一発耕起播種機(トリプルエコロジー)による「サチユタカA1号」の播種作業(兵庫県加西市)
2017年07月27日
兵庫県を含む近畿中国地域では、耐倒伏性があり、多収・高タンパクの優良品種「サチユタカ」が広く栽培されている。しかし、収穫期に裂莢しやすい欠点を持っており、大豆生産における規模拡大の阻害要因となっている。そこで農研機構が、難裂莢性の特徴を持つ「サチユタカA1号」を開発し、様々な現地栽培試験を行ってきた。
兵庫県加西市にある農事組合法人「玉野町営農組合」では、全国農業システム化研究会の事業を用いて、「サチユタカA1号」の栽培試験に取り組んでいる。この営農組合は、地下かんがいシステム(FOEAS)や大豆の狭条密植栽培のほか、水稲の乾田直播栽培を導入するなど、積極的に新技術を導入し、地域活性化に努めている。
今回は、耕起・砕土・播種作業を同時に行うことができる「一発耕起播種機(トリプルエコロジー)」によって、苗立ちを確保して安定生産をめざすこと、さらに、「万能散布バー」を用いて難防除雑草を一掃し、汚粒による品質低下を防ぐことを実証試験のテーマとした。
7月14日、梅雨時期とは思えない夏空のもと、播種作業が行われた。当日は、県下の普及指導員、資機材メーカー、農家等、約30名が作業を見学した。
2つの試験区は、どちらもトリプルエコロジーで播種作業を行い、除草剤を変えて、除草効果の確認も行う。
目標播種量 :7.5kg/10a
目標施肥量 :40kg/10a
栽植密度(条間):30cm(ロータリー幅220cmで8条播種)
収穫日 :11月下旬(予定)
6枚爪のロータリとその前に付いている2本のソイラで耕起・砕土を行い、良好な播種床を形成する
作業後の調査で、実証区1の播種量は10a当たり6.6kg、施肥量は38.9kgと播種量が若干少ないことが分かった。また、実証区2の播種量は10a当たり7.1kg、施肥量は43.9kgとおおむね目標通りであった。平均車速が4km/hr以上と比較的早かったため、播種量が低下したと考えられるが、作業時間は目に見えて短縮されており、見学していた参加者も作業の速さに驚いていた。
今後は、水不足に注意しながら大豆の生育状況を確認していく。また、8月中旬をめどに「万能散布バー」を用いて、畝間や株間に非選択性除草剤の茎葉処理を行い、ホオヅキやアサガオといった難防除雑草を駆除していく予定だ。(みんなの農業広場事務局)