提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ

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稲作




ペースト二段施肥田植え作業実演会を開催(山形県戸沢村)

2024年06月06日

 山形県では、高温に耐性を持つ水稲新品種「雪若丸」の作付けが増えている。「雪若丸」は「偏穂数型」の品種であり、1穂当たりの籾数の変動が小さいため、収量・品質の安定には初期茎数の確保が重要となっており、効果的な肥培管理技術が求められる。また、近年農業におけるマイクロプラスチックの問題もあり、肥料の剤用効率が高く、プラスチック被覆肥料を代替する施肥技術として、「ペースト二段施肥」に着目した。


 最上総合支庁産業経済部農業技術普及課では、令和6年度に全国農業システム化研究会事業を活用し、「ペースト二段施肥田植機を用いた全量基肥側条施肥による水稲の高品質・良食味安定生産の実証」に取り組むこととした。


実証の概要は以下の通り。
①ペースト二段施肥による水稲生育の適正化
②水稲の高品質・良食味安定生産による経営的効果


今回の実証で使われる「ペースト二段施肥」は、プラスチック被覆肥料を使わずに田植同時基肥一発施肥が可能な技術であり、ポイントは下記の通り。
・高濃度の液状肥料のため、水中に滴下しても通常の液状肥料に比べて拡散しにくい。
・根の近くに液状肥料を埋設するため、苗の活着や初期分げつを確保したい場合に有効。
・肥料を上段と下段に分けて施肥することで、生育後半にも肥料効果を発揮でき、追肥の必要がなくなる。
・液状のため、雨天時の田植え作業でも肥料詰まりの心配がなく、計画的に田植え作業ができる。
(片倉コープアグリ株式会社サイトより)


実証区及び慣行区の概要は以下の通り。
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 5月21日には、実証農家の株式会社藤ファーム(山形県戸沢村)の試験ほ場で「ペースト二段施肥田植え作業実演会」が開催された。当日は絶好の田植え日和となり、県普及関係職員、JA、資機材メーカー、生産者等、約50名が集まった。


 初めに最上総合支庁の堀農業技術普及課長と、全国農業改良普及支援協会の草間調査研究部長から挨拶があった。続いて最上総合支庁農業技術普及課の佐々木専門普及指導員による実証内容の説明、実証農家の株式会社藤ファームの二戸部代表取締役からの挨拶、クボタアグリサービス株式会社の担当者からペースト二段施肥田植機の説明があり、その後実演が始まった。作業中には片倉コープアグリ株式会社からペースト肥料についても説明があった。
 今回の実証で使ったペースト二段施肥田植機は直進アシスト機能が備わっており作業者負担軽減と効率化が図られ、30aのほ場での作業を約40分で終わらせることができた。


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参加者へ挨拶をする最上総合支庁の堀農業技術普及課長(左)と株式会社藤ファームの二戸部代表取締役(右)


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左 :最上総合支庁の佐々木専門普及指導員による実証内容説明
右 :クボタアグリサービス株式会社によるペースト二段施肥田植機の説明


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左 :ペースト肥料20kg(ネオ・ペーストSR-502)
右 :ペースト肥料の補充の様子。画像のペースト肥料タンクは片方50L。


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benri_movie1.jpg(クリックで動画再生)
ペースト肥料の繰り出しテストの様子。ペースト施肥のノズルは、地域の気候などにより深さを調節できる。(今回は上段4cm、下段12cm)


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benri_movie1.jpg(クリックで動画再生)
植付作業の様子。直進アシスト機能付きなので、手を放してもまっすぐに田植え作業ができる。


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ペースト二段施肥田植機(NW8S-Q2-GS)と供試品種の「雪若丸」


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植付作業後のほ場


 植付作業後には、県普及関係職員などから導入コストなどの質問があり、この技術への関心の高さが伺えた。


 今後は初期茎数の増加と穂数に注視しながら、7月上旬にドローンを使った生育診断、9月下旬にPFコンバインを使った収穫作業を行う。収量・品質の向上及び安定化に期待したい。(みんなの農業広場事務局)