礫質土の作業に効果的な排水対策機械「カットブレーカー」の実演会を開催(島根県津和野町)
2022年06月22日
島根県西部地域ではキャベツ・ブロッコリーの生産が推進されているが、作土の次層に礫が分布する圃場が多く、排水対策で使用可能な機械が限られることから、排水不良や冠水により、減収となる事例が多く見られる状況である。
そこで、島根県農業技術センターおよび西部農林水産振興センターは、礫質圃場の排水対策技術の確立を目的に、今年度、全国農業システム化研究会事業を活用して、カットブレーカーによる排水性向上の実証をおこなうこととした。また、持続可能な栽培体系構築のため、有機物補給、連作障害回避、肥料効果を目的に緑肥を導入し、その効果もあわせて確認する。
試験区の概要
3月17日に溝掘機により額縁明渠を施工。3月30日には、緑肥(ライムギおよびヘアリーベッチ)の播種を行っている。
5月26日には振動式サブソイラ(慣行区)と、カットブレーカーmini(実証区)による施工を行った。
クボタパワクロトラクタ(SL350HCQGSPC2)+カットブレーカーmini(CKBS-04)による全層心土破砕作業(実証区)。ライムギの生育が想定よりも進んだため、刃に絡むなどで、一時作業が中断したが、機械の調整により無事に進めることができた
(クリックで動画再生)
サブソイラとカットブレーカーminiによる実演。作業スピードはカットブレーカーminiに軍配が上がる
(クリックで動画再生)
午後からは、島根県内農業関係機関、農研機構、資機材メーカ、生産者等約40名が参集し、「排水対策カットブレーカー実演会」が開催された。
農研機構農村工学研究部門農地基盤情報研究領域の北川巌グループ長補佐(写真上)からは、カットブレーカーについて、以下の説明があった。
・土壌をV字型に持ち上げるため、礫質土でも施工が可能。
・持ち上げたV字型の土壌を落とす際に亀裂が入ることから、破砕面が大きくなる。
・土壌が乾燥した状態での作業が適しており、施工後は土壌が柔らかく、2~3年はこの状態が保たれる。
・牽引の際に強い抵抗がかかるが、今回使用したパワクロトラクタは、安心して作業ができた。
・暗渠がなく、水が溜まりやすいような土壌には、カットブレーカーよりもカットドレーンが適している。
6月にはフレールモアによる緑肥のすき込み、7月には畝立て同時施肥およびブロッコリーの定植作業を行い、生育調査や収穫調査を経て、成果を取りまとめる予定だ。(みんなの農業広場事務局)