たまねぎ直播播種機実演会を開催(佐賀県伊万里市)
2024年11月13日
佐賀県西松浦農業振興センターでは、令和5年度に全国農業システム化研究会事業により、溝底播種技術を用いたたまねぎ直播栽培の実証を行い、①直播栽培の出芽・苗立ちの確認と慣行(移植栽培)との収量・品質の比較、②慣行との労力・コストの軽減効果の比較、③新たな直播技術体系の導入による作業性や経営的メリットの整理および地域への導入体系の提案について検討したところである。
(参考)
▼【佐賀県】溝底播種技術を用いたタマネギ直播栽培の実証(令和5年度全国農業システム化研究会実証調査)
昨年度は、播種後の少雨による発芽率の低さが課題として残ったことから、今年度は灌水設備のあるほ場での発芽率や労力調査についての調査を行うこととした。
今回の実証で使用した、溝底播種技術を用いた作業機によるたまねぎ栽培のポイントは下記の通り。
・育苗や定植作業がなくなることで、移植栽培と比べ労働時間を削減できる。
・種子直下に施肥をすることで、基肥の施肥量を削減でき、コスト削減につながる。
・畝立播種の際、小さな溝を作ることで、直射日光を避けることができ、土壌水分低下や地温上昇のリスクを避けられる。
・ほ場でのリン酸が少ない場所でも直下施肥で補うことができるため、特に水田の転換作物として選択できる。
・直進アシストトラクタなどのスマート農機と組み合わせることで、移植栽培では難しかった露地栽培におけるスマート農業化の加速が期待できる。
(農研機構ホームページより)
10月2日には、佐賀県伊万里市の実証ほ場にて、「たまねぎ直播播種機実演会」が開催され、県普及関係職員、生産者、資機材メーカー等、約20名の参加があった(当日はあいにくの雨となったため、作業は前日に実施)。
はじめに、佐賀県西松浦農業振興センターの信原係長より実証内容の説明、株式会社クボタの担当者より機械の説明があった後、前日に播種が行われたほ場を見学した。また、ほ場見学時には、農研機構九州沖縄農業研究センターの松尾上級研究員から、溝底播種技術について、播種後には適度な水分量が必要であることなど、導入する上での留意事項が説明された。
株式会社クボタの担当者による機械の説明では、各地の実証事例を紹介する動画が併せて公開され、たまねぎ栽培にかかる労働時間を36%削減できたことなどが紹介された。
左 :実施ほ場全景
右 :株式会社クボタの担当者による機械の説明
左 :佐賀県西松浦農業振興センターの信原係長の説明を受ける参加者
右 :農研機構九州沖縄農業研究センターの松尾上級研究員による溝底播種技術の説明
溝底播種技術の畝の形状及び種子・肥料の位置(単位:mm)(農研機構提供)
「播種床形成器、施肥・播種装置」の概略図(農研機構提供)
左 :たまねぎ直播機(BS-4WUSOK)
右 :たまねぎ直播機の内部。画像の赤矢印部分で肥料散布、黄矢印部分で溝底播種、緑矢印部分で農薬散布を機械1台でそれぞれ行う
左 :供試品種の「アンサー」
右 :株間約10cmの間隔で播種が行われた(画像の赤枠で囲った部分に種子)
今後は令和7年1月に追肥・培土、5月に収穫を行い、溝底播種技術による出芽・苗立ち及び生育・収量の確認などを行っていく。地域におけるたまねぎの効率的生産につながることを期待したい。(みんなの農業広場事務局)