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ダイコンのキスジノミハムシ対策における播種作業(鹿児島県大崎町)

2018年09月19日

 夏・秋播きダイコンにおいて、キスジノミハムシは、幼虫が可食部に網目状の食害痕を残し、商品性を著しく低下させる。本種は成虫が土壌中に産卵し、ふ化した幼虫が加害することから、生育期の薬剤散布のみでは防除が困難な難防除害虫である。


 鹿児島県では、平成26年度から農業開発総合センターで全国農業システム化研究会事業による実証調査を行っており、浸透移行性のプリロッソ粒剤(ジアミド系)を地下5cm付近に処理することで効果が高まることを明らかにした。
 また、播種時播溝処理で農薬登録もされたことから、局所施薬する畦立同時施薬技術も開発された。さらに、既存登録薬剤のフォース粒剤は、成虫に対して忌避効果が高く、その効果は播溝土壌混和において施薬層の浅い処理が深い処理と比べて効果が高い傾向がみられることも分かった。
 そこで、試験場ベースで行われていた調査を、本年からは現場へ移行し、2剤を異なる層に局所施薬できる一行程播種機の作業性能調査と、2剤播種時併用処理による防除効果について調査を行うこととした。


 9月3日、片平農産(曽於郡大崎町)の実証圃場において、農業開発総合センターで開発された同時穴開マルチャ播種機を使用し、一行程播種作業を行った。
 試験概要は以下の通りである。


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【共通】
・プラントシーダー播種体系
 ・条間 :40cm
 ・株間 :24cm
 ・マルチ:白黒ダブルマルチ


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シーダーテープ(種子)


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地下5cmに散布するプリロッソ粒剤(左)と表面混和するフォース粒剤(右)


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鹿児島県農業開発総合センターにおいて開発された、2剤を異なる層に局所施薬することができる「同時穴開マルチャ播種機」


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左 :表面にフォース粒剤、地下2cmにシーダーテープ(種子)、地下5cmにプリロッソ粒剤がきれいにまかれている
右 :シーダーテープの株間24cmにセンサーが感応して穴を開けている

 

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午後は、曽於管内の関係者を集めて、実演会を行った


 播種と同時に異なる層へ2剤を散布することができ、作業スピードは農家慣行の播種機と同程度であった。また、局所的散布のため、薬剤の高い防除効果が期待できる。

 キスジノミハムシ成虫の発生は、9月下旬から10月上旬が多いことから、今後の生育に注意していきたい。(みんなの農業広場事務局)