ドローン可変施肥現地検討会を開催(福岡県うきは市)
2024年09月09日
当地域の米麦の生産では、作業効率化の一環として、基肥一発肥料をブロードキャスターで全層施肥を行っているが、散布の濃淡により、一部で生育ムラや倒伏が発生し、収量性や収穫時の作業性の低下が課題となっている。また、背負い式動力散布機で補正追肥も行っているが、その際の生育診断や施肥量の判断は雇用主の経験に基づいており、作業負担が大きいため、被雇用者でも簡易に判断できるシステムが求められている。
そこで、久留米普及指導センターでは、令和6年度に全国農業システム化研究会事業を活用し、「スマート農業技術による水田作経営の高位安定に関する実証調査」に取り組むこととした。
実証の概要は以下の通り。
①ザルビオ®フィールドマネージャー(以下、ザルビオ)の地力マップに基づく可変施肥による作業の効率化および収益性の検証
②生育ムラの補正に係るザルビオによる生育マップと、ドローンセンシングによる生育診断との比較検証
実証区及び慣行区の概要は以下の通り。
8月7日には、実証農家の「株式会社みずほファーム」の試験ほ場で、「ドローン可変施肥現地検討会」が開催された。当日は気温37度の猛暑日を記録した中、県普及関係職員、JA、資機材メーカー等、約20名が集まった。
なお、今回は実証区1のほ場において、ドローンによる施肥作業の実演を行った。
はじめに、福岡県農林水産部経営技術支援課の矢野専門技術普及員から挨拶があった。続いて久留米普及指導センターの山内主任による実証内容の説明とこれまでの経過報告、株式会社クボタの担当者によるドローンの説明があり、その後実演が始まった。
ドローンによる施肥作業では、ザルビオやドローンセンシングと営農支援システム「KSAS」との連携がスムーズにいかないというトラブルに見舞われ、結果、設定値よりも散布量が少なくなったものの、それ以外は順調で、技術が確立すれば誰でも可変施肥を行うことが可能であることをアピールした。
左 :参加者へ挨拶をする福岡県農林水産部経営技術支援課の矢野専門技術普及員
右 :久留米普及指導センターの山内主任による実証内容の説明
左 :可変施肥に対応可能な農業用ドローン(T25K)
右 :ドローン送信機の操作画面
(クリックで動画再生)
施肥作業の様子。ザルビオやドローンセンシングで得た情報で、施肥量の調整を自動で行うことができる
今後は、可変施肥の効果やザルビオとドローンセンシングの比較検討等を行っていく。
ザルビオとドローンセンシングを利用した可変施肥の比較調査は、今回が初めての試みで、試行錯誤の段階であるが、この技術が確立すれば、生育ムラ等による収量減少の解消や肥料の効率化を誰でも簡単に行うことができる。実証調査を通じ、今後の地域における収量や作業性の向上につながることを期待したい。(みんなの農業広場事務局)