諫早湾干拓でスマート農業機械の実演会を開催(長崎県諫早市)
2021年10月13日
長崎県農技センター畑作研究部門干拓研究室では今年度、全国農業システム化研究会事業の実証調査に取り組んでいる。
試験圃場では、レタスとブロッコリー(※)を作付けしており、明渠や心土破砕等の排水対策を行い、各種農作業の作業性向上や生産安定を図る。また、位置情報を活用したスマート農業機械を利用し、作業精度の向上を検証する。
※干拓土壌のような保水性が高い土壌では平畝栽培は難しいが、排水対策と組み合わせることで栽培が可能となるかどうかを調査するため、ブロッコリーの平畝栽培を予備的に行うこととした。
●試験区の概要
排水対策は9月に実施し、その後、耕耘、施肥、成形および定植作業を行った。
10月6日には、排水対策および定植作業で用いたスマート農業機械の実演会を開催した。
新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が解除されたことから、県内普及関係者、生産者、資機材メーカー等40名程度の参集による開催となった。なお、開催にあたっては国のガイドラインに則り、安全に運営を行っている。
今回準備された実演機械は、以下の通りである。
機械実演の後は、参加者による試乗体験も行われ、実際に優れた機能を体感でき、有意義な実演会となった。
①直進アシスト機能付きトラクタ+全面心土破砕
(クボタ SL600HCQGSPC2P+松山パラソイラ EPS400K)
トラクタのキャビン部分にGPSアンテナが装着されており、GPS衛星から発信される電波を受信することで、未熟練者でも直進走行が可能である。
パラソイラは透耕水性を向上し、近年多く見られるようになった集中豪雨や長雨による土壌水分を速やかに地下浸透させることができるため、その後の作業を計画的に行うことができる。
②自動操舵装置
RTK基地局から位置情報データを受信するため、GPSより精度に優れる。取り付け、取り外しが簡易なため、複数の作業機で使いまわすことができる。
③直進アシスト機能付きトラクタ+成型機
(クボタ SL350HCQGSP+ササオカ大地くん STR3CDRM)
クボタトラクタ専用の成型機で、畝高20~30cmに成形することができる。本実証では使用しなかったが、マルチも同時に展張することも可能である。
④乗用全自動野菜移植機+自動操舵
(クボタ SKP200+ジオサーフ)
(動画を再生)
乗用全自動で2条の同時植えができ、キャベツ、はくさい、ブロッコリー、レタスに対応している。条間は40~66cmの間で7段階、株間は25~80cmで1cm間隔の調節が可能。株間については作業中に変更することも可能である。(みんなの農業広場事務局)