排水対策実証圃場でナガイモ収穫実演会を開催(青森県十和田市)
2018年12月12日
青森県の野菜生産はナガイモ、ニンニク、ゴボウ等の根菜類が主力だが、平成28年8月の台風等の大雨の際に、排水不良圃場でナガイモ、ゴボウ等で根部腐敗の被害を受けた。
そこで平成29年度に、全国農業システム化研究会事業により、ゴボウ圃場において弾丸暗渠やパラソイラ等複数の排水技術の組み合せによる実証調査を行ったが、効果は判然としなかった。
このため、平成30年度は、深さ1mのトレンチャー耕よりも深い、1.2mの深さで明渠を施工して排水効果を検討した。あわせてトレンチャー耕および収穫作業に自動操舵トラクタを使用し、オペレータ作業との比較調査もおこなった。対象品目はナガイモに変更、供試品種は園試系6。
試験区の概要
作業経過
11月14日には、JA十和田おいらせ農業技術センターの実証圃場において、機械実演会が行われた。
左上 :上北地域県民局地域農林水産部 近藤幹三次長による挨拶
右下 :農業普及振興室園芸班 乙部俊幸主幹による概要説明
上北地域県民局地域農林水産部の近藤幹三次長からの挨拶の後、実証調査担当の同農業普及振興室園芸班の乙部俊幸主幹から、取組についての説明があった。
明渠側の圃場の排水状況が比較的良好とのことだったが、5月に降った大雨の影響か、やや曲がったイモも見られた。
つづいて、実証調査に関連する作業機の実演が行われた。
●心土破砕
左からプラソイラ、サブソイラ、ハーフソイラを装着。実証圃場(黒ボク土)には、弾丸よりもウイングが適するなどの説明があった
●自動操舵トラクタによるトレンチャー耕作業
TOPCONのGNSSガイダンスシステム及び自動操舵システムを使用。前進だけでなく、後進も可能。
畦が蛇行すると収穫の際にイモを傷つけるなど、品質低下の要因となるが、自動操舵トラクタの場合、熟練者でなくとも直進が容易なため、作業精度の向上やオペレータの負担軽減が期待される (動画を再生)
●幅狭トラクタによる中耕
ナガイモ等の畦間作業に適した幅狭トラクタ。作業中に支柱やネットがかからないよう、プロテクタ(オプション)を装着している
●自動操舵トラクタによる収穫作業
トレンチャー耕時の走行ラインが記憶されているため、収穫時には同一ラインで作業が可能となる。また、自動操舵による安定した直進走行で、収穫物の品質低下(イモが収穫機で切れることによる)が防止できる。オペレータは収穫作業に専念できるので、負担も軽減 (動画を再生)
実演会には県内の関係機関、JA、農機メーカー等約40名が参加し、効率的な機械作業に対する理解を深めた。
この後は収穫物調査が行われ、2月に開催される全国農業システム化研究会最終成績検討会の発表に向け、実証結果の取りまとめが行われる。(みんなの農業広場事務局)