チップ、おが屑、もみ殻など)を使用しているため、敷料の種類や量によって炭素率に変動があるので、注意が必要です。

(2)堆肥の施し方
●炭素率の高い堆肥は、タネまき・植付けの1カケ月前に石灰などの土壌改良資材とともに全面に施し、耕起して、土に混ぜ込みます。この作業は、2月~3月の休閑期に行います。
●施用量は10㎡当たり20~30kgが標準です。
(前作に施してあれば、秋野菜の作付け時は施用を控えても問題ありません)

●炭素率が高い堆肥や未熟な堆肥は、腐熟する際に土中の窒素を取り込み、「窒素飢餓」現象を起こすことがあります。よって、完熟したものを使用するようにしましょう。
●炭素率の低い堆肥は、タネまき・植付けの14日~20日前に施します。 ●全面に施す場合、10㎡当たり約2~3kgを施用し、土に混ぜ込みます。
●炭素率が低い堆肥は、高温期の施用ではガス(アンモニア)害が発生しやすいので、適量を施します。追肥として地表面に施用する際にもガス害の危険があるので注意が必要です。

 ○主な市販堆肥の種類と特性
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(3)堆肥を作る
●市販のコンポスターなどを利用して、家庭用生ごみのリサイクルで堆肥を作る方法もあります。
●材料の落ち葉・枯れ草・わらなどは、手で握ったときに、水分がやっとしみ出るくらいの状態に水をかけます。少しずつ積み上げ、そのたびに踏み込み、圧縮します。

 ○堆肥の作り方
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米ぬか"ぼかし肥"の作り方

詳しい作り方はこちら

【簡単!】米ぬか"ぼかし肥"の作り方

肥料の種類と特長

 一般に、肥料に使われるのは、窒素・リン酸・カリの3要素です。カルシウムとマグネシウムは、石灰質資材として、土の酸性度の調整に使われます。

(1)5大要素の特長
1)窒素
●植物を大きく生長させる養分。特に葉を大きくするため、葉肥(はごえ)と言われる。
●多すぎると徒長して軟弱になり、病害虫に侵されやすくなる。足りないと発育が悪く(大きく育たない、収量が少ない、品質がよくないなど)なる。

2)リン酸
●花肥(はなごえ)や実肥(みごえ)と言われ、開花や結実に不可欠の養分。
●多すぎると鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)を欠乏させ、足りないと発育不良から開花や結実の遅れ、子実の品質や収量の低下がみられる。

3)カリ(カリウム)
●主に根の発育に関係するので、根肥(ねごえ)と言われる。水溶性のため流亡しやすいため、少しずつ追肥すると効果がある。
●不足すると枯れ葉や落葉が早く見られ、病気にかかりやすくなる。

4)カルシウム(石灰)
●畑の土は徐々に酸性に傾きやすいので、土の酸度(pH)に応じて作付け前に必ず混ぜるとよい。土を中性に近い状態にしておくと、根張りがよく、土壌微生物の有益な菌を増やすことができる。

5)マグネシウム(苦土) 
●葉緑素の主成分なので、不足すると光合成の働きが悪くなる。

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(2)主な肥料の種類
1)単肥
 窒素、リン酸、カリのどれか一つを含む肥料
2)配合肥料
  窒素、リン酸、カリ原料を、2成分以上混合した肥料
3)化成肥料
 窒素、リン酸、カリ成分が、バランス良く含まれる粒状の肥料
配合肥料と化成肥料は、「複合肥料」と呼ばれます。
4)有機肥料
 油かすが代表的。油かすには窒素だけでなく、リン酸、カリも含まれている。リン酸肥料として知られている骨粉にも、窒素が含まれている。
 油かすも骨粉も、それだけでは肥料成分が偏るので、他の肥料と配合し、成分のバランスをとるとよい。

 (参考)有機肥料の成分割合
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施肥の基本的な考え方

●施肥の基本的な考え方は以下の通りです
①作物が必要とする養分 (窒素・リン酸・カリ・カルシウム・苦土などから考える)
②施用時期 (必要としている時に施用)
③施用する場所 (吸収しやすい場所に施用)
④肥料の形状 (どのような形態の肥料が良いかを選ぶ)
⑤施用量 (必要な施用量)

●リン酸、カルシウム、苦土は、元肥として全量施用します。
●窒素とカリは、元肥と追肥に分けて施用するのが一般的ですが、生育期間が短い野菜は、元肥のみに使用します。
リン酸やカリは、土壌からの供給もあるため、溶脱しやすい窒素量を基準に施用量を決定します。その際には、作物の吸収量、土壌中の残存窒素量、家畜糞堆肥からの供給量などを勘案します。
●家畜糞由来の窒素の肥効率は、速効性化成肥料と比べると、牛糞堆肥で3~4割、豚糞堆肥で5~6割、鶏糞堆肥で6~7割程度といわれています。

