農業用ドローンによる水稲除草剤散布試験を実施(鹿児島県伊佐市)
2019年07月05日
農業用ドローンの利活用に注目が集まり、農薬・肥料等の散布や播種作業の省力・低コスト化などを目的に、現地で普及が始まっている。
全国農業システム化研究会では、鹿児島県農業開発総合センター大隅支場農機研究室の協力を得て、平成29年度から「農業用ドローンによる薬剤散布に関する実証調査」に取り組み、現場で利用する際に活用できる性能データ等を蓄積するための調査方法の構築や、利用拡大に向けた基礎研究を実施。平成29年度は水稲における液剤散布調査、平成30年度には粒剤散布調査をおこなってきた。
国の農業用ドローンの普及計画では、農業散布面積を2022年までに100万haに拡大することを目標としてかかげ、これを受けて農薬の登録拡大が進んでおり、農業用ドローンでの散布に適した新たな薬剤の開発も進められている。そこで、今年度は従来よりも拡散性に優れた新しい空中散布用の水稲除草剤について、各薬剤に応じた設定(シャッター開度やインペラ回転数等)および、散布方法や除草効果等の調査を行うこととしている。
6月19日、鹿児島県伊佐市の実証圃場において除草剤散布試験を行い、実証農家、鹿児島県職員、農機メーカー、薬剤メーカー等、関係者約20名が参加した。
供試機はMG-1K((株)クボタ)。3メーカー(協友アグリ(株)、クミアイ化学工業(株)、日本農薬(株))の3剤について、散布時の作業時間やバッテリー消費量、散布量等の調査をおこなった。
左 :供試機はMG-1K((株)クボタ)
右 :説明をおこなう鹿児島県農業開発総合センター大隅支場農機研究室 馬門研究専門員
農業用ドローンによる除草剤散布試験(左)と、それを見守る参加者(右) (動画を再生)
シャッター開度とインペラ回転数(回転速度)の調整により、薬剤の吐出をコントロール
飛行高度は3m程度、速度は薬剤により7~15km/hに設定。当日は熟練オペレータが操作を担当し、スムーズな作業が行われた
農業用ドローンは、無人ヘリに比べて風の影響を受けやすいため、超音波風速計で確認しながら作業を行う
熟練オペレータにより、散布試験はスムーズに進行。今後は除草効果や薬害についての調査が行われる予定だ。(みんなの農業広場事務局)