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大豆・麦




GNSSを活用した大豆の培土作業実演会を開催(秋田県大館市)

2019年08月08日

 大豆栽培では、播種時の畝間隔の不均一や畝の蛇行等により、中耕培土の精度が低くなることが雑草発生要因となり、余計な除草剤散布や手取り除草などの発生、また、収量・品質低下を招く事例が散見されてきた。

 そこで、秋田県北秋田地域振興局農林部農業振興普及課は今年度、全国農業システム化研究会実証調査事業により、GNSS(※1)の活用による大豆の雑草防除体系の確立を目指し、実証に取り組んでいる。
6月18日には、GNSSを搭載した自動操舵トラクタによる精密播種実演会が開催された。


(参考)▼GNSSを活用した大豆の精密播種実演会を開催(秋田県大館市)


 播種後、6月19日に土壌処理剤散布、7月7日に中耕作業、7月12日に1回目の培土をおこない、7月23日には2回目の培土として、「GNSSを搭載した乗用管理機およびディスク式高精度培土による雑草防除作業実演会」が開催された。この日は生産者、秋田県および市町村職員、JA、農機具メーカ等、約40名の参加があった。


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左 :実証調査内容を説明する北秋田地域振興局農林部農業振興普及課の片野主幹
右 :クボタアグリサービス(株)による機械説明


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トラクタは、実証農家(立花ファーム)所有機(KT285)を使用(現行モデルはFT(ハイクリアランストラクタ))
地表からミッションケースまでは53cmあり(通常は37cm程度)、タイヤ幅は2条をまたぐ150cmで、根や作物への影響が少なく、大豆やエダマメ作業に適する。


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中耕ディスク(小橋工業(株)DC301)  benri_movie1.jpg(動画を再生)
PTO動力を使用しない作業機。前方のディスクで土を削り出し、後方のディスクで土寄せをおこなう。ロータリーカルチに比べて振動が少なく、また、2倍程度のスピードで作業が可能(時速5~6km)。大規模農家や複合経営向けに、作業能率の向上が見込める。


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自動操舵補助装置(トプコン)  benri_movie1.jpg(動画を再生)
実証農家所有のトラクタに自動操舵補助装置を設置して作業をおこなった。播種の際に取得した走行データを使用して、手を離した状態でも同じラインで直進が可能。オペレータの負担が大幅に軽減される。播種時と同様に導入コストの安いネットワーク型RTK(※2)で補正をおこない、熟練オペレータ並みの誤差2~3cmの精度を実現。キャビン上部に取り付けられている灰色の装置がGNSS受信機。


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中耕前(左)と中耕後(右)


 実演会後には農家による質問がしばらく続くなど、今回の培土作業に対する評価は高く、省力効果への期待も大きい。
 この後は、8月下旬に病害虫防除、10月中旬に収穫が予定されている。(みんなの農業広場事務局)


※1 GNSS(Global Navigation Satellite System)とは、全球測位衛星システムの略称で、GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星等の衛星測位システムの総称

※2 RTK(Real Time Kinematic)とは、基準局などからの補正情報によって、測位精度を高める技術のこと