○化成肥料について
●化成肥料特長は以下の通りです。
①速効性で肥効が高い
②成分量が明確で施用量の調節がしやすい
③作物の窒素吸収パターンに応じて肥効が発現する、肥効調節型肥料もある

●追肥の場合は、速効性が必要です。
●追肥専用化成にはNK化成があり、窒素とカリの成分で15-0-15、16-0-14などになります。
●一般的な複合化成肥料を追肥として使用しても、問題はありません。
●土壌が乾燥している時やポリマルチ被覆の場合は、液体肥料や溶解性の高い固形肥料などを所定の濃度に薄めて、灌水代わりに施用する方法もあります。

○ぼかし肥について
●ぼかし肥は、すでに有機物が発酵により分解しているので、速効性があります。
●1回当たりの追肥量は、窒素成分で10㎡当たり約40gを畦間や株間に施します。
●その後、軽く中耕して、株元に土寄せを行います。

肥料の施用例

●例1:有機質肥料主体
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有機質肥料主体の元肥量は、窒素-リン酸-カリが150g-190g-148gで、窒素は有機質由来です。
鶏糞堆肥は3成分とも多いです。
炭酸カルシウムが多く、アルカリ分も約25%含まれています。

●例2:化成肥料主体
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化成肥料主体の元肥量は、窒素-リン酸-カリが同量の120gで、窒素はほとんどが無機態です。

●地力維持のため、例1、例2ともに、炭素率の高い腐葉土、牛糞堆肥などを10㎡当たり年間20~30kg施用することが必要です。
●その他、土壌改良資材の石灰(CaO)は、肥料としても土壌を適正酸度に保つ上でも、年間1kg以上の施用が必要です。
●リン酸欠乏土壌や深耕・天地返しの際には、堆肥とともに熔成リン肥を施用します。く溶性リン酸が約20%、珪酸、苦土も多く、アルカリ分を約45%含有しています。

多種多様な肥料

●肥料取締法の一部改正により、2020年12月1日から名称も「肥料の品質の確保等に関する法律」になりました。
●改正に伴って、肥料配合の自由度(選択肢)が拡がり、化成などの普通肥料、堆肥などの特殊肥料や土壌改良資材、産業副産物などの配合が可能になり、多種・多様な肥料が製造・販売されています。
●これら指定混合肥料は、使用する原料や加工方法により4種類に区分されています。購入の際に、確認してみてはいかがでしょうか?

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右下が「指定化成肥料」、その他3点は「指定配合肥料」

要素欠乏の症状

「果菜類」
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●キュウリ
石灰不足は、葉の周縁が黄色くなる。苦土不足は、葉脈間が黄色くなる。肥料が多いと苦土の吸収が悪くなり、苦土不足が起こりやすい。低温によっても発生する。
●トマト
石灰不足は葉縁部が黄色くなり、4段以降の果実に尻腐病が発生する。苦土不足は葉脈間が黄色くなる。石灰と苦土不足が起こりやすい。
●ナス
苦土欠乏がよく見られ、葉脈間が黄化する。石灰欠乏は、葉縁の一部が黄色となる。苦土不足が起こりやすい。

「葉茎菜類」
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●コマツナ
モリブデン不足は、葉がカップ状に内側にまく。
●ネギ
窒素不足は、下葉の先から枯れはじめ、葉色が薄くなる。リン酸不足は、葉は濃緑で生育しない。苦土不足は、下葉の苦土が若い葉に移行するため、外葉が黄色になる。
●ブロッコリ
窒素不足は下葉から黄色くなる。石灰不足は葉縁が黄変し、縁腐れになる。苦土不足は下葉の葉脈間が黄色くなる。
●レタス
窒素不足は生育が悪くなり、若い葉は立性となる。カリ不足は葉縁の切れ込みが黄色くなってくる。石灰不足は葉の周縁部が褐変し、中心部が心腐れを起こす。

「根菜類・いも類」
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●カブ
カリ不足は下葉の葉縁が黄色くなる。
●ダイコン
石灰不足は葉縁が黄色くなる。ホウ素不足は、サメ肌ダイコンや赤しん症が起こる。苦土不足が起こりやすい。
●ニンジン
石灰不足は、根に丸い黒色斑点を発生する。

ミニ情報:過剰な施肥に注意

●長年にわたり家庭菜園として利用している土壌中の養分を分析したところ、カリ、カルシウム、リン酸が基準値を大きく上回っている結果となり、土壌pHも「7」の上限に達している例がありました。
●土壌の養分バランスが崩れると特定の養分欠乏が発生しやすくなります。
●鶏糞堆肥や高度化成肥料などを毎年同じように使用していると肥料成分が土壌に蓄積されていきます。
●栽培する野菜の吸肥特性、生育状況などを観察しながら施肥量を決めましょう。
●家庭菜園においても、栽培開始年・栽培5年・10年後以降など、継続的な土壌診断をおすすめします。

◆家庭菜園に関する、その他の情報は、こちらから

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