収量・品質のさらなる向上を目指したICT実証調査における田植え作業を実施(岡山県赤磐市)
2017年07月12日
岡山県東備農業普及指導センターでは、平成27年度から全国農業システム化研究会ICT実証調査に取り組み、KSASの導入によるきめ細かな圃場管理を行うことで、収量・食味の改善と作業の効率化をめざした実証を行っている。
実証を担当する農家は、赤磐市の株式会社ファーム安井。水稲(ヒノヒカリ、きぬむすめ、朝日)約20haを作付けしているが、生産した米のうち、食味の良いものを直売所等で販売しており、食味と品質へのこだわりが強い。
平成27年度の実証調査では、調査対象の7圃場について、収量・タンパク含有率をKSAS対応コンバインで計測するとともに、土壌分析により可給態窒素含有量を調査し、これらを踏まえて圃場ごとに最適な施肥設計を行った。
平成28年度は、施肥設計に基づいてKSASで作業指示を作成し、収量・食味の改善効果を検証した。PFコンバインで収集したデータをKSASで分析したところ、食味に関係する「タンパク質含有率」は目標値6.5%に近づいたが、登熟期の天候不良が影響して収量が下がった。
平成29年度は、本格運用期として、収量・品質をさらに目標(収量500kg/10a、タンパク質含有率6.5%)に近づけるための実証を継続する。
6月22日、KSAS対応田植機による、田植え作業を行った。当日は、岡山県内の普及指導員の研修会を兼ね、新任普及指導員が熱心に田植え作業を見学した。
左上 :KSAS対応田植機クボタZP67で作業を行った
右下 :岡山県内の新任普及指導員の研修会を兼ねて開催された
6つの実証区と基準区1区を設け、28年度の収量、タンパク質含有率、土壌分析結果(可給態窒素)等の情報をもとに施肥設計を実施。それぞれの圃場に最適な施肥量をKSASで設定した。作業前にKSASのデータを読み込むことで、田植機が自動的に施肥量を調整する。
左上 :作業前に施肥量の設定データを読み込む
右下 :スクミリンゴガイ対策として、スクミノンを2kg/10a田植同時処理
品種はヒノヒカリを使用。田植えと同時に一発型肥料(エムコート567G)を側条施肥するとともに、スクミノンをこまきちゃんで散布した。
東備農業普及指導センターでは、今後、生育調査や収量品質調査を実施していく予定だ。
左上 :品種はヒノヒカリで、苗は3葉期前後の健苗であった
右下 :田植え作業は、精度よく、ほぼ計画通りに終了した
株式会社ファーム安井では、KSASの導入により、作業指示者と作業者の間での十分な意思疎通も図られ、作業効率が向上しているという。受託面積の拡大に対応するためにも、本システムの活用が必要不可欠となっている。
また、顧客に対して、食味へのこだわりや安全安心を伝えるためには、データを活用した根拠ある米作りを行う必要があると考えており、今後KSASのさらなる活用をめざす。(みんなの農業広場事務局)