ナガイモのトレンチャー耕と施薬機の同時作業を実施(青森県六戸町)
2022年06月06日
作付面積日本一、国内出荷量の約4割を占める青森県のナガイモでは、重要土壌病害である根腐病の耕種的防除として、緑肥作物等を組み合わせた輪作体系を推進している。根腐病の発生が確認された圃場や、止むを得ず連作を行う圃場では、被害軽減対策としてクロルピクリンくん蒸剤による土壌消毒を実施しているが、同剤は刺激性があるため、使用時にポリマルチ等で被覆する必要がある。さらに、くん蒸後の被覆資材除去等の労働時間の増大、また、被覆資材が廃プラスチックとなることが問題になっていることから、リスク低減に向けた対策と省力的で環境にやさしい技術の確立が求められている。
このような中、やまのいもの根腐病に対して高い防除効果を持つユニフォーム粒剤が適用拡大となったが、同粒剤は作条土壌混和処理が必要であることから、トレンチャー耕を行うナガイモ栽培では簡便な方法がなく、普及の妨げとなっている。
そこで、今年度の全国農業システム化研究会事業で、方式の異なる二つのトレンチャー耕(ホイール式とチェーン式)と同時にユニフォーム粒剤を処理できる施薬機を使用し、効率的で効果的な施薬方法や作業軽減効果を検討することとした。
試験区の概要
5月19日、(地独)青森県産業技術センター野菜研究所の実証圃場において、トレンチャー耕同時施薬作業が行われた。この日は、同研究所、青森県、資機材メーカーなど、約20名の参加があった。
実証圃場の登録作業は4月18日の慣行区のトレンチャー耕時に実施。
TOPCONの自動操舵システム(トラクタに後付け)を使用。今回は、野菜研究所の建屋上に設置されたRTK基地局から情報を取得。デジタル無線方式で半径5kmの範囲をまかなっている
左上 :赤丸部分がTOPCONのモニター
右下 :野菜研究所の建屋上のRTK基地局。左側が受信用アンテナで、右側が送信用アンテナ。2020年に設置
トレンチャーで軽く印をつけた位置に、ヤマノイモ根腐病菌(大麦で培養)を接種。この上からユニフォーム粒剤の散布とトレンチャー耕を同時に行う
左上 :クボタトラクタ(M110GE)と、薬剤散布機(前)とホイール式トレンチャー(後)での作業。事前に登録されたデータにより、自動運転を行う
右下 :薬剤の吐出口は地面から12~13cmの位置 (クリックで動画再生)
5月24日には、種いも(新世紀)の植付けを実施。
8月後半には生産者などを対象とした実演会を開催し、施薬同時トレンチャー耕、ナガイモ掘り取り、掘り取り後の圃場整地など、一連の作業の紹介をおこなう予定である。(みんなの農業広場事務局)。