グレーンドリル播種鎮圧体系による乾田直播播種実演会を開催(滋賀県野洲市)
2024年04月26日
滋賀県大津・南部農業農村振興事務所では、令和5年度に全国農業システム化研究会事業を活用し、乾田直播栽培の実証試験を行い、有用性の高い実証結果を得た。
▼【滋賀県】乾田直播の導入による省力・低コスト栽培の実証(令和5年度全国農業システム化研究会実証調査)
その中で、過剰な播種量、播種前作業が多い点が課題となったことから、今年は播種量の見直しと播種前工程作業の省力化を目指すこととした(昨年の播種前工程作業は、均平・施肥・耕起・鎮圧の4工程であったが、今年は均平・施肥の2工程のみである)。
また、環境負荷低減を目指し、滋賀県環境こだわり農産物の栽培基準である、「化学合成農薬および化学肥料の使用量を滋賀県慣行の5割以下」に抑えることも実証する。
試験区の概要は以下のとおりである。
昨年は播種量6kg/10aで過剰な苗立数となったことから、今年は4kg/10aに設定した。また、環境こだわり農産物の栽培基準を満たすため、鶏ふんペレットを使用した実証を設定した。
前日までに乾田直播体系に不可欠な均平(レーザーレベラー)を済ませ、鶏ふんペレットもブロードキャスターで散布しておき、4月16日の播種作業日を迎えた。実演会には県内外からの生産者や県関係者、資機材メーカーなど、約30名程度が見学に訪れた。
初めに滋賀県大津・南部農業農村振興事務所農産普及課の柴田主任技師から、試験のねらいや概要についての説明があり、、株式会社クボタからの機械説明ののち、播種作業が行われた。スガノ農機株式会社のドリルシーダー(W25AAQ1)は大型の播種機だが、クボタ株式会社のトラクタ(MR800)が安定したけん引をするため、播種作業は10km/hと高スピードで行われ、作業効率の高さがうかがえた。
左 :参加者に試験区の概要等を説明する滋賀県大津・南部農業農村振興事務所の柴田主任技師
右 :機械説明する株式会社クボタ 川合氏
播種作業の様子と播種された圃場を観察する参加者 (クリックで動画再生)
播種作業に追走する形で、スガノ農機株式会社のケンブリッジローラー(A24ACG)による鎮圧作業も行われた。鎮圧作業は播種深度を安定させる点と、種子と土壌の密着により水分吸収を安定させることから、苗立ち向上につなげる大事な作業である。
左 :ケンブリッジローラーによる鎮圧作業
右 :手前の圃場は播種作業。奥の圃場は播種後の鎮圧作業を行っている
一連の作業を見学した後、農研機構 西日本農業研究センターの農業技術コミュニケーター岡本 穀 先生より、乾田直播栽培の基本技術から注意すべきポイント、実証事例などの紹介があった。参加者の質問にも答え、大変実りある実演会となった。
農研機構 西日本農業研究センターの農業技術コミュニケーター岡本先生による情報提供
今後は各実証区、慣行区ともに収穫までしっかりと生育管理を行い、地域の普及に役立つ成果が出ることを期待したい。(みんなの農業広場事務局)