ジュース用トマト省力安定生産機械実演会を開催(山形県尾花沢市)
2013年05月24日
近年、メタボリック対策としても注目されているジュース用トマトの需要は、年々高まっており、実需者からは生産拡大を熱望されている。山形県尾花沢市では、古くからジュース用トマトの生産が行なわれているが、労働力不足や気象変動等により、産地が停滞傾向にある。
北村山農業技術普及課では今年度、①新品種等に適応した新たな省力・低コスト施肥技術(うね立て畦内局所施肥同時マルチ) 、②果実加害害虫に対しての交信攪乱剤利用による省力・効率化防除技術 について、全国農業システム化研究会の実証調査事業を通して検討及び分析、普及を図り、生産性の向上及び産地活性化につなげていくこととしている。
5月16日、北村山農業技術普及課主催による、ジュース用トマト省力安定生産機械実演会が開催され、県内の普及関係機関、生産者等約20人の参加者が集まった。
左上 :実証調査の説明をする北村山農業技術普及課の石山久悦氏
右下 :うね立て畦内局所施肥同時マルチトラクター
今回使用する品種は、生活習慣病や美肌に効果があるとされているリコピンを多く含んだ高リコピン品種(※)であるが、一般の品種に比べて根張が少し弱い。栄養不足にならないよう、局所施肥を行うことにした。
※ KGM092(カゴメ株式会社)
実証区は、うね中央の地表下約20cm、苗の鉢底から10cm程度の位置に深層局所施肥(緩効性肥料)と畦内全層施肥(スターターとしての速効性肥料)を組合せた、うね立て畦内局所施肥同時マルチ体系。対照区は基肥(速効性肥料を畦内全層施肥)と追肥(うね肩部)の施肥体系で、比較検証を行う。平成24年度は20haである生産面積を平成60年には60haまで広げる計画で、平成25年度の目標は25haとなっている。
トラクターは25馬力で、マルチ幅は135cmまで対応可能。肥料散布機はフロントタイプ(畦内全層施肥用)とリアタイプ(畦内局所施肥用)を搭載し、耕耘うね立てマルチと同時に施肥を行えるため、燃費節約、作業時間の短縮につながる。リアタイプの肥料散布機にはGPSによる車速連動機能が搭載されており、精度の高い施肥をすることができる。
左上 :しっかり畦中央の地表下20cmの位置に局所施肥されている
右下 :強風が吹く悪条件下であったが、作業は無事終了した
この地区では近年、オオタバコガによる食害被害が問題となっている。今回の実証調査では、交信攪乱剤(コナガコン-プラス)を畦中央付近に10aあたり100~120本設置し、オオタバコガ予察調査と被害果調査も行っていく。(みんなの農業広場事務局)